謝罪大国ニッポン (星海社新書)

著者 :
  • 星海社
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本棚登録 : 82
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061385979

作品紹介・あらすじ

日本人は、なぜ謝り続けなければいけないのか?
この国に、謝罪のない日はない。致命的な失態はもとより、些細なあやまちですら盛大に揚げ足をとられ、ネットを通して徒党を組んだ「怒りの代理人」の攻撃によって謝罪会見に追い込まれた挙句、今度はその内容を品評され、「反省していない」とさらに騒がれ……。この仕打ちは、新たな標的が現れるまで続き、謝った人をボロボロになるまで追い込む。本書では、ネット編集者・ライター、PRマンとして数多くの謝罪を目撃し体験してきた筆者が、現代社会に渦巻く謝罪の輪迴の実情と原因を、山一破綻会見、東京五輪エンブレム問題、ベッキー不倫騒動など数々の事例とともに検証・分析。“謝罪大国ニッポン”を生き抜くための処世術を語る。

感想・レビュー・書評

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  • 日本は、まず謝ること、がなにより第一と考えられている。
    それを検証しつつ、いかにしてうまく謝罪するのかという「謝罪道」を説いている。
    著者についはまったく知らなかったのだが、広告代理店(博報堂)入社後、編集者に転向、ネットニュースなども手がけているころに本作を執筆しているようだ。口のうまい人なんだろうな、という印象。
    著者が経験したという「謝ると死ぬ病」患者なんかは、確かにそういう人いるよな、と共感。

  • 謝罪大国日本。中川淳一郎先生の著書。日本人は謝罪し過ぎ、謝罪させ過ぎであると改めて思いました。実際に悪いと思っていないこと、反省していないことでも、その場限りで表面的の謝罪、謝罪、謝罪。それでひとまずは問題が収まる。でもまたそれが繰り返されるのであれば、謝罪なんて無意味。必要最低限の謝罪はするけれど、意固地で頑固と批判されても無意味な謝罪はしないという強い意思を持つ。そうしないと謝罪大国日本はいつまでたっても外国から信頼されないのでは。

  • 謝罪について深く考えたことがなかった。なぜ、炎上した謝罪とそうでない謝罪があるのか。興味深く読めました。
    謝罪をする機会がある方は、この本の「謝罪道」はきっと役に立つ。今後もTVやネットで謝罪を見る機会があると思うが、その時は、今までと違った視点で観れそうです。

  • 旧来謝罪大国であった日本はインターネットの発展により益々その度合いに拍車がかかっている。

    いきすぎたお客様を目の前にして、上手に謝りラクに生きるための処世術。適切な謝罪は身を助ける。

    著者のニュースの斬り方、人間性もあって面白い本でした。

  • 「すみません」が既に挨拶代わりになってるような感がある日本
    である。かく言う私も派遣先でのお客様対応で「申し訳ありませ
    ん」「すみません」を口にしない日はない。

    なかには「お姉さんが謝ることじゃないから」と言ってくれるお客
    様もいるけれどね。稀に「それ、こっちが謝ることじゃないだろう」
    と感じるお客様もいるんだわ。

    余談だがお客様からよく「お姉さん」と呼ばれるのだけど、心の中
    では「おばさんだけどね」と思ってにやにやしている私である。

    要は私たちスタッフはストレスのはけ口なんだね。だから、心の中
    で「けっ!やってらんないわ」と思っても神妙な声で「ご迷惑をおか
    けして誠に申し訳ございません」って謝る。

    しかし、なかには思っていることが声の表情に出てしまい、火に薪
    をくべちゃうスタッフもいる。で、お客様の怒りをMAXにさせちゃう。

    こうなると上もお客様の怒りは収まらない。するとどう
    なるか。「詫びに来いっ!」と上司共々、お客様の指定場所へ謝罪
    に伺う次第となる。

    謝罪っていかに誠意が伝わるかなんだと思う。古い話だが、本書で
    も取り上げられている山一證券不祥事の際の社長の記者会見が
    ある。

    「みんな私らが悪いんであって、社員は悪くありませんからっ!どう
    か社員に応援をしてやってください。優秀な社員がたくさんいます、
    よろしくお願い申し上げます、私たちが悪いんです。社員は悪うご
    ざいません」

    号泣しながら訴える社長の謝罪が功を奏したのか、会社解散後の
    山一社員はほぼ再就職に成功している、伝説の謝罪会見でもある。

    同じ号泣会見でも政務活動費の不正受給の元兵庫県議ののちゃん
    は違った方の伝説だったけど。

    良い謝罪会見・悪い謝罪会見を実例を挙げて解説している。大麻所
    持で捕まった勝新太郎の「もうパンツははかない」は名言だし、勝新
    であればこそ、この言葉で許されたようなもんだよね。勝新じゃない
    芸能人だったら総バッシングだったと思うわ。

