誘 (星海社FICTIONS)

著者 :
  • 星海社
4.20
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本棚登録 : 237
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061399105

作品紹介・あらすじ

世俗から隔絶され、過疎に滅びつつある辺境、朱磐村。
伝統と因習に縛られたこの地に、かつて、望まれずして生まれ落ちてしまった“醜き”容貌の少女がいた――。
「美醜」の本質に迫る衝撃作『累』で、今漫画界を席捲する松浦だるまが放つ、誰もが予想だにしなかった前日譚がここに幕を開ける。
綾辻行人が絶賛する、小説史上に残る「小説家デビュー」作を読撃せよ!

『誘』に寄せて
漫画『累』で話題沸騰(確かに面白い!)の松浦だるま氏だが、このたび小説『誘』の原稿を読み、驚きを禁じえなかった。もちろん嬉しい驚きである。漫画家離れした本格的な文章力(と書くと漫画家さん全般に失礼だけれど)で描かれる『累』の前日譚――「誘」の禁断の秘話は、伝奇ミステリとホラーの美味しさをしっかりと兼ね備えつつ、凄絶な“結末”と“未来”に向けて突き進む。お見事、である。  ――綾辻行人

感想・レビュー・書評

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  • 「累」の作者松浦だるま氏による累の母親・誘(いざな)の物語
    まずプロ並に文章が上手くてびっくり。描写も秀逸で豊饒な世界観に引き込まれます。「累」はヒロインの成長を兼ねた演劇ものの側面が強いですが、「誘」は純粋な和風伝奇ホラー。因習に縛られた山奥の過疎村、醜さ故に迫害され隠蔽され育てられた子供、曲解され捏造された伝承の裏に隠された哀しい伝説と道具立てが揃ってます。
    誘と欽吾の出会いなど、本編に繋がる重要なエピソードも盛り込まれているのでファン必読。ただ、誘の母親にまつわる謎は欽吾の回想の形を借りて本編に組み込まれると思っていたので、小説という媒体で発表されたのには意表を突かれました。
    呪いの口紅の謂れや民俗学的考証など、本編では掘り下げられないミステリー部分に理由付けがされて、痒い所に手が届く感があります。
    ですが「累の母親に躊躇はなかった。醜さ故に味わった悲惨さが累の比はなかったからだ」という原作の欽吾の見解にはちょっと疑問を感じました。
    命を脅かされる事こそありませんでしたが唯一の肉親の叔母に虐げられ周囲の陰惨な虐めに耐え続けた累と、命を狙われてこそいたが、育ての親の無条件かつ献身的な愛情に包まれ成長した誘。はたしてどちらが幸せな幼少期を過ごしたのか…容姿に偏見を持たぬ得難い理解者と家庭のぬくもりを得られた後者の方が、個人的にはずっと救いがあると思います。それだけに千草がおかれた板挟みの環境が辛いですが……

  • 醜い容貌に生まれついたがために、隠れて生きることを余儀なくされた少女・いざなの物語。恐ろしげな村の因習と、かつての鬼女伝説など民俗学ホラーの雰囲気もあって楽しめました。
    ここではやはりいざなは異形の存在なのだけど。村人たちの方が明らかに恐ろしくて歪んでいる気がしました。だからこそラストに向けての展開は爽快にすら感じてしまいます。新たな世界へ歩みだす彼女のこれからが気になる……。
    コミック「累」に続く物語なのですね。これはチェックせねば。

  • 漫画『累』の作者本人によるスピンオフ小説。
    累(かさね)の母親・誘(いざな)の物語。

    『累』の世界観が存分に表現されており、漫画家が本業だとは思えないほどの高い文章力だった。
    原作漫画のファンとして、いざな本人の心の変遷が見れたことを嬉しく思う。

    『累』も既に完結。
    今後、さらなる傑作を期待したい。

  • 漫画も面白いけど、小説の技術もすごい!物語を生み出してあらゆる人に楽しんでもらう為に生まれてきたような人だなー。だるまさん。

  • 「累 かさね」のスピンオフ
    漫画の展開が進んでから読んだので、誘が女優として成功するまで描かれているかと勝手に期待していたので、出発点で終わっていた為、消化不良。口紅の秘密については描かれていたので、そこは興味深く読ませていただいた。

  • R.が、しじ

  • 累を読んでから誘へ。
    忌まわしき因習が大いに絡んでいて、日本のおかしい民俗色がべったり塗りつけられた面白い作品であった。田舎の性や生に対する考えや信仰心が、現代からみるととてもおぞましく、忌々しいものに思える。
    口紅の秘密が明かされ、いざなと釿互、演技への目覚め、こらからの累に影響するであろう事がちりばめられている。
    各人の心情描写が細かに描かれているので読みやすく、言葉の選択も美しかった。

  • 漫画「累」を先に読んでいても後から読んでも楽しめます。少しラストが物足りない(海道のその後とか)部分もありますが、昭和の田舎ホラーっぽいテイストもあり面白かったです。母と子の因縁、誘、累、それぞれの宿命が繰り返すテーマとして漫画と小説両方読んで損はないと思いました。

  • 全体の閉塞感と村人の歪みは怖いけど一つ一つの描写が美しい。千草の献身に胸を打たれた。いざなが人気女優になるまでと羽生田との再会も気になる。

  • 連載中の漫画「累」の主人公の母に関する漫画の作者自信の筆によるスピンオフ。設定の重要な部分が多く語られており読みごたえグンバツでした。何より漫画の作者さんがこんだけの小説を作ってるというのが、綾辻行人氏のオビ通りお見事としか言えない。

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著者プロフィール

イブニング新人賞ゆうきまさみ大賞及び宇仁田ゆみ大賞にて、共に優秀賞を受賞。2013年より同誌上にて連載を開始した『累―かさね―』が、テレビをはじめとする各メディアで絶賛され、今最も注目を集める若手漫画家としてその活躍を期待されている。本作『誘―いざな―』はこの『累―かさね―』の前日譚を小説として執筆したもので、松浦だるまの小説家としてのデビュー作となる。

「2014年 『誘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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