クレヨン王国 月のたまご PART2 (講談社青い鳥文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061472105

感想・レビュー・書評

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  • 「月のたまご」の救出に成功したが、帰る道を断たれた三郎。「もう一度まゆみに会いたい――。」とねがう愛の強さが三郎に脱出する勇気をあたえた。また、クレヨン王国での記憶を失ったまま中学生になったまゆみは、たいせつなものをなくしたような、うつろな日々をおくっていた。そしてクレヨン王国で伯爵となり窮屈な思いをしていたアラエッサとストンストンは、ついにサードとまゆみに再会するためにお尋ね者となって逃げだすが・・・?

    いやー、結構児童書のわりに展開がシビアだよね。探検隊メンバーは皆バラバラでどうしようもなくつらかったり虚しい思いを抱えたまま生きてる。サードが年をとらずに生還できた点はちょっとご都合主義っぽく感じるけど、でも帰ってきてくれてすごく嬉しい!!まるでサードとまゆみに出会う前のようなアラスト組には思わず笑っちゃいました。つらくても笑いを忘れずに、ユーモアを与えてくれるなぁ。記憶を封印されていたまゆみも、ようやく思い出すことができたのでこのまま好きって気持ちを貫いて欲しい。サードとまゆみの幸せを祈ります。

  • 今作は主にアラエッサとストンストンの逃亡の旅。本当の最後の方で4人合流するので全体を通して進展はさほどないが道中のやりとりが面白かった。

    クレヨン王国に戻ると、アラエッサとストンストンは伯爵となり、下世話人という名目の監視の大男がそれぞれに付き、窮屈さを感じつつ、三郎を助けるためまゆみを探そうと脱走したところ、三郎とまゆみを殺した凶悪犯として指名手配された。
    その凶悪犯としての経緯が、まず三郎をアラエッサが殺し、ストンストンがまゆみを殺すのを躊躇っていると、アラエッサがまゆみをも殺したというもので笑った。
    例えの怖い話として、結構生々しい死体や棺桶の話をしだしたアラエッサも面白い。
    また、凶悪犯だとしてバレても、凶悪犯はこんな感じだという見本と言い張ればいいと、白黒のボーダーに見本と書いたシャツを着て歩くのも面白かった。
    一方、三郎は通ると歳をとってしまうタイムトンネルをなんとか通り、そこに赤ん坊がいたので抱っこしていると赤ん坊消滅。
    自分の姿をみると、本来なら50代だったはずが赤ん坊に歳も吸い取られて元々の18歳の姿だった。
    月のたまごを守る婆さんの途中の姿の者が少女になる前に切り離されて独立して生き残っていたダマーニナと出会い、共に火山から脱出する。

  • あんなに大人になってしまったのに、記憶が飛んでしまっているのは本当に辛いだろう。
    周りとのギャップが大きすぎて、抜け殻のようになってしまうのも理解できる。
    しかし、クレヨン王国は夢の国にしては本当に物騒だ。

  • 文章が卓越している。特に、植物や色の描写に長ける。

  • 『永久に』と『可及的すみやかに』に思い入れがある人と友だちになりたい。まゆみの世界の切なさがきわまって、最後は感動的。

  • 1冊で終わるはずだった「月のたまご」
    しかし、最後があまりに悲しすぎたためか、続きを望む声が殺到したそうです。
    そして書かれた2冊目。どちらかというと、つなぎ的な1冊。
    バラバラになっていた月のたまご救援隊が再会するまでのお話です。PART3に期待です。

    それにしても、昔すごく好きだったこの話が、こんなに重い話だったとは…
    大人になったからそう感じるのか、子どもの頃からこの重さが好きだったのか、謎です。

  • 夢買いのバクやネダマンネンが出てくるのが嬉しい巻ですねー
    伯爵になったアラエッサ、ストンストンの愉快な家出物語と、まゆみと三郎再会まで。
    あの旅で、まゆみの精神年齢はぐんぐん上昇して、もう12歳であるとかそういう話ではなくなっているんだね。
    三郎も三倍の寿命を持って19歳という割には、すっかりただの、恋に落ちた19歳だものね。
    このふたりがお互いを思う心は、純粋で切ない。

