中世シチリア王国 (講談社現代新書)

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著者 : 高山博
  • 講談社 (1999年9月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061494701

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中世シチリア王国 (講談社現代新書)の感想・レビュー・書評

  • ざっくりいうと、趣旨はいいけど企画倒れ、という本だと思います。新書の歴史書によくあるやつ。ラテン、ビザンツ、イスラムの3大文化圏の交点としてのノルマン・シチリア王国を描きたいという意図は前書きから大いに伝わったし、その時点では期待もしたけど、本編がその期待にまったく追いついてこないんだよね。

    新書の歴史書、という共通点から思い起こすに、このフォーマットでダメな本というのは、多くは「初めに企画があって、それに基づいて依頼された識者(歴史学者)が書いてる」んじゃないのかな。このパターンがよくないんではないかと、最近はうっすら疑ってる。

    やっぱり本というものは、依頼なんかなくても、出版される保証なんかなくても書きたい、書かざるを得ないという、強いモチベーションから生み出された原稿が、出版社に持ち込まれるという順序で作られた場合の方が、良質なものが生まれやすいのではないかと。そんなことを思っています。

    そして、そういう質の高さを求めたいいち読者としては、そろそろこの手の「趣旨はいいけど企画倒れ」な「新書の歴史書」、の一群に無難な☆3つ(平均的評価)を付けるってことを、やめなきゃいけないんじゃあるまいかと。
    そんなことを考え始めています。

    いや、もうほんとやめようよ、こういう雑な本がamazonで平均☆4つ超えるみたいな風潮。お読みになったあなた、一体この本から何を得ました?
    なんか、既得権益にも似たイヤーなものを感じるんです。この本単体ではなくて、新書の歴史書の多くに共通する質の低さ、そしてその裏にある「依頼に応えて書きました」感、みたいなものから。

    そういうのに加担するの、読者としてもやめましょうよ、そろそろ。少なくとも僕はもう、この手の本に☆3つは付けないよ?(笑)

  • プロローグ もう一つの中世ヨーロッパ
    1章 地中海の万華鏡シチリア
    2章 ノルマン人の到来
    3章 王国への道
    4章 地中海帝国の夢
    5章 強大な官僚国家へ
    6章 動乱から安寧へ
    7章 南国の楽園
    8章 異文化接触の果実
    エピローグ 混迷の時代へ

  • 読了。

    中世シチリア王国 / 高山博

    世界史の知識不足人としてはこの中世シチリア王国と両シチリア王国とは違うん?と思ってたわけです。
    端的にいえば時代が違ったわけですが...
    両シチリアは19世紀でした。
    こちらは11世紀頃です。

    フランス ノルマンディ地方の田舎ノルマン人騎士兄弟が傭兵として南イタリアに渡り、シチリア(南イタリア含む)に王国を誕生させる物語。
    成り上がり物語ですね。
    ロマンあふれる展開ですね。

    塩野女史のローマ亡き後の地中海世界で触れてた部分なのでそのうち読もうと買って積んでありました。

    塩野女史もこちらの作者もルネッサンスはシチリア島から始まった(きっかけ)と言ってましたので、ルネッサンス=フィレンツェというイメージは間違ってはいないがそれだけではなかったといった感じですかね。
    アラブ人、ギリシア人、ラテン系が住み文化が交わる場所だから始まりのきっかけのルネッサンスのようですね。

    たいへん面白かったです。

  • 12世紀ごろ、シチリアに成立したノルマン・シチリア王国についての本。平易で読みやすく、大変面白かった。

    ノルマンディのノルマン人によって建国されたこの王国は、カトリック圏ヨーロッパ、東方教会(ビザンツ帝国)の世界、アラブ・イスラム世界が入り混じった、多彩な国家であった。

    ノルマン・シチリア王国が形成されるまでの流れをさらっと紹介した後、建国~13世紀初頭のフレデリクス3世の時代までが、各王の生涯を追う形で描かれている。

    中世ヨーロッパといえば、神聖ローマ帝国などの西方のキリスト教世界を中心に捉えがちだった。
    地中海にこのような世界があったのだと、目を開かれる思いがした。

  • 神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世がシチリア出身だったなーと思い、読んでみた。
    ノルマンシチリア王国最盛期には北アフリカやイタリア半島南部まで支配し、さらにビザンツ帝国にまで攻撃してたとは知らなかった。

    いくつか興味深かったことをピックアップ。

    ノルマンディーの小さな村から出発したオートヴィル家の兄弟たちによってシチリア王国は作られた。

    イスラム教徒とキリスト教徒が共存してた。

    ラテンキリスト文化圏、ビザンツ文化圏、アラブイスラム文化圏の共存。

    アラブ人を役人として大量雇用。

  • シチリア王国の成立辺りから、神聖ローマ帝国の支配下に置かれる前までの200年間ぐらいを扱った本だったと思います。古代ギリシア、アラブ、ノルマン、スペインなど、多種多様な民族と文化、交易の十字路となった独特なシチリアの歴史を垣間見られます。創作活動のためにシチリアを調べていて出会った本。

