イスラームとは何か〜その宗教・社会・文化 (講談社現代新書)

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著者 : 小杉泰
  • 講談社 (1994年7月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061492103

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イスラームとは何か〜その宗教・社会・文化 (講談社現代新書)の感想・レビュー・書評

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  • イスラームの歴史を初心者にも分かるように、平易に書かれた入門書。ユダヤ教キリスト教との対比もされていて、また中立的に書かれているので、すごく分かりやすい。イスラームは他の一神教と違って、法学、政治と一体になっているので、権力が保たれている状態なら良いのだが、そうでなくなった場合は非常に厄介だと感じた。確かに現在、ムスリムにとっては危機的な状況かも知れないが、過激な解決法は避けてもらいたいものだ。歴史を見ても、イスラームは帝国を作るための法秩序を述べたものであって、我々が普通思い浮かべる宗教とは違う。なぜ宗教のためのに殺しあうのか、やっぱりこれを読んでも理解できなかった。我々が平和ボケしているだけなのか?

  • 今年の中東アラブ諸国の民衆による革命の動きは驚くべきものがあるが、その一端を理解するのに欠かせないのがイスラムという考え方だろう。
    イスラムに関しては、観光でモスクに行ったり、美しいアラベスクに魅せられたり、コーランの音色に不思議なものを感じたり、といったことはあるけれど、正直あまりよくわかっていないので興味を持って読んでみた。
    成り立ち・歴史、教義、社会との関係、現代社会とイスラム、など一通り網羅されており、かつわかりやすい。
    ちなみに、教えの名前自体が「イスラム」と規定されているので、「イスラム教」という呼び方はあまり正しくないらしい。

    イスラムは教義にも特徴があるけれども、一番特筆すべきは、イスラムは狭義の宗教としてだけでなく、政治や経済を含む社会の様々な活動のルールを規定している、という点だろう。
    他の宗教では、宗教は宗教、社会システムは社会システムで別のもの、という感があるけれど、イスラムが宗教であり法であり社会システムである。
    いままでは、そこがよく分かっていなかったので理解できなかった部分が多かったのではないかと思う。

    また、コーランは神の啓示なので絶対だが、その解釈には柔軟性を持たせているというのも少し以外だった。
    原理主義的なイスラムが大きく取り上げられがちだが、時代に対応したコーランの解釈というのも続けられているようだ。

  • 数年前にモロッコ、ウズベキスタンを訪れてから漠然とイスラムについて持っていた”女性は肌や髪を露出してはいけない”とか”イスラムの人は皆戒律を守っている”とか、全く幼稚な知識を恥ずかしく思うと同時に、人々のやさしさ、イスラム文化、歴史の豊かさに魅了された。昨今の政情不安定、ならず者が幅を利かせるイスラム思想が日々報じられることから、ただでさえもイスラムの知識、情報が限られる日本において、イスラム=危険・テロ等間違った認識が広まってしまうことを危惧する。かく言う私もイスラムをそこまで理解しているわけではないので、入門レベルで読んでみた。この本は、イスラーム入門としては、わかりやすい本だと思う。イスラムの誕生、歴史、コーラン、そして最近のイスラム社会における問題、矛盾点等わかりやすい。最近というのは無理があるかもしれない、なぜならこの本が書かれたのは1994年だから。それから世界は様変わりし、アラブの春やイスラム国等はもちろん出現していない。
    特に印象に残ったこと
    ・イスラムは唯一神、そしてその預言者ムハンマド以下は皆平等である。
    ・前述は、時としてイスラム社会の混乱を招く原因ともなった。すなわち根本的には決定者(権力者)がいないからである。そういった中で、コーランを研究する学者は、その中でも、重要な役割を持った。
    ・いつの時代も、権力を私利私欲のために使ってきた暴君がいた。それらはコーランに明確に「神の下した規定によって統治しない者は圧制者である」と述べられている。今のイスラム国、ボコハラムの指導者達も、ここに立ち返れ、と思う。一般のイスラムの人も立ち上がれないか。
    ・結婚も平等の精神の元にある。例えば第一夫人と第2夫人は平等に扱われなければならない。第1、第2は決して序列ではない。昔戦争が多かった時代女性が余り気味だったため、妻を複数持って良いこととなったが、全ての妻を物質的、時間麺、金銭的全ての面から平等に接しなければならない、即ち、複数の女性を結婚したいという男性の欲のための制度ではないということ。
    ・近代では法律は属地的である。しかし、イスラムは、属人主義である。すなわちイスラム教の人が非イスラム国に行ったからと言って、イスラムを守ることから免除されるわけではない。ラシュディの”悪魔の詩”の問題はここ。

