ハプスブルク家 (講談社現代新書)

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著者 : 江村洋
  • 講談社 (1990年8月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061490178

ハプスブルク家 (講談社現代新書)の感想・レビュー・書評

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  • 少し主観すぎる部分があったが、それも含めてとてもわかりやすく、ハプスブルク入門書としてはよいと思う

  • ハプスブルク家の興りから崩壊までが描かれている。著者の主観が入っている感もあるけど、その分物語のようでスルスルと読めた。
    歴史に関してではない難しい言葉がたくさん出てくる。
    ヨーロッパの複雑な歴史に、わからないところは調べながら読んだ。
    無能と思われたため皇帝となったルドルフ一世から、700年に及んだハプスブルク帝国。
    でもまだ、なぜここまで栄えたのか、については漠としている。

  • 複雑にからまっている歴史だけれど、「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」と並行して読むとわかりやすい。名画~を入口にして、その奥に進めるかんじ。

  • ○この本を一言で表すと?
     ハプスブルク家のメイントピックを物語風に描いた本


    ○この本を読んで興味深かった点・考えたこと
    ・ハプスブルク家がどこで興ったのか、なぜハプスブルク家がヨーロッパで最も長い王朝として続いたのか、メインとなる話をそれぞれクローズアップして書かれていて、ヨーロッパ全体の歴史と併せて俯瞰できたように思いました。世界史の本でよく登場するハプスブルク家以外の人物について、別の視点から知ることができたこともよかったです。

    ・所々現在形の物語風に書かれていて楽しく読めました。当時の捉え方はこうだったのかもしれないな、という臨場感みたいなものが味わえたような気がしました。

    ・戦争に強くなくても婚姻政策で広大な領地を得ていく様子が興味深かったです。全てが意図的であったかどうかはわからないですが、意図的でなければ平和的と取れるし、陰謀論的に考えれば暗殺を成功させ続けてきた結果とも取れそうだなと思いました。

    ・ハプスブルク家といえばオーストリアの印象しか持っていませんでしたが、その興りはスイスのチューリヒより西の地域だったと初めて知りました。(序章 ハプスブルク家の揺籃期)

    ・神聖ローマ帝国の選帝侯から、明らかな傀儡として当たり障りのない人物、貴族として新たに国王として選ばれたハプスブルク家のルードルフ一世が、能力も人望もある人物として頭角を現し、当時の国王候補だったボヘミア王オットカル二世が反発し、戴冠式に列席しなかったことから追討軍の名目を得て、ついには現在のオーストリアに当たる地域の領土を得たというのは、かなりの立身出世ストーリーだなと思いました。(序章 ハプスブルク家の揺籃期)

    ・ルードルフ一世の息子アルプレヒト一世は同じ論理でハプスブルク家がむしろ権勢にあることから選定されなかったものの、代わりに選定された者が早くに夭折したことからまたハプスブルク家が国王として選定されることになったこと、その後甥に襲われて殺されたこと、それから130年間選定されることがなく、また同じ論理で無能力者と思われていたフリードリヒ三世が選定されたこと、このフリードリヒ三世が様々な苦難に遭いながら、忍耐力を持っていて長生きしたことで53年という長期間在位することになったこと、それがハプスブルク家の神聖ローマ帝国の国王としての地位を盤石にしたことなど、章のタイトル通りその後続いていくハプスブルク家の「揺籃期」が短い文章でうまくまとめられていて分かりやすかったです。(序章 ハプスブルク家の揺籃期)

    ・当時は強力で神聖ローマ帝国の国王候補としても有力だったブルゴーニュ公国のシャルル突進公の娘マリアを、フリードリヒ三世の息子マクシミリアンの嫁とすることができ、その後すぐにブルゴーニュ突進公がスイスとの戦争で陣没し、ブルゴーニュ公国が得られたことは、その後の結婚政策で領地を得る最初の一歩だったのかなと思いました。(第1章 マクシミリアン一世)

    ・マリアが若くして亡くなることで、ブルゴーニュ公としての立場に居続けることが難しくなり、息子のフィリップが成長した後にドイツに活動の場を移したこと、トルコのヨーロッパ侵略が激しくなったことからローマ国王には強い者が求められるようになり、父親の跡を継いでマクシミリアン一世がローマ国王になったことなど、土台固めが出来過ぎなほどできているなと思いました。(第1章 マクシミリアン一世)

    ・マクシミリアンの子供や孫が、スペイン、ハンガリーと二組結婚する二重結婚で結びつき、その後他の国王達が死亡することでまたその地の王になるということが相次いで、戦争によらず領地を拡大しているところが、ある意味痛快だと思いました。「戦は他国にさせておけ。幸いなるオーストリアよ。汝は結婚せよ」という俚諺はまさにハプスブルク家のあり方をうまく表現していると思いました。(第1章 マクシミリアン一世)