    そして、ネット空間に氾濫する独りよがりの正義を振り回し、誤った
    情報を伝えても絶対に謝らない「謝ったら死ぬ病」。これに関しては
    著者の実体験が記されている。これはネット空間だけじゃなく、実
    社会でもいるわ。「ごめんなさい」と一言で済むものを、ダラダラと
    言い訳を並べ立てる人って。

    華道や茶道のように、形式や所作を重視する文化がある。それは
    謝罪にも当てはまると著者は言う。日本には「謝罪道」なるものが
    存在しているとの話に納得。

    なので、私は派遣先で謝罪道を極めようと思う。それ以前にお客様に
    謝らなければならない事態にならないことが一番なんだけどね。

    (小声で)他のスタッフのミスで平謝りするのが一番嫌いだわ。

  • -

  •  謝罪ってか普通に中川淳一郎さんの軽妙なるおもしろ文章と広告代理店や芸能人の裏側やいろんな失敗談のトリビアを読む本。丸刈りエピソードが良かった。
     芸能人の最終目的はCMで、CMがいかに美味しいか、ダンディ坂野ってめちゃくちゃ金持ちだろうなとかがわかる。
    「謝罪道」のカギは「実績」「見た目」「所作」がセットになっているという。スマップの「公開処刑」とかは、スマップに謝罪させた側がまったくファンの気持ちを分かっていなかったことがわかる。
     最終的に大事なのは、やらかしてしまった場合、相手がどのように考えているかを予測し、極力その怒りを収める方法を考えるということであるという。謝罪相手をそれ以上困らせない最良の手段が何かを、相手と共に考えることが重要である。
     しかし、謝罪とは難しいものである。上司がとある著作権侵害をしたのだが、ものすごく軽く見ていて、あとでじわじわ大変なことがわかる。ある物事は人によって全く異なる。上司を止められなかった事務員としては、悔やんでも悔やみきれない出来事だった。「これまずいんじゃない?」と事務員は思うわけだけれども、上司を止めることはできない。ならば、ダメージを受ける側に電話をかけて、「こんなことしようと思ってるんですけど、大丈夫でしょうかねえ?」と相手の事務方に問い合わせればよかったのだ。事務員とは、物事をさっさと済ませて家に帰ることが最優先なので、「いやーだめでしょうね」とたいていは怒らずに、苦笑いしながら判定を下してくれる。
     スマップの場合も「この謝罪内容はだめだろう。何考えてるんだ」と事務方はみな思ったはずだが、この謝罪指示を出した人間には逆らえない。もし、事務員が考えている通りにスマップが動いたら、こんなごたごたせずに、ふわーっと解散していたと思う。
     あと、謝るのは難しくて、「どこまで謝ればいいのか」「謝らなくても大丈夫ではないか」が、直後には本当にわからない。謝るのは確かに悔しいし恥ずかしいしつらいが、それをすることで「自分がどうなるかわからない」というのが謝罪を難しくさせているので、初動が遅くなるのだ。できるだけ信頼できる立会人のもと、相手と一刻もはやく対話しにいく手配、が事務員にとって大事だろうと思う。

  • 『謝ることは、恥ではない』

    中川さんの著書は、シンプルだけどついつい忘れがちな事を思い出させてくれる。

    自分が間違いだったたら素直に謝ればいいし、間違いでなければ、謝らなくてもいいのである。

  • 日本では謝罪そのものよりもどう謝罪しているかに重きを置かれることが分かった
    もしも炎上したときはまず自分が間違っていないかを確かめるようにしたい

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著者プロフィール

編集者、PRプランナー、ライター
1973年生まれ。東京都立川市出身。大学卒業後、博報堂CC局で企業のPR業務を担当。2001年に退社し、しばらく無職となったあとフリーライターとなり、その後『テレビブロス』のフリー編集者に。企業のPR活動、ライター、雑誌編集などを経て『NEWSポストセブン』など様々なネットニュースサイトの編集者となる。主な著書に、当時主流だったネット礼賛主義を真っ向から否定しベストセラーとなった『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『ネットのバカ』(新潮新書)、『夢、死ね!』『内定童貞』(星海社新書)など。無遠慮だが本質を突いた鋭い物言いに定評がある。

「2020年 『意識の低い自炊のすすめ 巣ごもり時代の命と家計を守るために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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