ドッペルゲンガーの恋人 (星海社FICTIONS)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 208
感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061388109

作品紹介・あらすじ

亡くした恋人のすべての記憶を、僕はクローンに植え付けた。新しく誕生した「恋人」との暮らしが、僕と彼女を追い詰めていくとは思いもよらずに-。まさに待望、唐辺葉介の復活作は、胸打つSFラブストーリー。

感想・レビュー・書評

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  • 「胸打つSFラブストーリー」は看板に偽りありだとは思うが、確かな筆致と不穏のこもった穏やかな展開は十分に楽しめた。登場人物を突き放したような描写が、主人公は正しくあるべしとかヒロインは可愛くあるべしとか結末はきれいごとに終わるべしだとか、そういう定型的なフィクションっぽさを軽々と乗り越えていくので、展開が読めずにひきこまれる。ドラマチックではなくても胸に残るお話でした。

  • 2022年度 第2回(テーマフリー)

  • 若くして病を得て死んだ恋人を「よみがえらせる」ため、生前に取得しておいた記憶のデータをクローンの身体にうえつけた。彼女はどういう存在なのか?
    ダーク系では、私はこの唐辺葉介さんが一番肌に合うかも。なんかこー、やる気の無い中での気の抜けるような会話とか、真っ暗な中に感情が足もとでうずくまっている感じとか。もう少しだけ熱さを入れると、売れてもおかしくないかなーと思うんだけど。どこまでが悪夢なのか、どこからが現実なのか、現実が一番の悪夢なんじゃないのか、自分が生きていることが夢なんじゃないのか、その境目がゆらぐ感じが他にない感じで好きです。これが気に入ったら、ぜひデビュー作の「PSYCHE (プシュケ) (スクウェア・エニックス・ノベルズ)」も読んでいただきたいです。

  • 自分から離れたものを「自分」と感じてしまうから歪みが生まれるのではと考えた。子を産んだ母親然り、細胞を提供した自分然り。髪の一筋くらいならただのゴミ扱いできるのにな。物量が多いと圧倒される法則は、ここでも健在なのかな。

  • クローン研究を極秘に行っていた男は
    亡くなった恋人を蘇らせる。
    それは、生前の記憶も持った、クローンであり
    クローンではない個体。

    実験動物状態なので、速攻で本人に
    本人じゃない、という事を告げてますし。
    いや、これはこれで潔いと思いますよ?
    しかし言われた本人混乱、です。
    すべてにおいて、色々疑ってわめき散らして…。
    想像すると、こうなりますね、というのを
    綺麗に表してくれているかと。

    それに対して、恋人たる主人公は無気力~な
    妙な感じです。
    大きくまとめれば、こちらも混乱してます?
    淡々というよりも、ふにゃふにゃした感じ。
    研究者というのは世間知らず、というのが
    よく分かる生活状況。
    最後はものすごい発想で、彼女を追いかけてますし。

    途中で主人公交代するわけですが
    最初の主人公は、その後一体どうしたのか。
    むしろ何をしに来たのか。
    サスペンスだったら…と想像しながら読みましたが
    そういうわけでなかったです。
    むしろ、途中途中、どうなったのか、と
    突っ込みたい場面切り替えが。

    最初のデートシーンはどこに行ったのかと思ったら
    驚くべき所まで引っ張っていましたし。
    もしかしたら…という予想は、片方あってましたが。

  • 2011.11.8 推薦者:パンダ(http://ayatsumugi.blog52.fc2.com/blog-entry-54.html

  • 話自体はそう難しいものではないと思います。ですが、小説としてなら今まで(少ないですが)読んだ作品の中で一番難しかったように感じました。またねっとりした雰囲気が終始感じられ、まるで読み進める速さまでも絡め取られているようでした。星の数から分かる通り、私の好みとは少し違っていたようです。ですが、好きな人には溜まらなく好きなのだろうことが分かる作品でした。

    最期まで読んだら「ハイ。終わり」ではなく、それぞれでクローンというものを考えるまでがこの作品を読むということなのかもしれません。

  • ——僕の恋人は、死んだ恋人の記憶を植え付けたドッペルゲンガー。
    亡くした恋人のすべての記憶を、僕はクローンに植え付けた。新しく誕生した「恋人」との暮らしが、僕と彼女を追い詰めていくとは思いもよらずに——。
    まさに待望、唐辺葉介の復活作は、胸打つSFラブストーリー。

    ▼試し読みはコチラ
    http://sai-zen-sen.jp/fictions/doppelganger/

  • 人間関係の面倒臭さを淡々と描くのはいつもどおり。主人公の意識の上での認識と客観的な場面描写が区別なく描かれている場面は、幻想的ではあるが、この著者の場合なにかごまかしているようにみえてしまって、あまり似合わないような気もする。ラストは何かとってつけたような感じがして、あまり好きではなかった。

  • 知ってる人は知っている。コアなファンを持つ作家の待望の新作。
    クローン人間の生成が技術的に可能になった世界で、その倫理を問う、少年少女のラブストーリー。
    困ったことに、公式サイトでこの作品の丸々全文章が無期限公開されているので、気になるならば読みに行ってファンになってしまえばいいのですよ。
    元々のファンはお金を払って書籍を買いましょう。相変わらず繊細な感情のさざめきが満ちた文章が心ゆくまで味わえますから。
    シライシユウコのイラストもすばらしい。

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