  • 気分としては、
    (*´∀`*)イエイ♪
    という感じです。とっても面白かったです。

    少々古いですが映画「ゴッドファーザー」の舞台になったように、今マフ◯ア何やらの巣窟になっていて、物騒な薫りの漂うシチリアは、実は中世において豪華絢爛な文化の中心かつ中世ヨーロッパ地域の政治情勢において欠くべからざる大国だった、というお話。

    一番この本を読んでいて思ったのは、シチリアという存在が、例えばフランス・イングランド・神聖ローマ帝国(当時のドイツ)・北イタリアの都市国家群とは、文化や習慣の面において一線を画した存在だったということでした。ある意味シチリアとその周囲だけがぽつんと別の文化圏だった、と言って良いかもしれません。
    積極的にイスラム教徒やギリシア(ビザンツ帝国)の人々を国政に参加させ、彼らと文化を融合させていったことによって生み出された独自性は、とても奇跡ともいえるでしょう。ですが反面、シチリア王国後期になって引き起こされるシチリア王と教皇との凄惨な争いを見るに、それはある意味悲劇とも取れると思われます。

    文化の融合というものについて深く考えさせられる本であったと同時に、シチリアというさほどメジャーではないですが重要な大国の物語を描いたという点で、興味深い本でした。

    あと、歴代の王様(女王様も含め)一人ひとり、それぞれ「面白い王様度」が非常に高いということがわかりました。
    個人的にルッジェーロ2世(本書ではロドリゲス2世)とグリエルモ1世(本書ではウィルヘルムス1世)の「面白い王様度」がトップレベルだと思いました。本書で最後に扱われるシチリア王で神聖ローマ皇帝のフェデリーコ2世(本書ではフレデリクス2世)は当時の西欧で最も濃ゆい性格の持ち主とされていたそうですが、ルッジェーロ2世とグリエルモ1世の濃ゆさに比べれば、まだまだって感じです!
    シチリア王ってハーレム作るのが慣例(?)だったみたいですね。羨ましい。

    でてくるヨーロッパの人名が全てラテン語名で、普通教科書や別の本で用いられる名前と違うんですけど、最後の方に人名対応表が載っているのであまり心配は無いです。

  • シチリア島といえば、正直イタリアの南の方の田舎かな、と今では思いがちである。しかし中世においては、フランク王国や神聖ローマ帝国に比べれば、明らかに自由で文化度の高いところであった・・ということだ。それもそのはず、ローマ帝国が東西に分裂し、紆余曲折のあとシャルルマーニュがフランク王国の皇帝として戴冠すると、話の本筋はずっと北西~中部ヨーロッパにうつる。そしてルネサンス期になると、話はいきなり南ヨーロッパにうつる。そこで中世南ヨーロッパで何があったのか、それが語られている。

    もちろん「ビザンチン文化」「ヨーロッパ文化」「イスラム文化」が混在し、優れたイスラムの文化が入り、その知識人が(イスラム教徒でもある)王国の顧問を務めるなど、独特の風潮があった。古代ギリシアの文献をラテン語に訳すなど、学術的にも進んでいた。また絶対王政の端緒も南ヨーロッパにあるし、政治的にも進んでいた。

    ただし、14世紀になると次第に繁栄は過去のものとなる。ローマ法王が介入してきたり、互いの宗教に対する猜疑心もなきにしもあらずであるし、イスラムの君主が介入してきたり、その場所であるがゆえ―当初はその場所であるがゆえ、交易の要衝で、独特の混在さが近郊を保っていたのだが―、分裂と対立を招いてしまう。

    極めて重要な地域なのだが、あまり有名ではない、そんな気もする。

  • 歴史的必然が背景にあったとはいえ、宗教的寛容の成功例が中世に誕生したシチリア王国だったんだね。あぁ、行きたいなシチリア島。地中海を眺めて、地中海の風に吹かれて、『ゴッド・ファーザー』を読むんだいっ!

  • シチリアに向かう飛行機のなかで読んだ2冊のうちの1冊。著者は歴史学者で、中世シチリア研究の第一人者であるようだ。本書は、サントリー学芸賞受賞作の『中世地中海世界とシチリア王国』(東京大学出版会)のダイジェスト版といった位置づけだろうが、シチリアを立体的に把握する為の肝をつかんでいる(と僕は思った)、とてもよい本だった。シチリアを訪れる際の事前学習としては、絶対的にお薦めしたい。欲を言えば、本書で扱っているのは主に11〜12世紀で、それまでの流れについてはある程度は追っているのだけれど、新書という特性を鑑みると、以後についてももう少し触れておいてほしかった。僕らが実際に対面するシチリアは抽象的で直線的な歴史ではなく、それら歴史のすべてを経てきた「場所」としての現在のシチリアなのだから。

