神秘体験 (講談社現代新書 940)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061489400

作品紹介・あらすじ

なぜ幻覚や幻聴に天国や地獄を見るのだろう。現実と他界との境界領域を、踏破した筆者の神秘との対話。

感想・レビュー・書評

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  • 著者の専門は宗教民俗学であり、特定の宗教の教義によることなく、人間にとって「脱魂」や「瓢霊」といった神秘体験がどのような意味をもっているのかということを多面的に論じています。

    こうした特色が、本書の強みとなっているということもできるかもしれません。その一方で、エックハルトらの神秘主義、チベット密教、イスラム教のスーフィズム、さらには現代における臨死体験の報告など、議論があちこちに飛んでいくばかりで、神秘体験の内実に深く迫るような分析がおこなわれていないという不満も覚えます。

  • [ 内容 ]
    なぜ幻覚や幻聴に天国や地獄を見るのだろう。
    現実と他界との境界領域を、踏破した筆者の神秘との対話。

    [ 目次 ]
    1 空間―私の神秘体験から
    2 神秘主義の諸潮流
    3 エクスタシーとカタルシス
    4 音―共鳴と律動
    5 聖なるキノコ―幻覚と薬
    6 死 輪廻転生の装置

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    [ 参考となる書評 ]

  • 持っていたはずなんだが
    探しても見つけられないので
    再度購入。
    アマゾンで1円でした。

    ネット上でこの本の一部を引用しているものを
    見つけました。
    チベット仏教をアメリカで布教していた
    チェジァム・トルンパ師についての記事です。

    文体や雰囲気がわかり易いかもしれません。

    以下引用です。

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

     かれはアメリカではタレントなみの人気をえていた有名人で、ベストセラーになった著作を何冊ももっていたのである。わが国でも知る人ぞ知るで、現代のチベット仏教に関心をもつ人で、かれの名を知らぬものはおそらくいないのではないだろうか。p83

     トルンパは、アメリカを舞台にして、まさに八面六臂の活躍をしたチベット仏教の「尊師」であり、精力的な運動家であった。その運動範囲も国際的なひろがりをみせ、人種や階層をこえて多くの熱心な支持者を、その周囲にひきつけることに成功した。
     そのトルンパが、わずか47歳の若さで、突然世を去った。油ののりきった人生の絶頂期に、かれを慕う多くの人々のまえから姿を消してしまったのである。
     詩人のアレン・ギンズバーグはかれの死を悼んで、「師は西欧世界における今世紀最大の仏教の教師であった」とまで激賞した。ギンズバーグは、トルンパが1970年に渡来したとき以来の友人であった。アメリカにはさまざまな仏教のセクトがつくられているが、仏教徒の数は300万とも500万ともいう。そのなかで、トルンパは最高の教師だったと評したのである。p84

     アメリカに移住してからも、その多才でエネルギッシュな活動がつづくが、それにもかかわらずかれの生活ぶりは矛盾にみちたものであった。例えば禅の瞑想がいいとなると、ただちにそれを自分の教育方針のなかにとり入れた。それのみではない。かれは大量に酒をのみ、シガーをふかした。そして詩を書いて、愛と性愛を高らかにうたいあげたのである。
     彼はありのままの姿に満足しない人間に冷笑を浴びせ、より高い生活をのぞむ人間に鉄槌を下した。自分自身であることが唯一のみちびきであるといって、もったいぶったことばづかいをいっさい信用しなかった。p85

     チベット仏教の神秘思想と瞑想技術が、アメリカのポップアート的なカルチャーや、ビート・ジェネレーションの反時代的な意識と結びついて、不思議な魅力にあふれた信仰運動を展開していったのである。p86

     私は、もしもこのトルンパが長生きをしていたら、第二の鈴木大拙になったのではないかとふと思う。かれの説く神秘的な瞑想世界や桃源郷(シャンバラ)のイメージは、何となく鈴木大拙の禅や霊性的世界に近いのである。p87

     それにしても、チェジァム・トルンパは、あまりにも早くこの世を去ったといわなければならない。47歳という年齢は、90歳をこえて死んだ鈴木大拙のちょうど半分にしかあたらない。それだけにまた急逝したトルンパの死を惜しむ声も高く、かれの葬儀は伝統的なしきたりを重んじ、ものものしい雰囲気のなかで思いきり盛大に執行されたのである。p87

     チベット仏教の神秘的な尊師は、こうして昇天した。かれはあのビートの教祖、アレン・ギンズバーグがいうように、たしかに「聖なる野蛮人」の一人であり、「霊的なイリュミネーション」を体現した、「偉大なる教師」だったのであろう。p88



    地球人スピリット・ジャーナル
    http://plaza.rakuten.co.jp/bhavesh/diary/200705310001/

    山折哲雄作品リスト
    http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_tyosha.jsp?ty=10254&x=B

    wikipedia
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E6%8A%98%E5%93%B2%E9%9B%84

  • オームからアーメンへ進化した。世の中にはまだまだわからない神秘体験がある。私は体感したことないが。シャーマンや伝説って面白い。

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著者プロフィール

山折 哲雄(やまおり・てつお)
昭和6年サンフランシスコ生まれ。父は浄土真宗の海外布教使。震災の被災地岩手県花巻市で少年時代を送る。東北大学印度哲学科卒業。同大助教授を経て国立歴史民俗博物館教授、国際日本文化研究センター所長などを歴任。むずかしいテーマを分かりやすく、かつ独得な視点から論じて読者を飽かさないユニークな宗教学者。専門の宗教学、思想史のほか、西行などの文学的テーマから美空ひばりまで、その関心とフィールドの広さは定評がある。『人間蓮如』『悪と往生』『ブッダは、なぜ子を捨てたか』『親鸞の浄土』など、著書は100冊を越える。

「2022年 『日本人の心と祈り 山折哲雄講演選集 CD版 全6巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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