クレヨン王国 道草物語 (講談社青い鳥文庫)

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  • 講談社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061485969

感想・レビュー・書評

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  • 春母丘陵まで来たのにクラッカーが出てこなかったことにはびっくりしたけれど、ストンストンのロマンスにはもっとびっくりした。アラエッサ!と叫んでしまう。

  • 三木さんが画材をCGに変えて、うーん……と思っていたけれど、ここへ来て、ますます……そのつやつや感は、似合わないです……
    三木さんもお年で、もうアナログ画材を使うのに体力が足りなくなられていたのかなあ

    p66
    月のたまごというタイトル冠が取れてからの月のたまごシリーズは、なんだかカメレオンのかっこよさが強調されている。
    ナルマニマニと楽しくふざけたあと、気象長官のヒクイドリを呼びつけて、その理由を「アラエッサ、ストンストンをやる春良
    地方の雪どけ予報を知りたいから」と、ナルマニマニには説明。
    実は、脱走した重罪人たちがそちらの地方に逃げたから、その見張りを増やしたり気象情報を知りたいという意図もあった。
    これ、ナルマニマニには隠す事柄でもないのに、そこまでは言わないんだもんなあ……カメレオン、かっこいい。とてもぎっくり腰で、三郎を困らせたあのおじいちゃんとは思えない。

    ナルマニマニは、彼の機転が、クレヨン王国を救う一助になりそうで、とてもよかった! アクーリカの中に四土神の入った宝石箱を隠したときには、どうしようかと思った。

    ストンストンが一目惚れしたポニーのお嬢さん、パッパカちゃん。将来の近衛兵候補なんだが。
    ストンストン、おめでとう。遭難したふたりの距離は、ぐっと縮まりました。

    p210
     ストンストンは、のこる一本のうでをゆっくりまわして、かのじょのこしを抱きました。
     パッパカは、火のような息をつきました。
     ストンストンは、パッパカのたましいが、パッパカは、ストンストンのたましいが、どこまでもどこまでも浸透していくのを感じました。
     ことばは、その機能をうしない、感情も死んだように、しずかです。表面に出ることをゆるされているのは、せいいっぱいの呼吸と、胸の動悸だけでした。ほかのすべての個性、ストンストン的なもの、パッパカ的なものは、このいのちの燃焼の前には、なんの主張もできませんでした。

    官能的……! そして、感動的だ。たましいが結びつく相手を、得たんだね、ストンストン。

    またしてもカメレオン総理、かっこいい。
    p224
    「総辞職は、ありません。だって、首相官邸を改築するという話を、とてもうれしそうにしていたんだから。」
    「ほーら、だから、それすなわち総辞職だよ。」ルカは、手をあおぐように横ふりして、「自分のために改築するなんて、かれは、そんな人じゃないよ。かれは、引退すべく、サードをよびかえしたんだわ。」
    「じゃあ、サードが首相に?」
    「それ以外の人がいるの? かれは、それを前提に、サードを人間界へ送ったんだわ。いずれ、クレヨン王国は、人間と、より深刻に対立していく。人間事情に通じている人でなければ、とうてい、この国をまもっていくことはできない。ね、正解でしょ。」


    あとがきより。より……全文。

     希望というのは、たいていは、はずれるものです。最高の幸運をゆめみるのが、人間のくせなので、ある意味では、とうぜんというしかしかたありません。こうして、ほとんどの人が、道草を余儀なくされるのです。道草のない人生は、ないと思っていいでしょう。
     でも、目標ひとすじにつきすすんだ人が、はたして、ゆたかな人生を得られたといえるのでしょうか。山あり、川あり、町あり、原ありで、はじめて万人が必要とする地図が生まれるのです。道草は、あなたをつくります。徹底的に、つくりなおします。……好奇心、計画性、疑念、嫉妬、憎悪、同情、趣味、友情、視野……。
     ありとあらゆる微細な情念や、精緻な理論をきたえなおし、育てなおしてくれます。それは、くだものが太陽のめぐみをあびてじっくりと熟れていくのと同様に、人間という味をつくりあげるのに、欠かせない過程なのです。
     ――航路を、まちがえたのか。――まちがえたってかまいません。船は、洋上をすすんでこそ船なのです。どんな人生も、たった一つしかなりっぱな人生です。ほかのどんな人も、あなたになることはできません。あなたは、あなたであるだけで、かけがえのない人なのです。だから、あなたの道草に、「かんぱい!」です。
     だれだって、自分の影とのふたり旅。それこそ、心臓がとまるまでつづく、生きるという行為なのです。いま、むだなように思えることも、何年か先には、りっぱな意味をもって、あなたを個性の結晶でかざることでしょう。そう信じたほうが、とくです。
     人間には、成功もなければ、したがって失敗もありません。成功や失敗という小さなことばではつつみこめないものが、満天の星のように数かぎりなく広がっているのが、人生なのですから。
     あなたは、自分の手を愛し、自分の胃ぶくろを愛し、自分の衣服を愛するように、あなたの道草を愛すればよいのです。
     わたしもまた、道草をかさねてきました。たびたび、青雲の志に水をかけられ、かけられしながら、今日まで生きてきましたが、ここらで初心にかえり、再出発する覚悟です。それも新しい道草になるのかもしれませんが。荒野の旅人どうしとしていつか、どこかでお目にかかりましょう。

     二○○二年 夏

  • 久しぶりに読んだクレヨン王国。新しいものはあまり読んでいないので、これからぼちぼち読んでいきたいな。
    アラエッサやストンストン、カメレオン総理等、懐かしいひとたちがたくさんでてきて、ああクレヨン王国だなぁ、と思う。ぽんぽんと話があちこち飛んでいく感じや、収束というのとは少し違った話の成り行きも。逆に、これまでけっこうその一冊だけ読んでも大丈夫なものが多かった気がするけれど、これはこの巻までのいくつかを読んでいないと厳しいのじゃないかしら。大きくとらえれば、月のたまごシリーズということになるのかな。
    前の話も、読んだのはもう十年近く前。それにしてはけっこう覚えているなぁと思うけれど、うろ覚えのものも多いので、また読みなおしたい。

  • 0612

    パッパカ可愛い。

  • あとがきに100点満点だよ。
    ものすごく素晴らしくて泣きそうだった。それにしても1回でイマイチ進まない感じがなぁ。。。でも、あとがきが凄かった。コピー取っておこう。

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著者プロフィール

名古屋市生まれ。早稲田大学文学部国文科卒業後文筆活動に入る。1956年 オール読み物新人賞受賞。1963年 モービル児童文学賞受賞。1964年 『クレヨン王国の十二か月』で第5回講談社児童文学新人賞受賞。1968年から1988年まで、自然に親しむ心をもった児童を育てる目的で学習塾を開く。
2012年逝去。主な著書に『クレヨン王国』シリーズ47タイトル、『静かに冬の物語』(以上すべて講談社刊)などがある。2012年逝去。

「2016年 『クレヨン王国黒の銀行(新装版) クレヨン王国ベストコレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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