「世間」とは何か (講談社現代新書)

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著者 : 阿部謹也
  • 講談社 (1995年7月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061492622

「世間」とは何か (講談社現代新書)の感想・レビュー・書評

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  • 20数年ぶりに再読。発売当時はかなり話題になったような。年齢を重ねて本書の意味する所がよく理解できたような気もするし、ネット革命によって世間も変質してきたのかなという気もする。著者は歴史学者なので、読み物としては面白いのだが、この手の話題の場合はやはり社会学的な視点が必要であり、その現代性の欠如が社会史の難しさであるとも感じた。

  • 20171210

  • 1995年刊。著者は元一橋大学学長。◆西洋中世史専門家が、日本社会の団体的規範を、西洋的な「社会」概念とは異質な「世間」と見、その概念の内実、歴史的変遷を文学作品から解読。吉田兼好、親鸞、顕如、井原西鶴、夏目漱石を基軸に。◇本書の真のテーマは、日本・西欧での個人に対する団体・集団による拘束の差異、その根拠開示にあるのだろうが、本書は日本の変遷の大略に止まり、いわば前篇の趣き。「社会と対抗関係にある個人の人間的価値を尊重する姿勢が日本に自生せず、現代も西欧とは異質」との命題を解読するまでは至っていないか。

  • ■書名

    書名:「世間」とは何か
    著者:阿部 謹也

    ■概要

    古来から、日本人の生き方を支配してきた「世間」という枠組。
    兼好、西鶴、漱石らが描こうとしたその本質とは。西洋の「社会」
    と「個人」を追究してきた歴史家の視点から問い直す。
    (From amazon)

    ■気になった点

    なし

  • 世間とはよく聞く言葉であれど世の中とか、社会とかといった言葉とはニュアンスが違い『自分が関わっている比較的小さな人間関係の環』と説く。
    夏目漱石の『坊ちゃん』、吉田兼好の『徒然草』等を時代背景と共に参照しながらの解説が面白い。いずれもまだ読んだ事はないけど…。

  • 読み終わって、今こそ「世間」を「世界」というものに拡張すべき時に至っているのではないかと思った。

    ここ最近、フライングタイガースとか第二次大戦前から大戦中、朝鮮戦争まで戦争について調べている。だが、もちろん。ソフトにflight jacket。いたってファッショナブルな営為である。

    そんなこんなも含めての世間について考察したわけだが、詩人の金子光晴が関東大震災の後、日本人が戦争に近づいているのを微妙に感じ取っていたと看破していたらしいという記述があったのには驚いた。

    まるで、今の忌野清志郎である。地震のあとには戦争がやって来る。そのままではないか?

    なんか、時期だったのだなぁ…

    しかも、世間は、個人の脳の中にある。ということを確信してしまうような内容だった。いいのか悪いのか…でもまぁ、わたしはまだ生きている。

    Mahalo

  • 2015/2/21

  • 【目次】
    はじめに 003
    「世間」という言葉/理屈を越えたもの/世間の掟/なぜらいてうは除名されたのか/世間を騒がせたことを謝罪する/世間がなくなってしまったら/借金と宝くじ/非言語系の知/知識人の責任

    第一章 「世間」はどのように捉えられてきたのか 031
    1.1 歌に詠まれた「世間」 032
    「うつせみ」と「世間」――「万葉集」/むなしき世間/歌人達の生き方/世間と闘う/憶良の「世間」/「無常」を歌うということ――「古今和歌集」/千世に八千世に/宮廷という世の中――「源氏物語」
    1.2 仏教は「世間」をどう捉えたか 049
    仏教の「世間」/説話の伝える思想――「今昔物語」/「世の人」の口を借りる――「大鏡」

    第二章 隠者兼好の「世間」 057
    2.1 「顕」と「冥」がつくりなす世の中 058
    山林に居をかまえる――「方丈記」/慈円の思想――「愚管抄」/「冥」の世界/怨霊の出現
    2.2 神判と起請文 066
    神判の意味/盟神探湯/自然界とは/神判のゆくえ
    2.3 近代人兼好 075
    現世と後世/醒めた個人の意識/かたくななる人/聖法師と俗世/よき人とよからぬ人/「顕」と「冥」に対する姿勢/吉凶の占い/隠者という立場/兼好と漱石