    ・統一されたばかりのスペイン王にもなったカール五世の生きた時代は、宗教革命やフランスとの対立、オスマン帝国の侵攻など、変化の大きい時期でもあり、ヨーロッパの変化の時期でもあったのだなと改めて思いました。(第2章 カール五世とその時代)

    ・広大な領地の王となったカール五世が様々な地域に足を運び、その引退の時にはそれまで数多く兼任していた役職を辞職して余生を過ごしたというのは、当時にしてもかなり潔いあり方だったのではないかと思いました。(第2章 カール五世とその時代)

    ・オーストリアとスペインという離れた位置を兄弟で治めていたことから二系にわかれ、スペインの方が廃れていったというのは、イギリスに無敵艦隊が敗北したことなど、世界史のトピックが関連していて興味深いなと思いました。(第3章 ウィーンとマドリッド)

    ・スペインがそれ以前から国力としては衰退していく傾向にあったこと、文化的にはまさに興隆しようとしていたことは、どこかプロダクトラフサイクルの導入期・成長期・成熟期・衰退期の成熟期に位置している企業・製品を思い起こさせるなと思いました。(第3章 ウィーンとマドリッド)

    ・新教徒との30年戦争など、トラブルも抱えながらそれまで分割相続していたところを長子相続に変更するなど、領土の広さとしてはピークを超えてしまっているものの、それ以降も長く続くハプスブルク家の土台ができているなと思いました。(第3章 ウィーンとマドリッド)

    ・長子相続を決めた背景に、マリア・テレジアに跡を継がせる意図があったこと、実際に継がせたときは周囲の反発があったこと、プロイセンのフリードリヒ二世にシュレージェン地方を奪い取られることなど、マリア・テレジアの時代にも特有の問題が起きて大変だっただろうなと思いました。(第4章 マリア・テレジア女帝)

    ・大変な中で、人材登用で内政を充実させ、外交によって周囲との関係を改善し、戦争でも戦い抜いたというマリア・テレジアの精力的な活動はすごいなと思いました。更に、その政務をこなす一方で20年間に16人の子供を産んでいたというのは驚きだなと思いました。また、シェーンブルンの宮殿で子供たちの稽古事を見るなど、母親としての活動も厚かったというのは、よほど時間管理もできていたのかなと思いました。(第4章 マリア・テレジア女帝)

    ・マリア・テレジアの息子ヨーゼフ二世とレーオポルト二世が早く亡くなり、レーオポルト二世の優秀な子どもたちのなかで唯一平凡な長男のフランツ二世が皇帝になり、更に神聖ローマ帝国からオーストリア帝国に名称を変更し、ナポレオン戦争を経てウィーン会議が始まるなど、この時代もまた激動の時代だなと思いました。(第5章 会議は踊る)

    ・フランツ二世の息子フェルディナント一世が無能力者のまま帝位につき、その後甥のフランツ・ヨーゼフが帝位について19世紀、20世紀初頭の長い間政務に就いたことが書かれていました。フランツ・ヨーゼフが妻のエリザーベトを愛しながらもエリザーベトは旅に出続け、ついには旅先で亡くなったこと、弟のマクシミリアンはメキシコ皇帝に祭り上げられて現地の反乱で殺されたこと、長子のルードルフが自殺したことなど、身内の死が相次ぎ、唯一の後継者候補となったフランツ・フェルディナントとは意見が合わず、ついにはサライェヴォで暗殺されて第一次世界大戦の引き金になるなど、苦労続きの人生だなと思いました。(終章 民族主義の嵐のなかで)


    ○つっこみどころ
    ・著者の主観や人物の好き嫌いがかなり混じっていそうで、歴史としての正確性は微妙なところもありそうだなと思いました。だからこそ読み物として面白くなっているのでマイナスとも言えないかもしれませんが。

  • 約7世紀に渡る、世界一の名門王朝。
    ハプスブルクの人間たちの、愛と知恵と武勇と失敗の物語である。

    まさに西洋史!な、ダイナミズムにあふれている圧倒的な面白さだった。
    もちろん、これは通史であり、面白いところをより凝縮して楽しめるように書かれた新書であるからして、これだけが当然全てではない。

    だが、入り口としてはこれは最適だと考えられる。
    ハプスブルク家といえば、西洋一の名門貴族、というイメージがある一方で、なかなか把握しきれないところがあったが、理解にも大いに役立った。

  • 1990年刊行。著者は東洋大学文学部教授。◆欧州大陸の中世史・近代史において、700年間王朝を維持したものはハプスブルグ家のみ。ならば、欧州大陸史に楔を打ち込む上で、ハプスブルグ家を幹に据えるのは当然といえよう。今更ながら、この視点を持ち得なかった不明を恥じたいところであり、英仏史と、あるいはオスマン・トルコ史とを対比させつつ読むと、欧州史・イスラム史の全体の中で理解が進み、個人的に本書は非常に有益であった。◇①カール5世、②マリア=テレジア皇妃は追跡し続けたい人物である。

