少年H(下) (講談社青い鳥文庫)

  • 講談社
3.20
  • (1)
  • (1)
  • (13)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 27
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061485914

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 戦争はやだね

  • 遊びに悪戯に忙しい少年Hの目線から描かれる戦争の話。中学生~戦後、仕事を始めたところまで。


    読了後1ヶ月以上経ってしまったので…

    終戦後、教練射撃部の先輩が銃器庫の鍵を三つつけました。
    その理由は、もし教練射撃部の銃が終戦反対派に奪われ、抗戦に使用されたたら国家的問題になってしまうので、それを防ぐためでした。
    Hとたいして歳が変わらないのに、広い視野を持っていると驚きました。

    Hが「とうとう終わりましたね。本当に良かった」と言いました。
    私の感覚でも、戦争が終わることは”良いこと”です。
    しかしHは先輩に殴られました。Hを殴った先輩は泣いていました。先輩の父は出征後、生死不明、母は重症、家は焼けてしまっていました。明るく良かったというには気持ちが追いつかないのでした。

    その先輩も含めたメンバーでHは銃を埋葬しました。

    戦後の教練射撃部の行動には、なにか胸が詰まるものがありました。
    銃にしみ込んだH達の想いが、一緒に埋められて、そして新しい道を歩みだしたように思います。

  •  戦時中の過酷さがヒシヒシと伝わってきた。「少年H」はテレビドラマで一度見たことがあるが、時間の関係で原作の少しでも笑えるところなどが多々省かれていて、余計に戦争の酷さが伝わって来たのを覚えている。
     空襲によって家を失い、新しく一家で住むことにした住居でも、隣の部屋の子供からしょっちゅう覗かれたりしていたら、肇がうなされてしまうのも仕方が無い。戦争が及ぼす一般市民の辛さを体験談で学ぶことができる作品だった。

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

妹尾河童
1930年神戸生まれ。グラフィック・デザイナーを経て、1954年、独学で舞台美術家としてデビュー。以来、演劇、オペラ、ミュージカルと幅広く活躍し、「紀伊國屋演劇賞」「サントリー音楽賞」など多数受賞する。また、エッセイストとしても、『河童が覗いたヨーロッパ』『河童が覗いたインド』などの大人気シリーズで知られている。著書多数。『少年H』は、著者初の自伝的小説で、毎日出版文化賞特別賞受賞作である。

「2013年 『少年H(下巻) (新装版)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

妹尾河童の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×