神聖ローマ帝国 (講談社現代新書)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061496736

作品紹介・あらすじ

見果てぬ夢「古代ローマ帝国の復興」を求め、抗争を繰り返しながらも、八百五十年間にわたり中近世ヨーロッパの中心に存在し続けた「帝国」の実像に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 神聖ローマ帝国
    著:菊池 良生
    紙版
    講談社現代新書

    神聖ローマ帝国の推移は複雑である
    前半は3王朝時代、後半は、神聖ローマ帝国の宣言後である
    3王朝時代は、ドイツ、フランス、イタリアを対象として、血縁、ローマ教皇との対応、諸侯からの推戴などである
    神聖ローマ帝国になってからは、ドイツに限定される

    どだい千年にも及ぶ歴史を250頁ほどの新書に詰め込もうとは難しい話である。

    気になったのは以下

    神聖ローマ帝国=ドイツ国民の神聖ローマ帝国 第1帝国 962~1806
     ドイツ、オーストリア、イタリア、チェコ、スイス、オランダ、ベルギー等を版図とする帝国
    ドイツ帝国=プロイセン王国主導  1871~1918
    そして、ナチスの、第3帝国

    395 ローマ帝国東西に分裂
    476 西ローマ帝国滅亡

    □3王朝時代
    ■フランク帝国
    フランク帝国成立
     メロヴィング家衰微、カロリング家へ推移
    ■カロリング家
     カロリング家ピピン、メロヴィング家血統 フレデリック3世推戴後、廃位、あらためて貴族会議にて推戴されて王位へ
     ピピンをささえている要因は、ローマ教会との結びつき
    751 ピピン、フランク国王へ、カロリング朝開基
     ピピン死後、長男カール、次男カールマンに国土2分、カールマン早世にて、カールがフランク国王に
    800 カール ローマ教皇レオ3世より戴冠 西ローマ帝国復活 カール大帝へ
    814 カール大帝没 長子ルートヴィッヒ敬虔王 教皇ステファヌス3世により皇帝へ推戴
    843 ヴェルダン条約 ルートヴィッヒ死後、息子3名にて、王国は3分割に、イタリア、ドイツ、フランスの原型が誕生
     ①長子ロタール1世 中部フランク王 イタリア、トートリンゲン(ロレーヌ地方)⇒ロータル1世の子ルートヴィッヒ2世の後に廃絶
     ②3子ルートヴィッヒ 東フランク王、ライン以東(ドイツ人王)⇒ルートヴィッヒ・ドイツ人王、末子カール肥満王が相続
     ③4子カール(シャルル禿頭王) 西フランク王 ライン以西 ⇒禿頭王の末子カルロマン死後、断絶
    885 東フランク王 末子カール肥満王が西フランク王の支配権を得て皇帝
     ノルマン人のパリ包囲後、肥満王廃位⇒甥のケルンテン辺境伯アルヌルフ 東フランク王に ⇒東カロリング家はその後断絶
     西フランク カロリング家も断絶 ⇒王権は、パリ伯ロベール家ウード伯に移る ⇒カペー王朝へ
    911 東フランク王にフランケン公コンラート1世を選出
     コンラート1世は、後継者にザクセン公ハインリッヒ1世狩猟王に王位を譲るという遺言
     ザクセン王朝=事実上にドイツ王国のハインリッヒ1世狩猟王誕生 ハインリッヒ死後は、オットー1世が即位
    ■ザクセン朝
    962 オット1世が、大帝に、ザクセン朝初代
     <1>教皇ヨハネス12世廃位⇒レオ8世
     <2>イタリア王国を摂取して、ドイツ王とともに、イタリア王にもなる
    1024 ザクセン朝第4代聖ハインリッヒ2世死亡 ザクセン朝断絶
    ■ザリエリ朝
     オット大帝の娘の系譜、フランケン公コンラート2世をドイツ王に推戴 ザリエリ朝創設
     コンラート2世は、ブルゴーニュ王国を支配、ドイツ、イタリア、ブルゴーニュを支配
     コンラートの息子ハインリッヒ3世、中世ドイツの最強の支配者に⇒フランケン公領+シュヴァーベン公領+バイエルン公領を支配、隣接ボヘミアを臣従、ハンガリーも臣従
    1056 ハインリッヒ3世の息子、ハインリッヒ4世が6歳で即位、摂政を立てるも、教皇からの圧力を受けるようになる
    1076~77 カノッサの屈辱、ハインリッヒ3世のグレゴリウス教皇廃位に対して、ハインリッヒ3世を破門とした、その後カノッサ城にて破門を解除
    1122 ハインリッヒ3世の息子4世と、教皇カリクストゥスの間にヴォルムス協約締結
     ハインリッヒ4世は、息子5世のとどめを刺されるが、5世も子宝にめぐまれずザリエリ朝は廃絶 シュタウフェン家に王位を譲ることに
     しかしそのことをきらった諸侯は、ザクセン公ズップリンゲンベルク家のロタール3世を新王に推戴して、ドイツは10年間の内乱となる
    ■ズップリンゲンベルク朝
    1133 ロタール3世は皇帝となるが、その死後、ズップリンゲンベルク家は廃絶
    ■シュタウフェン朝
     その後、諸侯はシュタウフェン家のコンラート3世を推戴
     コンラート3世死亡後、フリードリッヒ1世(赤髭王=バルバロッサ)4度のイタリア遠征に
    ■神聖帝国に
    1190 バルバロッサは、第3回十字軍を率いて小アジアを突破
     バルバロッサの後継、ハインリッヒ6世、ドイツ王、フルゴーニュ王、イタリア王、ナポリ・シチリア両王を兼ねることに
    1197 ハインリッヒ6世急死、フリードリッヒ2世母后が摂政に、母の死後は、教皇インノケンティウス3世が摂政に
    1250 フリードリッヒ2世没、3王朝時代が終了、大空位時代始まる

