悪の読書術 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061496842

感想・レビュー・書評

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  • 本を読む、本を選ぶというのは、自らの内面よ表明であると同時に、どのように自分自身を、その精神面を作っていくのか、という選択と戦略にも関わっている→本を読む目的を明確にする→社交的
    塩野七生「男たちへ」文藝春秋
    白洲正子

  • 『悪の読書術』
    福田和也

    虚栄心というもの、評判の悪い心根ですが、しかし人間の向上心を考えた時に虚栄心というのは、なかなかに頼もしい味方なのです。(p28)

    ★マイナスな面も飼いならしてしまうということ。一理ある。

    本を読む、本を選ぶというのは、自らの内面の表明であると同時に、どのように自分自身を、その精神面を作っていくのか。という選択と戦略にも関わっているのです。(p228)

    ★そうなる為に、本を読むというのは決して間違っていない。

    イノセントに読書を楽しむ、自分はこの本が好きだから読む、ではなく、自分を自分として作り、向上させるために何を読むべきか、ということを、客観的に考えるべきでしょう。(p231)

    ★本書の要約でもある。面白い。

  • 20130302読了。
    『どんな本を読んだことがありますか』『好きな作家は誰ですか』と質問された時になんと答えるか。
    服装や化粧でもそうだけど、要は年相応、社会的地位にふさわしい本を読め、ということなのだろうと。
    なぜその本が好きなのか、なぜその作家が好きなのか、とことんまで語り尽くせない人は中途半端な読書はするな、無難に教養がある人ぶれる本を読みなさい、ということだと理解した。
    そういう視点で読むことで自分の読書の幅が広がるんならそれもよし。
    でも、読書ぐらい自由にさせてくれ!!とも思う。

  • どうも納得できなので再読するまで1章から3章とタイトルに影響されて誤読しておりました。
    読んでいる作品、好きな作家を他人から見られた時に恥ずかしくないものでなければならないという主張が、様々な作品、作家を通して述べらています。どうもその考え方が腑に落ちないのでした。読書とはおもしろいから、好奇心があるからの理由で読めばよいのであって、他人の目を気にする必要があるのかという疑問がありました。読む理由なんてそもそも必要なのかとも思いました。
    著者は「悪」の定義として「自らの無垢さ、善良さを前提とする甘えを抜け出しより意識的、戦略的にふるまうためのモラルに他なりません」としています。そして、「社交的読書」をしていくことが大切であると述べています。では、その「社交的読書」が何なのであるかということが、ピンとこなかったので私の誤読の原因であるということが判りました。
    序章で読書家は少なくなったということが巷間でいわれるようになったと著者も指摘しますが、しかし一方で本好きはたくさんいることも述べています。この部分も序章で書かれているのですが見落としていたため、第5章の「カルチャーの周辺」を読むまで理解できませんでした。
    以前は読書は、コミニューケーションのための大事なメディアであったと指摘しています。会話や相手を理解するうえでの「共通の知的基礎」として読書という存在があったという指摘は見事ですね。現在と過去の対比として、現在はマニアックに限定されたコアな世界については詳しく、過去は広範囲に目を通していたという社会情勢の変化とともにおこってきた現象の指摘は的を得ていると思います。
    第5章の「カルチャーの周辺」の中の「されどサブカル」が本書の中で特に注目し、すっきりした章でした。
    90年代末からオタクよりもっと特殊な集団が増殖してきたため議論の際「歴史的データや資料に対する細部に込み入ったこだわりとか、一般に通じない特殊な議論の仕方とか、仲間うちだけに向けられた対話を拒否した言説などといった要素…」として、彼らがオタクたちが反社会性を認識しているのに対して、彼らは反社会性どこでなく自分達は立派な存在だとして振る舞い、「自分の論点に過剰に拘泥し、些細な差異で争い、対話が成立せずに自己肯定的な言説のなかに立てこもっているわけです。」との警鐘は秀逸ですね。
    技術が専門化、細分化していく中で大量の情報をどうさばいていくかとという問題がります。一方、我々が生活する中で基礎知識というものがおろそかになっているを痛感します。他人の目を気にするということは、コミニュケーションを円滑にするためのひとつの方法なのかもしれません。
    コミニュケーションを大切にしていくために読書をするというのも一つの方法ですね。そのような読書のために、自分の甘えから抜け出るために、色々な作家や作品がありますよ。それらを少し紹介しますよというのが本書のねらいなのでしょう。

  • <DIV style="background-color : white ;color :black ;padding : 8px 8px; border : 1px inset #ddd; margin : 0px 5px;">社交的意味でのスノッブになることのすすめ。通俗を忌避し、虚栄とナルシシズムが結局大事な著者は、少し頼りない文体で臭く書くあたりがいやらしい感じがする。</DIV>
    <h5>出版社 / 著者からの内容紹介</h5>
    熟した大人になるには、読むべき本と読んだら恥ずかしい本がある。白洲正子、村上春樹、林真理子、高村薫ら人気作家の戦略的な読み方。

  • 修行して出直してきます。

  • 「悪の対話術」と間違えて購入。まあこれはこれで。。。

著者プロフィール

1960年、東京都生まれ。批評家。慶應義塾大学名誉教授。『日本の家郷』で三島賞、『甘美な人生』で平林たい子賞、『地ひらく――石原莞爾と昭和の夢』で山本七平賞、『悪女の美食術』で講談社エッセイ賞を受賞。

「2023年 『保守とは横丁の蕎麦屋を守ることである』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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