「世間」とは何か (講談社現代新書)

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著者 : 阿部謹也
  • 講談社 (1995年7月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061492622

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「世間」とは何か (講談社現代新書)の感想・レビュー・書評

  • 1995年刊。著者は元一橋大学学長。◆西洋中世史専門家が、日本社会の団体的規範を、西洋的な「社会」概念とは異質な「世間」と見、その概念の内実、歴史的変遷を文学作品から解読。吉田兼好、親鸞、顕如、井原西鶴、夏目漱石を基軸に。◇本書の真のテーマは、日本・西欧での個人に対する団体・集団による拘束の差異、その根拠開示にあるのだろうが、本書は日本の変遷の大略に止まり、いわば前篇の趣き。「社会と対抗関係にある個人の人間的価値を尊重する姿勢が日本に自生せず、現代も西欧とは異質」との命題を解読するまでは至っていないか。

  • 「世間」というものが、日本人の人間関係や行動を規定している、という内容です。たしかに会社が不祥事を起こしたときなどの謝罪会見では「世間をお騒がせして……」と、よく言っていますね。罪を認めて謝罪するというより、罪状の認否はさておいて、「世間」に対してわびるという形になっているようです。筆者は、ドイツ中世史の専門家で、ドイツ留学によって日本とヨーロッパの社会のあり方の違いに気づきこの本を書いたと言います。私たちの生きる社会を、いまだに陰に陽に支配しているものの正体を知り、それを意識化するには、格好の本だと思います。yori

    本館2階学習室(新書)080||Ko||1262

  • ■書名

    書名:「世間」とは何か
    著者:阿部 謹也

    ■概要

    古来から、日本人の生き方を支配してきた「世間」という枠組。
    兼好、西鶴、漱石らが描こうとしたその本質とは。西洋の「社会」
    と「個人」を追究してきた歴史家の視点から問い直す。
    (From amazon)

    ■気になった点

    なし

  • 世間とはよく聞く言葉であれど世の中とか、社会とかといった言葉とはニュアンスが違い『自分が関わっている比較的小さな人間関係の環』と説く。
    夏目漱石の『坊ちゃん』、吉田兼好の『徒然草』等を時代背景と共に参照しながらの解説が面白い。いずれもまだ読んだ事はないけど…。

  • 読み終わって、今こそ「世間」を「世界」というものに拡張すべき時に至っているのではないかと思った。

    ここ最近、フライングタイガースとか第二次大戦前から大戦中、朝鮮戦争まで戦争について調べている。だが、もちろん。ソフトにflight jacket。いたってファッショナブルな営為である。

    そんなこんなも含めての世間について考察したわけだが、詩人の金子光晴が関東大震災の後、日本人が戦争に近づいているのを微妙に感じ取っていたと看破していたらしいという記述があったのには驚いた。

    まるで、今の忌野清志郎である。地震のあとには戦争がやって来る。そのままではないか?

    なんか、時期だったのだなぁ…

    しかも、世間は、個人の脳の中にある。ということを確信してしまうような内容だった。いいのか悪いのか…でもまぁ、わたしはまだ生きている。

    Mahalo

  • 【目次】
    はじめに 003
    「世間」という言葉/理屈を越えたもの/世間の掟/なぜらいてうは除名されたのか/世間を騒がせたことを謝罪する/世間がなくなってしまったら/借金と宝くじ/非言語系の知/知識人の責任

    第一章 「世間」はどのように捉えられてきたのか 031
    1.1 歌に詠まれた「世間」 032
    「うつせみ」と「世間」――「万葉集」/むなしき世間/歌人達の生き方/世間と闘う/憶良の「世間」/「無常」を歌うということ――「古今和歌集」/千世に八千世に/宮廷という世の中――「源氏物語」
    1.2 仏教は「世間」をどう捉えたか 049
    仏教の「世間」/説話の伝える思想――「今昔物語」/「世の人」の口を借りる――「大鏡」