  • 西洋史学習者ではないと足を踏み入れる機会の少ないシチリア王国に関して平易に書きあげている。
    当時の時代背景や他民族・多文化が混在しながら王国としてまとめ上げる事が出来た理由を簡潔に書きながら地中海世界の興亡を書き上げているのはさすが。
     
    …本当はフェデーリコ目当てに買ったので、シチリア王国の最期の輝きとして最期の方にチョロっと出たのみであったのが残念でした。

  • [ 内容 ]
    ヨーロッパ、ビザンツ、イスラムという全く異なる三つの文化が共存し、繁栄を誇った神秘の地中海王国。
    その実像に迫り、中世史を読み直す。

    [ 目次 ]
    プロローグ もう一つの中世ヨーロッパ
    1章 地中海の万華鏡シチリア―錯綜する歴史
    2章 ノルマン人の到来―地中海とノルマン人
    3章 王国への道―シチリア伯領からシチリア王国へ
    4章 地中海帝国の夢―ロゲリウス二世の新王国
    5章 強大な官僚国家へ―ウィレルムス一世悪王と宰相マイオ
    6章 動乱から安寧へ―ウィレルムス二世善王の時代
    7章 南国の楽園―めずらしい果物の島、美しい建物の町
    8章 異文化接触の果実―イスラム、ギリシャ、ラテン文化の出会い
    エピローグ 混迷の時代へ

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • シチリアの晩祷って全然知らなかった。世界史でやったっけ・・くやしいので読みたくなった。

  • ●構成
    プロローグ:もう一つの中世ヨーロッパ
    1章 地中海の万華鏡シチリア:錯綜する歴史
    2章 ノルマン人の到来:地中海とノルマン人
    3章 王国への道:シチリア伯領からシチリア王国へ
    4章 地中海帝国の夢:ロゲリウス二世の新王国
    5章 強大な官僚国家へ:ウィレルムス一世悪王と宰相マイオ
    6章 動乱から安寧へ:ウィレルムス二世善王の時代
    7章 南国の楽園:めずらしい果物の島、美しい建物の島
    8章 異文化接触の果実:イスラム、ギリシャ、ラテン文化の出会い
    エピローグ:混迷の時代へ
    --
     地中海世界でも普段取り立てて言及されることが少ない、イタリア半島の「つま先」にあるシチリア島。実際は異文化の接点としてとても重要な存在であった。
     本書は11~12世紀、ノルマン人によって成立したシチリア島と南イタリアに広がるシチリア王国について、特にその統治システムの概観を中心に、古代~中世にかけてのシチリア島を巡る政体の変遷について記す。
     シチリア島全土に加え南イタリアも支配下に治めたシチリア王国は、西欧が東欧文化を受け入れる場所として、12世紀ルネサンスに大きく影響を及ぼしたことが、従来の研究が指摘してきた。著者はそのことに加えて、文化だけでなく、シチリア王国の王権政治それ自体が異文化を持つ人々に支えられており、その要職の多くに異国出身者が就いていたことを指摘する。そこから、シチリア王国はヨーロッパ史という限定された文脈にとどまらず、世界史全体という文脈においてラテン・キリスト教文化圏、ギリシャ・ビザンツ文化圏、アラブ・イスラム文化圏の三文化圏の結節点であり、文化移転、異文化との接触及び交流の重要な事例であると提唱する。
     王権の統治システム面からの叙述がメインであり、文化面の記述は少ないため、世界史の上で政治面におけるシチリア王国を理解したい人向けの本である。
    --
    【図書館】

  • あまり知られていないシチリア王国についての入門書かと思ったら、結構難しい。エンタメばっかり読みすぎて、私の頭がついていけていないのかも

  • 2009/7/19 チェック済み

  • 「中世のシチリア島の歴史ついて書かれた本」と簡単に書いてみましたが、古代から中世にかけてのシチリア島の歴史はヨーロッパ(主にローマ帝国)・ビザンツ帝国・イスラムの支配を受けるうちに3つの文化が混在した地域になっていきました。そこにノルマンディー(フランス西岸部)からやってきたノルマン人が進入し、やがてロゲリウス2世(ルッジェーロ2世)の時代になるとシチリア王国を建国し、王国は3つの文化圏をうまく融合していくようになります。(ノルマン人の文化水準が低かったから3つの文化に依存せざるを得なかったような気もするが…)
    管理人的には3つの文化の融合はこの本を読む限りだとものすごくスムーズに進んでいるというのに疑問を感じるのですが…
    いずれにせよ、読んでていろいろシチリア島に対し興味を抱かせる本で、管理人も機会があればこの筆者が書かれた他の本を読んでみたいと思っています。

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中世シチリア王国 (講談社現代新書)の作品紹介

ヨーロッパ、ビザンツ、イスラムという全く異なる三つの文化が共存し、繁栄を誇った神秘の地中海王国。その実像に迫り、中世史を読み直す。

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