- Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061493728
作品紹介・あらすじ
心のメッセージ――むなしさは、私たちの人生に何が欠けているかを告げ知らせてくれる貴重なメッセージだ……。だから、私たちのむなしさからの出発は、自分の内側で口を開けているそのむなしさから目を逸らさずに、きちんとそれを見つめることから始めなくてはならない。あるいはこう言ってもいいかもしれない。むなしさと、しばらくの間、いっしょにいること。むなしさに、時折、やさしく触れてみること。そしてそこから、どんな声が聞こえてくるか、ていねいに問いかけてみること。……
心のむなしさに何か大切な意味が秘められているということを、既に暗に感じとっていたはずなのだから。――本書より
感想・レビュー・書評
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私自身が典型的な「幸福のパラドックス」にはまっている人間なのだということが、よくわかった。何か足りない、何か面白いことないかな、もっと、もっと、もっと…果てしない欲求が、むなしさや満たされなさを作り出し、幸福を求めるものは永遠に幸福になれないんだって。それが納得がいっただけでも、読んで良かった。システムがわかると、自分が辛くなった時に自分のことを分析出来るはず。もっと若い時に色々知っておけばよかったなんて言っても仕方ないので、いつからでも勉強勉強!
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自分が卒園した幼稚園が二十歳のお祝いに送ってくれた本。
1997年に書かれたものなので内容が古い部分が多くあったが、後の章に行くにつれて色々学べることもあった。
「幸せを追い求めている限り幸せになれない」という言葉が胸に刺さった。 -
満たされなさとはどこから来るのかどう受け止めていくのか、そんな本かなあと思っていたけれど、テーマはさらに掘り下げ、生きる意味とは、如何に生きるか、禅問答のようなところに突き進む。というか全体を通してそのようなテーマであった。著者の到達した悟りともいえるようなこたえ。というか、十年もの歳月は、ひとつのことを思い悩むには長い。末に辿り着いたのだからやはり悟りなのだろう。。フランクルの人生の方から貴方に意味を問いかけてくる、それ(答え)はすでに貴方の中にあったというのも、なるほど腑に落ちる。なにやら哲学的な感じでありました。スっとした。
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今から20年前に書かれた本でありながら、現代社会にも通用する社会および個人に対する心の変化や問題について論じている。むなしさという先の見通せなさというか、やるせなさや無気力感が漂う世間の風潮に対してそれはなぜかを掘り進めて、ではどうすれば幸せになれるかを考える。
その主張の主点は前時代までは「マジメガンバリズム」であれば世間一般で言われる幸福が約束されていたし、現状を変えるだけの余地があった。
だが、現代ではそのような夢が持てないため、新興宗教や強い刺激の趣向に走ってしまう。。など。
いいなと思った言葉
「幸福の追求は、幸福を妨げる。もし幸福になる理由が存在すれば自ずと幸福は結果として生まれてくる」
「何があなたになされるのを待っているか」
「人生の最後の数時間でさえ、さりげない言葉で回りの人を思いやる気持ちを忘れなかった」 -
人生に漠然としたむなしさを感じてしまう若者が増えている現代に、フランクルの実存分析やケン・ウィルバーのトランスパーソナル心理学の立場からどのような回答が可能かということを論じた本です。
自分にとって人生がどのような意味をもつかを問うのではなく、自分が人生から何を求められているかを見つめるというフランクルの考え方や、個人的な自己を超えたより大きな生命とのつながりを見いだしていこうとするトランスパーソナル心理学の立場は、それなりに興味深いものに思えました。ただ、本書で考察されている「むなしさ」には、ウルリヒ・ベックの再帰的近代において個人がみずからの人生の意味を与えなければならないという状況によってもたらされたとはいえないでしょうか。もしそのように理解することができるとすれば、社会的な問題を個人の心理の問題に還元してしまうことには、大きな問題があるのではないかという気がします。 -
別にこれといって不幸の原因があるわけではないけれど、どうにも倦怠感があって生きるのが虚しい。それはどうしてか?
という内容です。完全に古い本ですが、普遍的な内容です。 -
信頼できる諸富祥彦さんのわかりやすく、丁寧な文章を興味深く読んだ。
『私たちは幸福を獲得しようとすればするほど、それを獲得できなくなる。』
『もし幸福になる理由が存在されば、自ずと、つまり自然発生的かつ自動的に、幸福は結果として生まれてくる。このことが、人間が幸福を追求する必要のないことの理由である』
『「幸福追求的な生き方」をしている限り、絶えずどこか満たされない「永遠の不満の状態」に置かれることになるからである。』
大なり小なり人が感じる『むなしさ』の正体がわかってきた。
そして、私たちがこの世に生まれてきたことの意味・定めについて(一番知りたかったこと)、色々な角度から、ウイルバー心理学やトランスパーソナル心理学から語っている。
この著書は、発行されて、随分年月が経つ。なので、現代社会とはちょっと違うと感じるところもあったが、普遍的な価値ある内容だと感じた。
それは、読み終えたわたしの心が軽くなっていたから。 -
前半は一般的な社会学で語りつくされた内容が淡々と続き、特段共感するような内容ではなかった。
一方で、第4章からは、筆者の体験談に始まり、「むなしさ」の原因、それにどのように向き合うかについて述べられており、共感でき、興味深い。
「むなしさ」に向き合う方法論としては、フランクルとウイルバーの心理学が挙げられており、①生きる意味は既に与えられており、それをどう探し実現するかが問題だ、②その実現は常に外部(人、世界、宇宙…)との繋がりの中で見出すことができるという点では、両者は一致していた。個人的にはリアリティのある、フランクルの主張に共感できた。
自分自身も学生時代から同じ悩みを持ち続けてきたが、今一度目の前にことに真剣に取り組み、周りに何かを与えられ人間になりたいと素直に思った。 -
「現代人の心の病みと闇を考える」
所蔵情報
https://keiai-media.opac.jp/opac/Holding_list/search?rgtn=076173