    第二章 隠者兼好の「世間」 057
    2.1 「顕」と「冥」がつくりなす世の中 058
    山林に居をかまえる――「方丈記」/慈円の思想――「愚管抄」/「冥」の世界/怨霊の出現
    2.2 神判と起請文 066
    神判の意味/盟神探湯/自然界とは/神判のゆくえ
    2.3 近代人兼好 075
    現世と後世/醒めた個人の意識/かたくななる人/聖法師と俗世/よき人とよからぬ人/「顕」と「冥」に対する姿勢/吉凶の占い/隠者という立場/兼好と漱石

    第三章 真宗教団における「世間」――親鸞とその弟子達 099
    3.1 親鸞の「世間」を見る目 100
    「非僧非俗」の立場/末法思想/徹底的な否定の思想
    3.2 初期真宗教団の革新性 106
    真宗と民俗/親鸞と民衆信仰/講という組織/門徒の集団/「徒然草」再説/「かりにも無常を観ずる事なかれ」

    第四章 「色」と「金」の世の中――西鶴への視座 119
    4.1 西鶴の時代 120
    貨幣経済の発展/古典の解放
    4.2 恋に生きる女達 124
    恋の手管/恋に死ぬ女/おまんの情熱/人妻の恋/おさんと茂右衛門/「性」のもつ大きな意味/「無常」ということ
    4.3 「金」と世の中 138
    いかにして金をためるか/二間間口の借家に住んで千貫の金を持つ/金の恐ろしさ/疎外された人々への眼
    4.4 「色」と「金」で世をみる 146
    「憂き世」から「浮き世」へ/「好色」の意味/社会体制への反逆/肌を求めて煩悩をはらす/「好色」と「神」と「個人」/男色の場合/若衆の壮絶な最期/小姓の仇討/衆道の純粋さ?/神と呪術/「大晦日世はさだめなき世のさだめかな」
    4.5 「艶隠者」西鶴 165
    「隠れて住む」ということ/隠居の最期/身分と仕事と仏教

    第五章 なぜ漱石は読み継がれてきたのか――明治以降の「世間」と「個人」 173
    5.1 「社会」の誕生 174
    「社会」という概念/個人の尊厳
    5.2 「世間」の内と外――藤村の「破戒」 177
    差別的な世間/二つの言葉の区別
    5.3 「世間」の対象化――「猫」と「坊ちゃん」 180
    漱石と「世間」/博士号へのこだわり/「世間知らず」の意味/義捐金を取られる/西鶴から漱石へ/単純素朴な青年/坊ちゃんに身をよせて「世間」をやっつける
    5.4 「世間」と付き合うということ――「それから」と「門」 193
    他人の細君/世の中に中る/愛のめざめ/二人の微妙なズレ/「世間」に背を向ける視点

    第六章 荷風と光晴のヨーロッパ 205
    6.1 荷風の個人主義 206
    フランスへの旅/荷風のフランス/巴里の寂寥/わがままな暮らし/「気質としての厭世」/時代への洞察力/「ぼく東綺譚」
    6.2 光晴の歌った「寂しさ」 222
    西欧的なものへの憧れ/ベルギーの田園で/「こがね虫」/再びヨーロッパへ/パリでの生活/フォンテンブローの冬の森で/「洗面器のなかの音のさびしさを」/「鮫」と「おっとせい」/文学者の絶望/光晴と荷... 続きを読む

  •  世間はどのように捉えられてきたのか。恋に苦しみ噂に悩まされる万葉の歌人達は、よのなかをむなしいと詠み、むなしいよのなかと闘った。万葉集においては神代に対する現世を意味するだけだったうつせみを、古今和歌集ははかないと詠んだ。宮中にいる周囲の人々や状況が源氏物語におけるよのなかであって、狭い人間関係を多様な意味をもつよのなかで表現した。

  • 日本社会の特有概念である「世間」について、日本の古典や文学作品から読み解いている。教養として読むのもおすすめ。特に最近読んだ『我輩は猫である』の解釈は面白かった。兼好『徒然草』井原西鶴『好色一代男』を読みたいリストに追加。

  •  遠慮してしまいます。
     なんだか申し訳なくなってしまうのです。
     「もっとこうしたほうがいいのに」「なんでああしないのか」「こうすればきっとうまくいく」……。
     色々なことが頭をよぎります。
     でも、それを口にすることはありません。
     だって、そうしてしまえば「調和」が乱れてしまうから。