    また時を置いて読み返したい。

  • 序 「イスラーム」の発見へ
    第一章 新しい宗教の誕生
    第二章 啓典と教義
    第三章 共同体と社会生活
    第四章 第二の啓典ハディース
    第五章 知識の担い手たちと国家
    第六章 神を求める二つの道
    第七章 スンナ派とシーア派
    第八章 黄金期のイスラーム世界
    第九章 現代世界とイスラーム

  • 1994年刊行。

     かなり前の書籍であるが、単なる通史的な叙述をせず、テーマ的な叙述がなされる。
     具体的には、クルアラーン、ハーディスの意味合いや成立、ムハンマドによるイスラム教成立から正統カリフ、ウマイヤ朝、アッバース朝の栄枯盛衰過程、シオニズム運動・イスラエル建国に対するイスラムの立場、カリフ制崩壊後、現代におけるイスラムにおける制度の模索等である。
     事件の時系列的な羅列でなく、登場人物の息遣いを感じられる内容なので、高校生がイスラム史・中東史を学ぶ際の背景的な知識となり、無味乾燥な記憶作業の一助となる書といえそう。

  • イスラームの問題を理解するには、基礎知識をと思って、1年間積読。やっと読了。
    学生の頃、イスラーム法の授業も取ったけど、すっかり忘れちまっていたし。
    これも20年以上前に書かれた本なので、いまを理解するには、他のソースで情報を補わないといけないけど、宗教であり、社会であり、文化であるイスラームっていうのをわかっていないと、ボタンの掛け違いっていうのは続くんだろうな。

  • イスラーム入門として最適の書です。歴史、思想、慣習、政治等々、広い範囲にわたる基本的な知識をあまねく得ることができます。
    特筆したいのは文章の美しさ。初心者には馴染みの薄い内容も、するすると頭に入ってくるのはこのせいでしょう。

  • 面白かった。読みやすく万遍なく、イスラームの始まりから現代まで書かれた入門書。

  • 20年前の本だけど、そもそものはじめから書いてあるからそんなのは誤差というか、却って示唆に富んでるなと思った。下手に現状を踏まえて書いてあるのに比べてみても、実に今を理解しやすい。ISも、これまでの歴史の中でたびたび起きたイスラム復興運動に、現代兵器と通信・コミュニケーションツールがくっついただけなのかも知れない(もちろんそうではなくまるきりの異端児なのかもしれないけど)。しっかりした深い学識を持った歴史的視野って本当に貴重だな。名著。

  • 【メモ】
    ・出版社PR
    “クルアーンが語る、神と使徒と共同体の根本原理と、その実践。イスラーム理解が拓く、世界への新たなる視点。”

    【目次】
    序  「イスラーム」の発見へ 008

    第1章 新しい宗教の誕生 013
    1.1 イスラーム登場の衝撃
    1.2 イスラーム以前のアラビア半島
    1.3 無明時代
    1.4 ムハンマドの誕生
    1.5 ハーシム家の保護
    1.6 ムハンマドの家庭生活
    1.7 掲示の始まり
    1.8 預言者としての召命
    1.9 掲示の現象をどう考えるか
    1.10 マッカ期の布教
    1.11 移住の決断
    1.12 イスラーム国家の成立
    1.13 マディーナ憲章
    1.14 軍事的な対立
    1.15 最初の戦役
    1.16 続く戦役
    1.17 アラビア半島の統一

