- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061490178
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
1273年、とある人畜無害の貧乏総領が神聖ローマ帝国の国王に消去法で選ばれた時、以降700年のヨーロッパの歴史が決定づけられた。
ルードルフ1世からカール5世。フィリッペ2世を経てマリア・テレジア。そして悲劇に彩られた最後の皇帝フランツ・ヨーゼフ1世まで。ヨーロッパの歴史そのものとさえいえるハプスブルク家の栄枯盛衰を、文語調で講談師よろしく臨場感たっぷりに語ってくれる、世界史ファンにお薦めの読み物。 -
『図説 ハプスブルク帝国』の参考文献の一つに挙がっているのが、前述した江村洋『ハプスブルク家』である。上記の本よりさらに詳しく、ハプスブルク家の歴史、君主の物語を展開する。キリスト教と並び、汎ヨーロッパ的な性格と重要性を持った王朝はハプスブルク家のみ。その歴史を辿ることは、ヨーロッパの歴史を辿ることでもある。この本も、ハプスブルク家の歴史を物語のように読み進めることができる。15世紀後半、政略結婚を成功させ、ブルゴーニュから西ヨーロッパの国々と深く関わり合うようになったマクシミリアン1世。16世紀前半、スペイン王となり「太陽の没することのない帝国」となった時代のカール5世。18世紀オーストリアを中心に中欧の近代化を進めた女帝マリア・テレジア。実質上ハプスブルク最後の皇帝となったフランツ・ヨーゼフ。これらの君主に焦点をあて、その活躍について詳しく書かれている。特にマリア・テレジアを高く評価している。
江村洋『ハプスブルク家』(講談社現代新書)を参考に、ハプスブルク家のヨーロッパでにおける歴史をざっくり概観すると、1273年にルドルフ1世が神聖ローマ帝国の王位について、スイスの片田舎からオーストリアへ進出したことから、その歴史は始まる。その後ハプスブルク家が全欧的な王朝に発展したのは、15世紀後半にマクシミリアン1世が、ブルグント(ブルゴーニュ)公国の跡取りとなる王女と結婚してからであり、一躍、世界史の檜舞台に躍り出たことになる。武力だけでなく、その子・孫の政略結婚により、ハプスブルク家はスペイン、ナポリ、ハンガリー、ボヘミアの王となった。そして16世紀前半のカール5世の時代のヨーロッパは、英仏両国とローマ教皇庁領を除けば、ほとんどハプスブルクの支配下にあり、「太陽の没することがない帝国」となった。
不世出のカール5世亡き後、スペイン系とオーストリア系に分かれ、それぞれが独自の道を歩むが、スペイン系は18世紀初めにブルボン家に奪われて消滅する。オーストリア系は、18世紀半ばのマリア・テレジア女帝の時代に一つの頂点を迎えた。この時のオーストリアは、ネーデルラント、北イタリア、ハンガリー、ボヘミアなどを含み、この時代にオーストリアの近代化が進んだ。19世紀になると民族主義の嵐が吹き荒れ、その影響を受けたのが多民族国家オーストリアであった。1848年の三月革命の年にオーストリア帝に即位したのが、ハプスブルク家の事実上最後の君主、フランツ・ヨーゼフである。民族独立が現実となり、オーストリア帝国を「オーストリア=ハンガリー二重帝国」と改名し、ハンガリーに半ば独立を認める形となった。その後チェコ人も民族運動を展開、混乱を深める中、第一次大戦が勃発、そのさなかの1916年に最後の皇帝フランツ・ヨーゼフが亡くなり、7世紀に及ぶハプスブルク王朝は終焉した。 -
ハプスブルク展にむけての予習。
ハプスブルク家について客観的な史実を知りたいならとても良い書。
何年になにが起こって…ということが詳しく書いてあるため勉強になる。
芸術や恋愛についてというよりは本当に政治的な部分が詳しくわかる。
マリーアントワネットやエリザベートについてさらっとしか触れられてなくて少し驚いたけど、あとがき読んで納得です。
マリア・テレジアを好きになりました。 -
数年前ウイーンを訪れたときに、この繁栄の基礎を実感できなかったため手に取った。
ハプスブルク家700年の概略とヨーロッパを大掴みするのにとても役立った。
ここから、興味を持って深読みしていくのは…相当深そう… -
この歳になってやっとで「ハプスブルク家」というのが何かが分かった。読みやすい。
-
多分にハプスブルク家寄りの視点で書かれているので注意は必要。しかし、カール5世とマリア・テレジアにスポットライトを当てたかったという著者の意図を考えると、その点は非常によく伝わってきたし、ハプスブルク自体を俯瞰しながら捉えられるので一読の価値はあり。
しかしマリア・テレジアは16人の子どもを産みながら国家を統治したって、何という体力なんだろう…笑 -
面白かった。次は神聖ローマ帝国だろうか
-
マンションで読む。再読です。
-
90年の著作だからか、文体が古く少し読みにくかった。