     「調和」は日本人の美徳とされ、日本人の特徴の一つともされる。真偽のほどは確かではないが、日本人ほど「世間」を気にする民族はいないとかなんとか。では、その『「世間」とは何か』……? これをきっちりと説明できる人が、どれほどいるだろうか。

     日本人は「世間」を気にする一方で、「世間」に無頓着であった。「世間」が「何」なのか、よく知らないままにそれを恐れ、「調和」させようとする。本書は――言うまでもなく「世間」から「名著」として評価されているが――「世間」の正体に迫ろうとする、言わば試験的な一冊である。


    【目次】
    はじめに
    序 章 「世間」とは何か
    第一章 「世間」はどのように捉えられてきたのか
    第二章 隠者兼好の「世間」
    第三章 真宗教団における「世間」―親鸞とその弟子達
    第四章 「色」と「金」の世の中―西鶴への視座
    第五章 なぜ漱石は読み継がれてきたのか―明治以降の「世間」と「個人」
    第六章 荷風と光晴のヨーロッパ
    主要引用・参考文献
    おわりに

  • コレ高校生くらいに買ったような気がする笑 いま大学まで終えてやっと読み通したけど、やっぱよくわかってないと思う笑
    「世間とは何か」と言う問いを、日本の文芸作品での使われ方を集めて考える。って企画かと思ったけど…。「世間」という言葉をまず決めて、それを軸に文芸批評を行った。という企画に見えるな。素人目線だけど。
    いちおう作業仮説として世間とは…と定義するけど、それがされることはないし。「世間」とは関係のなさそうな文章をとりだして解説されるから読みにくい。
    作者の「世間」に対する問題意識ははっきり伝わった。曖昧で非科学的で個人の尊厳を蔑ろにするようなダブルスタンダードとしての世間。現代社会に残るプレモダン要素としての世間。学生時代にちゃんと読めてたらもっとこのことについて勉強したかったなぁ。

  • 世間≠公共圏
    時代とともに移っていく世間の意味を追っていく。

  • ちかごろ、群衆論の本を中心に読書していたけれど、
    ひるがえって日本の群衆論は?
    と思ったときにこの本に出会うことができました。

    古代から現代までの日本文学における『世間』、『世』、『うき世』などの言葉の使われ方を考察し、日本人の人間関係を浮き彫りにする着眼点は見事です。
    社会/個人という軸を発展した西洋と異なり、世間が人の思考や行動を規定してきた日本。
    ニュースなんかを見ていても、マスコミは社会的というより、世間を肩代わりしてようにも思えます。

    本書の井原西鶴の章では、好色というのは当時、子に恵まれることから奨励される徳だったと述べられていました。現代ではもちろん、スケベとののしられてしまうわけでして・・・。我々がいかに無意識に世間のモノの見方で判断しているかの好例だと思います。
    『世間』を対象化しえた個性が軒並み『隠者』型であるのも興味深いです。夏目漱石は学生時代一生懸命読んだ作家のひとりですが、欧米ではあまり評価されていないよう。彼が『世間』という日本独自の問題を扱っているため、西洋の価値観では理解しづらいのかもしれません。

    もちろん、内容は素晴らしいですが、金子光晴を知ることができたのもうれしいです。こんな強靭な精神力をもった詩人が日本にいたのか・・・。
    次の読書にもつながる一冊でした。

  • 独立した個人の集合体である『社会』ではなく、他人との横並びの繋がりによる『世間』に縛られて、未だその呪縛が解けない日本人。
    そこから生ずる無常、生きづらさを、その時代毎の文学から読み解き
    歴史・背景を追った一冊。

    しかし。。 吉田兼好にしろ、井原西鶴にしろ、夏目漱石にしても
    どうも著者の『世間論』の読み解き方に対して、腑に落ちない。
    合わなかったと言う事に尽きる。

  • アウトロー気取りの文学好きにオススメかもしれない。この世の中の生きづらさについて、この本と一緒に考えると。結構溜飲が下がったりもする。でも結局生きづらいことには変わりないんだけどね。

  • 世間と社会(society)は別のもの。個人の尊厳がまずありその集合体としての「社会」に対し、「世間」は他人との関わり合いの中での行動基準で、そこに個人は存在しない。ということが言いたいわけだか、説明はまわりくどいし展開は論理的じゃない。