    第2章 啓典と教義 047
    2.1 自然の象徴
    2.2 詩人への挑戦
    2.3 言葉の魔力
    2.4 クルアーンの構成
    2.5 啓示の下り方
    2.6 聖典の確定
    2.7 クルアーンの構造
    2.8 イスラームの根本原理
    2.9 諸予言者たち
    2.10 天と地の間で
    2.11 宗教共同体
    2.12 垂直軸と水平軸
    2.13 五行
    2.14 カーバ正殿
    2.15 神と人間をつなぐもの
    2.16 六信
    2.17 使徒の役割

    第3章 共同体と社会生活 087
    3.1 イスラームの町並
    3.2 預言者のモスク
    3.3 アザーンの始まり
    3.4 礼拝の方角
    3.5 アカバの誓い
    3.6 社会革命
    3.7 ムハンマドの妻たち
    3.8 結婚制度について
    3.9 ムハンマドの死
    3.10 リッダ戦争
    3.11 正統カリフの治世
    3.12 マディーナ時代の終わり

    第4章 第二の啓典ハディース 117
    4.1 学者の対決
    4.2 ハディースの重要性
    4.3 偽造の背景
    4.4 ムハッディスの反撃
    4.5 伝承者の人物調査
    4.6 「七教友」
    4.7 大学者の時代
    4.8 「真正集」のハディース
    4.9 暗記の文化
    4.10 ハディースの総数

    第5章 知識の担い手たちと国家 145
    5.1 教会組織のないイスラーム
    5.2 「知識を持つ人」
    5.3 教友の中のウラマー
    5.4 ウンマ(共同体)の力
    5.5 共同体の合意(イジュマー)
    5.6 「類推」解釈と「一般規定」解釈
    5.7 法学派の始まり
    5.8 四台学派の祖たち
    5.9 私人としてのウラマー
    5.10 大法官アブー・ユースフ
    5.11 剣の人、筆の人、職の人
    5.12 法学派の役割

    第6章 神を求める二つの道 177
    6.1 「宗教」について
    6.2 神学者たち
    6.3 ヘレニズム的な正義論
    6.4 アシュアリーの登場
    6.5 中興の祖
    6.6 ガザーリーの悟り
    6.7 神を求める道
    6.8 現世的傾向への反発
    6.9 神秘家たちの系譜
    6.10 教団組織の発達
    6.11 伝統的イスラームの形
    6.12 ブハラの情景から

    第7章 スンナ派とシーア派 207
    7.1 分派と指導者
    7.2 ムハンマドの後継者たち
    7.3 「立ち去る者たち」ハワリージュ派
    7.4 アリーの党派
    7.5 カルバラーの悲劇
    7.6 シーア派の誕生
    7.7 アッバース朝の登場
    7.8 アッバース朝カリフの位置
    7.9 シーア派の主導権争い
    7.10 「正統派」スンナ派
    7.11 指導者原理と平等主義
    7.12 シーア派のイマーム論
    7.13 歴史と真理の関係
    7.14 隠れたイマーム
    7.15 その後のシーア派

    第8章 黄金期のイスラーム世界 241
    8.1 黄金期はいつか
    8.2 領土の広がり
    8.3 バグダートの栄華
    8.4 カリフ制と官庁
    8.5 分派の黄金期
    8.6 カイロの建都
    8.7 スンナ派の確立期
    8.8 イスラーム世界の拡大
    8.9 オスマン朝の隆盛

    第9章 現代世界とイスラーム 261
    9.1 黄金期の喪失
    9.2 前例のない危機の様相
    9.3 自己を問う
    9.4 『固き絆』の輝き
    9.5 行く手を照らす『灯台』
    9.6 自身の回復
    9.7 スルターン・カリフ制の崩壊
    9.8 アイデンティティーの分裂
    9.9 植民地の独立と脱イスラーム
    9.10 領土国家の問題
    9.11 クルド人の悲劇
    9.12 パレスチナ問題
    9.13 聖地をめぐる戦い
    9.14 イスラーム復興の背景
    9.15 法学者の統治
    9.16 不幸な過剰反応
    9.17 イスラーム復興の諸段階
    9.18 新しいイスラーム的諸制度の模索
    9.19 イスラーム民主主義
    9.20 クルアーン解釈の革新

    あとがき 299

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