    第三章 真宗教団における「世間」――親鸞とその弟子達 099
    3.1 親鸞の「世間」を見る目 100
    「非僧非俗」の立場/末法思想/徹底的な否定の思想
    3.2 初期真宗教団の革新性 106
    真宗と民俗/親鸞と民衆信仰/講という組織/門徒の集団/「徒然草」再説/「かりにも無常を観ずる事なかれ」

    第四章 「色」と「金」の世の中――西鶴への視座 119
    4.1 西鶴の時代 120
    貨幣経済の発展/古典の解放
    4.2 恋に生きる女達 124
    恋の手管/恋に死ぬ女/おまんの情熱/人妻の恋/おさんと茂右衛門/「性」のもつ大きな意味/「無常」ということ
    4.3 「金」と世の中 138
    いかにして金をためるか/二間間口の借家に住んで千貫の金を持つ/金の恐ろしさ/疎外された人々への眼
    4.4 「色」と「金」で世をみる 146
    「憂き世」から「浮き世」へ/「好色」の意味/社会体制への反逆/肌を求めて煩悩をはらす/「好色」と「神」と「個人」/男色の場合/若衆の壮絶な最期/小姓の仇討/衆道の純粋さ?/神と呪術/「大晦日世はさだめなき世のさだめかな」
    4.5 「艶隠者」西鶴 165
    「隠れて住む」ということ/隠居の最期/身分と仕事と仏教

    第五章 なぜ漱石は読み継がれてきたのか――明治以降の「世間」と「個人」 173
    5.1 「社会」の誕生 174
    「社会」という概念/個人の尊厳
    5.2 「世間」の内と外――藤村の「破戒」 177
    差別的な世間/二つの言葉の区別
    5.3 「世間」の対象化――「猫」と「坊ちゃん」 180
    漱石と「世間」/博士号へのこだわり/「世間知らず」の意味/義捐金を取られる/西鶴から漱石へ/単純素朴な青年/坊ちゃんに身をよせて「世間」をやっつける
    5.4 「世間」と付き合うということ――「それから」と「門」 193
    他人の細君/世の中に中る/愛のめざめ/二人の微妙なズレ/「世間」に背を向ける視点

    第六章 荷風と光晴のヨーロッパ 205
    6.1 荷風の個人主義 206
    フランスへの旅/荷風のフランス/巴里の寂寥/わがままな暮らし/「気質としての厭世」/時代への洞察力/「ぼく東綺譚」
    6.2 光晴の歌った「寂しさ」 222
    西欧的なものへの憧れ/ベルギーの田園で/「こがね虫」/再びヨーロッパへ/パリでの生活/フォンテンブローの冬の森で/「洗面器のなかの音のさびしさを」/「鮫」と「おっとせい」/文学者の絶望/光晴と荷風/寂しさはどこから来るのか

    主要引用・参考文献 [248-254]
    おわりに [255-259]

  •  世間はどのように捉えられてきたのか。恋に苦しみ噂に悩まされる万葉の歌人達は、よのなかをむなしいと詠み、むなしいよのなかと闘った。万葉集においては神代に対する現世を意味するだけだったうつせみを、古今和歌集ははかないと詠んだ。宮中にいる周囲の人々や状況が源氏物語におけるよのなかであって、狭い人間関係を多様な意味をもつよのなかで表現した。

  • 日本社会の特有概念である「世間」について、日本の古典や文学作品から読み解いている。教養として読むのもおすすめ。特に最近読んだ『我輩は猫である』の解釈は面白かった。兼好『徒然草』井原西鶴『好色一代男』を読みたいリストに追加。

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古来から、日本人の生き方を支配してきた「世間」という枠組。兼好、西鶴、漱石らが描こうとしたその本質とは。西洋の「社会」と「個人」を追究してきた歴史家の視点から問い直す。

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