    p55
     まゆみのおもかげは、いつしか三郎のからだじゅうのすみずみにまで息づいて、一つ一つの細胞の核になっていました。
     三郎は、頭のしんや、胸のおくだけでなく、背中でも、かたでも、うででも、太ももでも、まゆみのことを思いました。
     耳たぶから小指の先まで、髪の毛の一本から足のかかとに至るまで、まゆみのすがたをうつしだす三面鏡がついているのでした。
     それは、そんなにも小さいのに、まるで宇宙でした。その小ささが、百万分の一に分裂しようとも、まゆみからはなれることはできないのでした。
     まったくそれは、ゆれただようおもかげの海でした。波がけっしてわれることがないように、まゆみのすがたは、どんな小さなうつわの中にも入りこんで、たちまち満ち満ちてしまうのでした。

    p147
     いつでも三郎は、まゆみの気配を感じ、そのあたたかい息づかいを感じることができました。そして、それがあんまりつらいので、いま、もしかりに、ほんとうのかのじょがもどってきたとしても、このつらさは消えようがないのではないか、と思われるほどでした。

    まったく容赦なく、児童文学のレベルを超えている。
    ひちりき、とか、しんこ細工も、私はクレヨン王国で覚えたもんねえ。子供相手にどうって話じゃない。

    とまれ、なんて激しい気持ちなんだろう。
    まったく及びもつかないけれども、こういった表現が、自分の書き方のものすごく奥のところにあるんだな。と、ふと今思った。本当、クレヨン王国は私の根っこの近くにいる。

    しかし、何度も、記念式典でのラッパに驚いたまゆみが胸に頭を寄せてきたシーンを思い出しているけれども。あの陰にはまゆみが、三郎を狙う暗殺者を案じて三郎の胸を自分の頭で少しでも守ろうとしていたのに、そこがちっとも書かれないところが、三郎視点だわ。


    p199
     ホオノキは、その大きな新芽をふくらませ、まだいかにもやわらかそうな、うす茶色の葉が、ねむたげにもつれあっているのは、ノウサギの耳か、シカのぶよぶよしたふくろ角のようで、見るからに動物的でした。

    これ、私覚え違いをしていたのかも。
    この話じゃないのかな。コブシのツボミが、子鹿のふくろ角のようだ。と書いてあったように記憶していて、コブシのツボミを見るたびさわるたびに、シカの角……って考えていたのに。あれれ。


    あとがきで、福永さんはただの再会ではなく、クレヨン王国というか、彼の考えていた壮大なテーマ、愛とにくしみを盛り込んで話を続けると書いてらした。
    読んでいた当時の私はダマーニナにまったく愛情を注がず、かわいそうとも思わなかったけれども、そういうところを越えた深い愛なんだろうなあ。


    ナルマニマニ博士が、クレヨーン大学の見栄っ張りの教授に託せば、自分ではこの暗号が解けないのを素直に言わず、人づてで解読するだろうから時間が稼げる!
    と思ってる相手。
    これ、もしやカタツムリのノタムタ君?
    でも彼は改心した筈だしなあ。
    あの朝顔の彼女がスージーだったけれど、パトロール隊長でもスージー出てきたから、この名前でなくてもよかったのではと思ったんでした。

  • 三郎さんの脱出から再会まで。アラエッサとストンストンが監視の中で満たされぬぜいたくをしたり結局手のひらを返されて指名手配になったりと…結構きつい展開でした。そのぶん感動したラスト。まゆみちゃんと三郎さんはクレヨン王国に戻るんでしょうね。

  • 再会のところが感動しました!

  • 0127
    まゆみと三郎、アラエッサとストンストン。みんな再会できて良かった。
    続きが気になる。

    0603再読中
    0604

  • 月のたまごシリーズは2巻のラストが一番好きです。

  • 2008/04/23読破。
    前作の続き。まゆみとサードの再会。
    人間らしい二人がすごく好き。

  • そして再会!!あとがきに、前の作品で終わりにしようと思っていたと福永さん。でもやっぱり再会。あぁ本当に良かったと思えた。4人が会えてホッとしたけれど、ダマーニナの登場にやきもき。

  • つづくとは思っていなかったので驚いた。クレヨン王国での記憶を失っていたまゆみ。ダマーニナと出会った三郎。アラエッサとストンストンパワーアップ!?

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著者プロフィール

名古屋市生まれ。早稲田大学文学部国文科卒業後文筆活動に入る。1956年 オール読み物新人賞受賞。1963年 モービル児童文学賞受賞。1964年 『クレヨン王国の十二か月』で第5回講談社児童文学新人賞受賞。1968年から1988年まで、自然に親しむ心をもった児童を育てる目的で学習塾を開く。
2012年逝去。主な著書に『クレヨン王国』シリーズ47タイトル、『静かに冬の物語』(以上すべて講談社刊)などがある。2012年逝去。

「2016年 『クレヨン王国黒の銀行(新装版) クレヨン王国ベストコレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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