  •  江村洋(1990)『ハプスブルク家』講談社現代新書


    【目次】
    はじめに――ヨーロッバにおけるハプスブルク [003-010]
    目次 [011-016]

    序章 ハプスブルクの揺籃期――ルードルフ一世からマクシミリン帝へ 017
    1 ヨーロッパの表舞台へ 018
    ハプスブルク城/神聖ローマ帝国/ルードルフ一世/ボヘミア王オットカル二世/ハプスブルクの発祥地
    2 新天地オーストリア 030
    アルプレヒト一世/スイスの独立/系統分裂の時代

    第1章 マクシミリアン一世――華麗なるブルゴーニュ文化のさなかで 039
    1 ブルゴーニュ公国 040
    フィリップ善良公〔ル・ボン〕/シャルル突進公/トリーアの会見
    2 若きブルゴーニュ公 046
    ヴァロア対ハプスブルク/愛児誕生/公国の混乱/巻き返し/トルコの影/ロー王/インスブルック
    3 イタリアの動乱 061
    スフォルッァ家との縁組/イタリアの勢力均衡/対仏の神聖同盟成立〔リガ〕
    4 ハプスブルクの結婚政策 067
    帝国の問題/皇帝の孫たち/スペイン王女フアナ/ハンガリー王冠の行方/サーポヤイ=ヤーノシュ

    第2章 カール五世とその時代――太陽〔ひ〕の没することなき帝国 079
    1 スペイン王国 080
    カール兄弟/スペインへの第一歩/皇帝選挙/ヴォルムスの国会/スペイン王カルロス一世/諸国の動静
    2 フランスとの対決 094
    パヴィアの戦い/サッコ・ディ・ローマ/イサベラ/ボローニャの戴冠式/アウグスブルクの帝国議会/エラスムス
    3 オスマントルコ 103
    ウィーンの包囲/トルコの海軍/チュニス遠征
    4 プロテスタントの問題 109
    シュマルカルデン同盟/アウグスブルクの宗教和議/スペイン系とオーストリア系/旅また旅の人生/劇的な退位

    第3章 ウィーンとマドリッド――ハプスブルクの枢軸 121
    1 フィリップ二世 122
    ハプスブルクの両系/世界史のスペイン時代/エスコリアル宮殿/スペインの衰退
    2 三○年戦争 130
    オーストリア家/ハプスブルクの兄弟争い/フェルディナント一世/三○年戦争/ウェストファリア条約
    3 オーストリアのバロック時代 142
    レーオポルト一世/オイゲン公/スペイン王冠の行方/カール六世の親政/相続順位法/芸術への理解/君主の神格化/バロック時代の終焉

    第4章 マリア・テレジア女帝――恵み豊かな治世 157
    1 オーストリア継承戦争 158
    シュレージエン泥棒/他国の反応は?/ハンガリーにのりこむ
    2 女帝の改革 165
    人材登用/国家の再建/カウニッッ伯爵登場/外交革命/七年戦争
    3 女帝の人となり 176
    開かれた宮廷/シェーンブルン/風紀/愛児ヨーゼフ
    4 母としてのマリア・テレジア 184
    最大の不幸/慈母/王朝意識の変化

    第5章 会議は踊る――三月革命の前夜 191
    1 国家の従僕 192
    ヨーゼフ二世の評価/矢継ぎ早の改革/バイエルン出兵とハンガリー問題/レーオポルト二世
    2 ウィーン会議 200
    フランツ二世/オーストリア皇帝/ウィーン会議
    3 三月前期〔フオアメルツ〕 206
    ウィーン体制/ビーダーマイヤー/メッテルニヒの謀略

    終章 民族主義の嵐のなか――ハプスブルク帝国の落日 213
    1 オーストリア¬=ハンガリー二重帝国 214
    フランツ・ヨーゼフ帝/官僚制/三つの事件/ハンガリーの独立運動/ボヘミアの動向/言語令
    2 帝国の瓦解 229
    皇妃エリーザベト/メキシコ皇帝マクシミリアン/希望の星/あいつぐ悲劇/サライェヴォの銃声/ハプスプルク王朝の終焉

    あとがき(一九九〇年六月 東京 上目黒にて 江村洋) [242-247]

  • 数年前ウイーンを訪れたときに、この繁栄の基礎を実感できなかったため手に取った。
    ハプスブルク家700年の概略とヨーロッパを大掴みするのにとても役立った。
    ここから、興味を持って深読みしていくのは…相当深そう…

  • この歳になってやっとで「ハプスブルク家」というのが何かが分かった。読みやすい。

  • 多分にハプスブルク家寄りの視点で書かれているので注意は必要。しかし、カール5世とマリア・テレジアにスポットライトを当てたかったという著者の意図を考えると、その点は非常によく伝わってきたし、ハプスブルク自体を俯瞰しながら捉えられるので一読の価値はあり。
    しかしマリア・テレジアは16人の子どもを産みながら国家を統治したって、何という体力なんだろう…笑

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