- Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061494503
感想・レビュー・書評
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表題が示す通り、敬語に自信がない人にとって参考となる知識が詰まった書。敬語の誤用・慣用の変化を豊富な用例で説いている。
1章 ことば殺人事件
2章 「お」が増えている
3章 敬語は擦り減る
4章 敬語の民主化
5章 デスマス体からゴザイマス体へ
6章 謙譲語の尊敬用法
7章 謙譲語を使いこなすために
8章 利き手への配慮を優先
9章 「〜せていただく」の進出
10章 敬語の連続体
11章 社会の中の敬語詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
敬語の用法を実に丁寧に分類して、最後に「でも気遣うこころが大切です」みたいなオチになるとは思わなかった。
それを言ったら、そもそも丁寧な説明はなんのためなんだろう。 -
正しい敬語を身に付けるための実用書と言うよりはむしろ敬語に対して気になるあれこれを中立的(つまり記述的)な立場で論じた教養書。一応、実用書としてのニーズも満たしていることになっているが、やっぱり井上先生が言語学者だけあって、あまり規範的なことは書いていません。世間で言う、敬語の「乱れ」を冷静に言語の変化と捉える立場で書いてあります。おれも言語学を勉強しているので、学問の上では「乱れ」とは捉えるようなことはしないが、それとは全く別の観点で、つまり実際に自分が使う段になれば、いわゆる「正しい敬語」を身につけたいもの。この本で敬語に対する注意力を高めて、敬語を見直すきっかけになればよいと思う。
まず「〜せていただく」は自分が多用しているので、ギクッとくる。他にも、特に第6章「謙譲語の尊敬用法」にあった「お〜する」という謙譲語の言い方がおれにとっては怪しい。「ご乗車できません」とかも一見おかしいと思えなかった。それからこの前教授に「○○さん(先輩)はドアの外にいるか」と尋ねられてドアの外を見ても○○さんがいなかったので「○○さんはまだいらっしゃらないようです」と言ってしまったが、これも教授に対して失礼だったのかなーとか思った。
言語学的には「敬意低減の法則」、「敬語は西から」、「左右敬語」などの考え方が、なるほどと思わせてくれる。