時刻表ひとり旅 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061456204

作品紹介・あらすじ

本来見るはずの時刻表を丹念に読んでいくと、そこには超過密ダイヤを軽業師のようにさばくスジやさんの見事な腕前が浮かんでくる。ローカル線から通勤列車まで国鉄全線完乗の快挙! もしくは怪挙? をなしとげた著者は、また時刻表の40数年間におよぶ熱烈なファンである。ダイヤのつくられ方、全線区架空討論会、時刻表名所めぐりなど蘊蓄を傾けた本書は、思わずニヤリとさせながら、鉄道の旅へ誘う楽しい大人の読物である。


時刻表は<読む>ものだ!
達人が明かすマル秘愉しみ方

新幹線ひかりは東京──新大阪間に何本すれちがうだろうか、東北本線にある空白の1時間の意味は何か……。本来見るはずの時刻表を丹念に読んでいくと、そこには超過密ダイヤを軽業師のようにさばくスジやさんの見事な腕前が浮かんでくる。ローカル線から通勤列車まで国鉄全線完乗の快挙!もしくは怪挙?をなしとげた著者は、また時刻表の40数年間におよぶ熱烈なファンである。ダイヤのつくられ方、全線区架空討論会、時刻表名所めぐりなど蘊蓄を傾けた本書は、思わずニヤリとさせながら、鉄道の旅へ誘う楽しい大人の読物である。

一見すると、無味乾燥な数字の羅列。でも丹念に読んでいくと、ダイヤ作りに頭を悩ませるスジやの苦労から、日本の鉄道が直面している問題までもが見えてくる。そう、時刻表とは、大の大人が熟読するに値する書物なのである。その魅力とたのしみ方を、熱烈な愛読者がこっそり明かす。

鉄道に揺られて、ふらりと旅に出たくなる名著。待望の復刊!〔解説・原武史〕

感想・レビュー・書評

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  • 初期のエネルギーが満ち溢れている。
    時刻表への数理?的な視点が多い。白紙改正の解説とか、論理的ながらも親しみやすい筆致。一つの到達点かなあ。

  • 鉄道の魅力を文章で表現できる数少ない人。昨今、WEBなんかでよく目にする「ボクちゃんこんなことまで知ってます」的な文章でないのが好きな。紹介されている列車や線区を見ると、「こんな時代もあったなぁ」と感慨深くなる。

  • 現在持ち上がりつつある倉見新駅構想を言い当てる(あくまで本人の希望ではあるが)のは、流石としか言いようがない。

  • 時刻表をみて想像する楽しみが理解できた。

  • 著者ほど時刻表を深く読んではいなかったが、チャレンジ2万キロを時刻表の上だけで、接続を考えながら旅していた頃を懐かしく思い出した。第二章の国鉄全線大集会が楽しい。本書を読んでいたら無性に鉄道旅がしたくなったので、実は昨日(2013/7/5)本書をお供に旅に出た。

  •  確かに、時刻表読みは面白い。線路から見える情景を思い浮かべ、脳内旅行が可能だからだ。そういうことを思い起こさせてくれる書である。
     著者の「昼行列車に寝台車を」との提言は、新幹線以外の長距離列車が一定程度存在した時代だったからなのだろうが、今ならさしずめ仮眠室設置か、あるいは仮眠席つき列車かなあ。
     まぁ、グリーン車が相当するのだろうが、東海道新幹線の「こだま」の活用法にならないですかね?

  • 新書判という事もあってか、中々見つけられなかった1冊。
    僕にとっては、久々の宮脇さんの「新刊」でした。このどこまでもクールで、だけどもユーモアに溢れている文章、やっぱり大好きです。

    内容自体は時刻表の魅力を探る読本で、旅行記を主体とする氏の作品群の中ではちょっと異色でしょうか。初版の刊行からすでに四半世紀が経っているので、今はスジの作り方一つとっても、随分変わっているのかもしれません。何よりも、日本の鉄道を取り巻く事情もガラリと変わっているわけですし。

    ともあれ、いまや歴史モノとしても読み応えのある作品です。p.147の時刻表、一ノ関駅がありえない事になっています。こんなダイヤが、昔は当たり前に作られ、実行されていたのですね。

  • 宮脇俊三氏が時刻表に関して書いたエッセイ。
    同好の士としては、面白く読ませていただきました。

    特に東北・上越新幹線開業前夜の、東北地方の在来線が元気な時代の状況が良く分かる逸品です。

  • 処女作『時刻表2万キロ』を発表して以来、著者の宮脇氏に対し、「時刻表のどこが面白いのですか?」といつた質問が増えたさうです。宮脇氏は時刻表の魅力を縷々説明するのですが、中中うまく相手に伝へられず隔靴掻痒の感を抱くとのこと。そこで一度時刻表の魅力、面白さを細かく詳しく語つてみたいと思ひ、本書執筆の運びとなつた訳です。

    したがつて本書の対象はテツではなく、ごく一般の読者を想定して企画されました。
    しかしその試みが成功してゐるのは第一章のみで、第二章以降はすでにその執筆意図を忘れたかのやうな暴走振りであります。おかげで実に愉快な読み物になりました。
    特に第二章「国鉄全線大集会」は、国鉄各線を擬人化し、各線が手前勝手な発言をし、それぞれの線区がいかなる特徴を持つのかを浮かび上がらせてゐるのですが...ごく一般の読者には解りませんよ。これはどう見ても、テツが読んでニヤニヤする内容であります。

    第四章の「ローカル線10傑」は、「ローカル線を旅したいけど、お勧めはどこ?」といふやうな問合せが多いことから発表したやうです。やはり人口密度の低い過疎地を走るローカル線(つまり大赤字線)ほど魅力的といふ傾向がありますので、この10傑の中で、「天北線」「湧網線」「能登線」「阿仁合線」「宮津線」「松浦線」「宮原線」「高千穂線」の8線は、すでに国鉄(⇒JR線)としては廃線となつてゐます。第3セクタア鉄道として生れ変つた線も結構ありますが。

    付章の「つくりたい駅、走らせたい列車」は、メイニヤの本領発揮といつたところです。妄想の域を出ないのですが、通勤新幹線の駅は、本庄早稲田駅など一部で実現してゐると申せませう。寝台新幹線は、作つて欲しいですな。無理だけど。また、山手線電車の最後部を展望車に、といふ提案は面白いのですが、著者自身も「まあ、ぜひやれ、というほどのことではないから、どうでもいいけれど」とナゲヤリになるほど現実性は薄いですなあ。

    しかし組合問題満載だつた国鉄時代と違ひ、現在はJR各社が特長のあるユニイク列車を誕生させてゐます。宮脇氏の面白提案を上回る車両の出現を望むものであります。

    では今夜はこんなところでご無礼します。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-298.html

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著者プロフィール

宮脇俊三
一九二六年埼玉県生まれ。四五年、東京帝国大学理学部地質学科に入学。五一年、東京大学文学部西洋史学科卒業、中央公論社入社。『中央公論』『婦人公論』編集長などを歴任。七八年、中央公論社を退職、『時刻表2万キロ』で作家デビュー。八五年、『殺意の風景』で第十三回泉鏡花文学賞受賞。九九年、第四十七回菊池寛賞受賞。二〇〇三年、死去。戒名は「鉄道院周遊俊妙居士」。

「2023年 『時刻表昭和史 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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