    □神聖ローマ帝国
    1254 ホラント伯ウイレム、国号に「神聖ローマ帝国」を使用
    1256 ウイレム遠征中に沼で溺死、ドイツの南北朝時代が始まる

    ■ルクセンブルク家
    1310 ハインリッヒ7世、イタリアで戴冠式
     ルードヴィッヒ4世 皇帝戴冠式、一方対立王カール4世も併存
    1347 ルードヴィッヒ4世急死、カール4世が1人王に
     カール4世は神聖ローマ帝国がドイツ、イタリア、ブルゴーニュの王国に君臨するというが、おとぎ話にすぎないことを骨身に染みさせられた
    1356 カール4以西は、金印勅書を発行し、諸侯に特権を付与
     ハプスブルク家建設候ルドルフの偽書騒動⇒以後ハプスブルグ家の勢力が伸長
     カール4世の次男ジギスムントは、宗教改革をまとめきれずに死去、後任には娘婿のハプスブルク家のアルプレヒト2世が選考される
    ■ハプスブルク家
     アルプレヒト2世は、ルクセンブルク家所領のボヘミアとハンガリを手に入れるが急死
     従兄妹のフリードリッヒ3世が皇帝を継ぐことに
     フリードリッヒ3世は、神聖ローマ帝国の版図はほとんど、ドイツに限られていることを追認
    1493 その子マクシミリアンは、ドイツ王
    1499年のシュヴァーベン戦争でスイスが帝国から離脱
    1508 教皇の戴冠なくして、皇帝となる
     マクシミリアンの後はその孫カールが継承
     カールの敵はフランス、そして、ペストと、オスマントルコであった
     その後カールは、宗教改革で失脚、皇帝を弟、フェルディナントへ、スペイン王は、息子フェリペに渡す
     このことで、ハプスブルク家は、オーストラリア・ハプスブルク家と、スペイン・ハプスブルク家に分裂する
    1618~1648 ドイツ30年戦争 
    1648 ウエストファリア条約、スイス13州は、自由に離脱した州とした法的地位を獲得する、またオランダが独立
    1776 ロートリンゲンは、フランス占領、最後のロートリンゲン公シュテファン・フランツがハプスブルク家の婿養子となることが決まる
     そして、相手の家付きの娘とは、マリア・テレジアである
     アウクスブルクの和議 宗教として認められたのは、カトリックとルータ派であり、カルヴァン派は異端のまま
    1806 オーストリア皇帝となっていた神聖ローマ皇帝フランツ2世は帝国の滅亡を勅した

    序章 神聖ローマ帝国とは何か
    第1章 西ローマ帝国の復活
    第2章 オットー大帝の即位
    第3章 カノッサの屈辱
    第4章 バルバロッサ――真の世界帝国を夢見て
    第5章 フリードリッヒ2世――「諸侯の利益のための協定」
    第6章 「大空位時代」と天下は回り持ち
    第7章 金印勅書
    第8章 カール5世と幻のハプスブルク世界帝国
    第9章 神聖ローマ帝国の死亡診断書
    終章 埋葬許可証が出されるまでの150年間
    あとがき
    神聖ローマ帝国関連略年表
    参考文献

    ISBN:9784061496736
    出版社:講談社
    判型:新書
    ページ数:264ページ
    定価:900円(本体)
    発売日:2003年07月20日第1刷

  • 「神聖ローマ帝国」を理解したくて、この本を読みました。
    とても面白くて、どんどん読めました。
    でも、結局、充分理解できていません…。


    菊池良生さんが悪いのではありません。
    地図や系図で確認できたり、わかりにくいところを日本史にたとえて説明してくれたり。


    やはり、自分の知的レベルが充分ではなかったみたいです。
    こういうこともありますよね。

    もっといろいろな知識を得てから、
    再び読んでみたいと思っています。

    http://nagisa20080402.blog27.fc2.com/blog-entry-239.html

  • これとハプスブルク家の二冊がかなりリンクしてて合わせて理解しやすかった。中世が思った以上に、現代とかけ離れておった。

  • 神聖ローマ帝国は、世界史を勉強していて結局よくわからない一つだと感じている。「神聖」で「ローマ」で「帝国」である、と3つの概念が合わさってしまうことが本来は素通りできないことを改めて認識し、さらにドイツ王、イタリア王、神聖ローマ皇帝と3つの位があり、さらには皇帝選挙に領域外からも参戦することに違和感を持ち続けながら読んだ。教科書にはざっくりしか書かれていないことで、「いつからそうなっているのか?」「その後も変わらず続いているだろう」と疑問や推測だったことが、この新書の細かな部分で、少し腑に落ちたところも多い。ハプスブルク家が最初に皇帝に選出されるところも、他の力を持つ諸侯たちの牽制の結果であり、いかに諸侯の思惑が入り乱れる国かを表している。
    それに世界史ではあまり取り上げられないが、シチリア生まれのフリードリヒ2世はやはりもっと注目されてもいい人物だと思う。