  • 世間とは人と人の関係の環。信仰の基盤のない日本人にとって世間の基準が個人の価値判断の基準となる。世間は、時に権威的で、排他的で、差別的な存在であり、どんな世間に属しているかが問題になる。日本独特の世間と概念がいつ頃から生まれたのか、万葉集から始まり、大鏡、吉田兼好、夏目漱石、永井荷風などの作品から世間というものについて考察を加えた。吉田兼好と夏目漱石は第3者的な立場から世間というものを批判的にみた「徒然草」、「坊っちゃん」、「吾輩は猫である」は多くの人の共感を得る作品となっている。

  • わずらわしいと感じる人とのつながりの中に世間があり、個人よりも強い世間。その世間に嫌気が差した先人たちから、世間の姿を捉えてみようとする本。

    今の日本もそうだけど、欧米の個人の人間関係があってこその社会と、個人を押し殺して優先する世間は全く違うというのは納得した。
    昔も今も世間が嫌いな人はいるんだね。自分の心を代弁してくれてるのかと思った。私は隠居するほどの勇気はないけど。

  • メモ:西欧では社会というとき尊厳をもった個人が前提としてあり、その個人が集まって社会をつくるとみなされている。
    世間は個人の意思によってつくられ、そのあり方が決まるとは考えられていない。世間は所与のもの。
    世間とは個人と個人を結ぶ関係の環であり、強固な絆で結び付けている。でも個人が進んで、世間をつくるわけでない。そもそも排他的で差別的ですらある。
    世間内部では競争は出来るだけ排除され、有能でない人でも、世間の掟を守ってさえいればそこから排除されることはない。
    日本人の権威主義。自分以外の権威に依存して生きるということ。
    世間という枠組みが厳しいがゆえに自己の主張も先鋭化する。
    無常:世間の掟やしがらみに縛られている個々の人間が自分なりの生き方ができない、と諦めたときの諦念の感情を「無常」と表現した。身近な人が世を去ったときの無常。(いままでの関係を永遠のものにしたいという感情。変化を求めない感情。)

  • 最初に読んだ新書

  • 日本独特の「世間」にクローズアップし、仏教や歌、文芸でどのようによって世間がどう捉えられているかについて語られている。

  • ソーシャルネットワークを理解する目的で読んでみた。序章の「親が子供に世間について教えればよいのだが、親自身世間を対象化して教えることができない。何故なら親は自分の経験から自分が関わった世界を知っているにすぎず、そこに普遍的な観点を持ち込むことができないからである」が印象に残った。古典の章は、私には難しすぎたが、夏目漱石と永井荷風の章は面白く読めました。

  • 「世間」を文学的・歴史的に一瞥していく本。仏教の導入がブレイカーになったというのは面白い。

  • ”ソーシャル”、”世間”、”空気”などのワードを漁っていたところ、この教科書にも掲載されているような阿部さんの「世間」とは何かに行き着いた。

    本書は古典的な書籍から「世間」に関する記述を引用し、その時代時代に応じての「世間」とは何かを客観的に捉えようとした大変興味深い内容だった。

    個人的な興味としては歴史的な内容(古典系)は少し省き、明治以降(特に漱石)を中心に読んでみた。

    前の鴻上さんの書籍でも指摘がされていたのだが、
    社会=Societyには前提として個人=Individualがあるという点があったのだが、日本の場合、組織・社会という単位がメインなので、なかなか社会の定義が難しいという点は興味深かった。

    複雑系の社会とはいえ、構成要因は昔も今も変わらず、私たち人間であるために、こういった書籍は時系列を経てもなお色あせることなく、その時代に応じて新たな側面で切り開けることもある。

    社会と世間では社会学の分野ではあるが、この境界については様々な分野、またアニメなどでもテーマとして取り上げられることがあるので、一読する価値はあるのではないだろうか。

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古来から、日本人の生き方を支配してきた「世間」という枠組。兼好、西鶴、漱石らが描こうとしたその本質とは。西洋の「社会」と「個人」を追究してきた歴史家の視点から問い直す。

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