未知との遭遇【完全版】 (星海社新書)

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著者 : 佐々木敦
  • 講談社 (2016年10月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061386037

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未知との遭遇【完全版】 (星海社新書)の感想・レビュー・書評

  •  人生論のようなものなのだが、分厚いので興味深いところがいくつかあった。

     九鬼周造の偶然についての理論が取り上げられている。
     偶然とは何かの定義だが、「偶然とは必然の否定である」と述べる。
     その上で、九鬼は「偶然」を、三つのカテゴリーに分ける。一つは「定言的偶然」。もう一つは「仮説的偶然」。最後に「離接的偶然」だ。
     「定言的偶然」とは、Aであるか非Aであるかのどちらか。ギャンブルがあたるかのような、「偶然あたる」ある範囲のもの。
     「仮説的偶然」とは、出来事としての偶然。病院に見舞いに行くとして、誰かと偶然出会う。それは会うことも会わなかったこともありえた。必ず会うに決まっていない偶然。
     「離接的偶然」はこの二つ以外の偶然。極めてまれな、大きな偶然。つまり、宇宙があって、地球ができたことなど。
     そして、「運命とは偶然の内面化されたものである」と定義している。
     で、僕らの抱えている問題の本質とは、「人間は偶然の偶然性に耐えられない」ということだそうだ。サルトルの問題である。嘔吐読めばええやんと思うのだが、それはおいておく。
     この本のテーマについて考える際、最も哲学的だったのが、これ。
    【ある部族で青年が成人するにはライオン狩りでその力を証明せねばならないので、狩り場に二日かけて行き、狩りの後二日かけてもどる。酋長は彼らの成功を祈ってその間踊り続けるが、問題は、狩りが終わった日から青年たちが帰路にある間も踊り続けるというのである。そのとき狩りはすでに終わって事の成否は定まっているのに、その幸運を祈るとはどうしてだ、というのがダメットの問いである。】
     あと、モンティ・ホール問題とからめて、選択肢を変えることが良い方向につながると言っていたのは、わけのわからない勇気をもらった。

     オタクへのメッセージが中心にあるのだが、それよりも、いろんな本を読んで、自分の結論に結び付けていくためのアクロバティックな感じが読んでいて面白かった。あと、この「部族のエピソード」は、「未知と遭遇する道が塞がれている人はどうするのか?」という疑問について考えるためのヒントであると思うし、この本のなかで唯一未解決で取り残されているエピソードだと思う。なぜ、人は結果が決まっている後も踊るのか? めっちゃくちゃ深い。

  • 有限性と運命のおはなし

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未知との遭遇【完全版】 (星海社新書)の作品紹介

このネット的世界で、我々は一度きりの生を、いかに肯定すべきだろうか?あの哲学的「自己刷新」書、新稿を加えた【完全版】が登場!

未知との遭遇【完全版】 (星海社新書)はこんな本です

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