  • カール大帝以降、非常にややこしい神聖ローマ帝国について、各時代の皇帝に焦点を当てながら書かれている通史。やはりややこしい話だが、神聖ローマ帝国という概念が実体を持たなかったことについては、理解が進む。

  • 「神聖ローマ帝国ってなんなのだ?」から始まる、面白く読める神聖ローマ帝国入門と言った感のある一冊。ただし、注意点はある。各所に物事を単純化する傾向、参考文献のつまみ食い的傾向がある。また、フリードリヒ3世の評価やウェストファリア条約の評価についてなど、今となっては古い説になってしまっている箇所があることなどである。この辺りの新しい評価は岩崎周一氏の『ハプスブルク帝国』を読むと良いかもしれない。

  • 世界史の教科書の中ではなぜかブラックボックスのように隠されてしまっているザリエル朝・ヴェルフェン朝・大空位時代のあたりを知るために読んだ。変なつまみ食いみたいな取り上げ方をするのではなく、こんなふうにきちんとタテの流れを明示しないと、神聖ローマ帝国の歴史が何なのかが結局よく見えてこない。文章も読みやすく、大変ありがたかった。

  • ある日の夢で見たのか、目覚めると「シュタウフェン朝」という単語が頭に浮かんだ。何だったっけ・・と山川の世界史の教科書などを引っ張り出して調べて見て、神聖ローマ帝国の王朝の1つだとわかった。
    世界史の教科書を読み返しているうちに、過去の読みたい本リストに入れていた本書のことを思い出し読んだ。
    本書は、著者自身あとがきに書いているように、歴代の皇帝等の列伝風に記述されている。歴史学のことは全く詳しくないのでわからないが、著者は「人」に焦点を当てて人と人との交流が歴史を形成していくという歴史観である(と言えるのか?)。そのような人物を中心とした記述がドラマティックで、楽しく読むことができた。
    一方では編年体で出来事を順番に記していく方法もあったと思うが、皇帝たちの言動を生き生きと描くことによって、当時の世界情勢や宗教観などが、いかにその人物の行動に影響を与えていたのかがわかりやすく、世界史ものの本を普段読み慣れていなくても、理解が難しく感じる箇所はなかった。ただ、一応高校時代は世界史選択者だったので、知識の下地があった分面白く読めたのかもしれない。
    内容面に関しては、そもそもなぜ「神聖」「ローマ」「帝国」なのかを一貫してテーマにしていて、読了するとその理由もわかる。特に、ヨーロッパの人たちにとってのローマ帝国の持つ意味や、帝国と言いながら実は現在のドイツの国境が主たる領土で、しかもその領土内の集権化にもあまり成功していなかった、などの点が興味深かった。

  • 仕事で読んだ本。目的にはあわず。

  • この一冊で現在のヨーロッパがどのように生まれたのかを少しだけ理解できた。
    以前に「英仏百年戦争」も読んだからイギリス、フランス、ドイツ、イタリアの中世ヨーロッパの状況が少しだけ理解できたと思う。
    [more]
    それにしても神聖ローマ帝国という存在が1000年も続いていたとは知らなかった。
    初期はともかく、最後の方は多くの諸侯が生まれ、政略結婚で血筋が複雑に絡まりすぎて、よくわからない事になっていた。そんなにカール大帝の血筋が重要なのかと思ってしまう。
    この諸侯が現代ヨーロッパまで、濃い影響を残しているという事も頷ける。

    以前に「英仏百年戦争」も読んだ際も似たように血筋の複雑さや諸侯の関係に驚いて気がする。

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著者プロフィール

1948年生まれ。早稲田大学大学院博士課程に学ぶ。明治大学名誉教授。専攻はドイツ・オーストリア文化史。著書に『ハプスブルク家の人々』(新人物往来社)、『ハプスブルク家の光芒』(作品社)、『神聖ローマ帝国』(講談社現代新書)、『ハプスブルク帝国の情報メディア革命─近代郵便制度の誕生』(集英社新書)、『超説ハプスブルク家 貴賤百態大公戯』(H&I)、『ウィーン包囲 オスマン・トルコと神聖ローマ帝国の激闘』(河出書房新社)、訳書に『ドイツ傭兵の文化史』(新評論)などがある。

「2022年 『ドイツ誕生 神聖ローマ帝国初代皇帝オットー1世』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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