きむら式 童話のつくり方 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061497085

作品紹介・あらすじ

ボクはこうしてミリオンセラー作家になりました
童話を明日から書く方法!

ミリオンセラー続出の童話作家がおくるプロの作家になる方法! 文章マニュアルから童話論まで、あなたも明日から書ける。

感想・レビュー・書評

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  • 「そう言えば人間ってよくそういうことあるよね」そんな共通点を感じさせるエピソードを種に、それをふくらませて育てて作品を書く。
    普段アンテナを立てて過ごす。人間が「おもしろい」と感じるのはどんな時か?それは、おもしろいストーリーのことではなくて、「人間ってよくそういうことあるよな」とか、そういうことが「同じことでも大げさに騒ぐ奴と、あんまり騒がない奴がいるよな」みたいなことがふっとそこに見えるということ。だから、そこに何かのドラマ展開がなくても構わない。この場合は、その時の人の心が面白いということ。
    その登場人物を動物にしてみる。動物は象徴的なキャラクターだから、一番本質的なものを抽出しやすい。
    困ったときの公式
    主人公 × 性格 坊(食いしん坊、利かん坊)・屋(寂しがり屋、お天気屋)・虫(弱虫、泣き虫) × プロット(桃太郎、赤ずきん、浦島太郎)

    だれでも一つのことを十年続ければそれなりにさまになる。十年続けられるかどうかが才能。こういうものをやりたいと思ったら、そういうものができるまでやり続けるのだからいつかは絶対できる。それを途中で諦めるからできないだけで、できるまでやめなければいいのだ。続ける才能がない人が辞めるだけで、それが短い時間でできる人と長い時間かかる人だけの違い。いいアンテナを自分の中に作れるかどうか?いつも自然にアンテナが働いているかどうか?それができるということは、好きだということ、それこそ内的必然。あらゆる場面で他人を意識した時に持っているはずの力も出せなくなってしまう。自分のエネルギーを前に向けて集中させるのみ。

  • さすが児童作家さんが書いたものだけあって、わかりやすく、楽しく読めた。自分もなにか書いてみたくなった。

  • 童話を書くテクニック、創作活動の続け方に分けられる。
    テクニックとしては、同じ言葉を繰り返す、キャラの擬人化、テーマを書き表さないなどが挙げられる。
    創作活動の続け方では、道具を持ってファミレスなどで行う、外的要因を無くして内的必然を残す、本番を続けるなどが挙げられる。
    個人的には、童話を書く際に子供を子供扱いしないで筆者本人が面白いと思うことを伝わる言葉で書くこと、童話が与える夢は社会の枠に抑えられない本能的な自分を解放するために必要とされるという考察が面白かった。

  • こうやって、あらしの夜にが書かれたかと思うと、興味深い。

  • 最初に童話なんて簡単にかけてヒットしたら儲かるから美味しいよなんて書いてますが、これは完全に釣り的な言葉。

    それに釣られて読み始めると童話の奥深さと真面目な童話の作り方を学ぶことが出来ます。

    童話は子供だけでなく大人が読んでも面白いものも多く、作品のクオリティに驚かされることもよくあります。

    一度ぐらい童話づくりに挑戦してみたいかな。

  • 童話の書き方、というとたいていの人には縁遠い話題かもしれない。私も童話を書いてみたいという気持ちがあってこの本を読み始めたのではないのだが、この本を読むと、いっちょやってみたろか、とうまく気持ちを持って行かれてしまった(笑)子供に分かるように作品を作る木村氏ゆえ、素人にも分かるように説明するのもお手の物、というところか。
    大変面白い本でした。これから、アンテナを張っえ、面白い発想を探しながら過ごしてしまいそう…。毎日が楽しくなるかも。

  • 2018/06/15読了


    心構えと、作り方を学ぶにあたって
    非常に参考になる一冊でした。
    とりあえず、あれこれ考えるのは後でとにかく「かけ!」という気持ちに十分になれる。
    「あらしのよるに」シリーズの制作秘話もあったし
    なによりモノカキとしてのメンタルの糧にはなりました。

  • 文章書きの公募案件をみていると
    童話の案件はとても多いです。
    で、自分も童話というのを書いてみたいなあと
    思いこの本を読んでみました。

    面白いなあと思ったのは
    著者の木村さんがほとんど童話を読んだ事がないのに
    いきなり書き始めたという事ですね。

    だからなのか、童話の書き方の本ですが
    現実的な方法論と心構えが書かれていました。

    心構えとして印象に残ったのは
    童話はこどものために書くということではなく
    あくまで自分自身が今本当に考えている事を
    書かなくては子どもには伝わらないという事です。
    これは何でも同じですね。


    適当に、相手をジャンル分けして
    こんな事ふうな事を、こんなふうに書けば
    満足するだろう?
    なーんて態度で書いているものは
    伝わないですしね、伝わったとしても
    しばらくすれば消えていく。

    相手が何を欲しがっているのかは
    わからないけれど、
    今自分が何を感じて
    何を伝えたいのか?
    それをしっかりと見つめて
    それを伝えること。
    それが相手に対する礼儀ということに
    なるのかな?なんて事を思いました。

    童話こそ子どもだましの技術では
    通用しないですよ、と著者は言いたいのでしょうね。

    以下 抜き書き


    テーマのようなものがあったとしても絶対に言葉にしてはいけない。
    「戦争やめましょう」と言うのを前面に出すのなら
    「戦争やめましょう」と言う言葉で云えばいいわけで、
    わざわざお話を作って延々と読ませる必要は無い。

    どうしてそれをストーリーにするかと言うと、
    理解させるのではなくて「感じさせる」「思わせる」そのためだ。
    言葉でわかることと心で思う事は違う。

    言葉である1つのことを言って、
    読んだ人がその意味を言葉として分かったとしても、
    本当にそう思うかどうかは別だ。
    思わせるにはストーリーがいる。
    それを読んで、涙を流して、本当にそう思うとしたら、
    それを読まなきゃ生まれない感情を経験してるのだ。
    でも理解させるには、その言葉で済むから、キャッチフレーズで良い。
    どうやったら思わせることができるか。
    そのためにたくさんの文章書くわけなのである。

    物語というものの存在意義を語っていますね。
    2016/12/16 13:11

  • 売れっ子絵本作家だが、偉ぶることなく、オープンに作家であることのミソを情報開示している本。逆にこれくらいの情報では、皆絵本作家になれないという自信があるのかもしれない。
    絵本作家はメルヘンチックな話を考えていればよいという訳ではなく、当然プロフェッショナルとして戦略的に、色々なことを計算しなくてはならない。ということがよく分かる本だった。
    横滑りの絵本作家へのなり方など、最初から絵本作家になりたかったわけではなく、結果的に絵本作家になったという部分が面白い。

  • 【図書館】紙にちょっと字を書いて、それも夢があっていいなと言われて、さらに当たればお金になる!それが童話作家。子供の本は長く売れる。どんなに長くたって三百枚。短ければ十枚、いや三、四枚でもいいのである。主婦をしながらでも書けるし、会社に勤めながらだって書ける。リスクが少ない。だから続けられる。こんなにいい職業はない。少しの運と、方法論、そして書くことが好きであれば、必ず成功する。……らしいです。私にも書けそう!と思ってしまいます。

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著者プロフィール

木村裕一(きむら ゆういち) 東京都生まれ。多摩美術大学卒業。造形教育の指導、テレビ幼児番組のアイディアブレーンなどを経て、絵本・童話作家に。『あらしのよるに』(講談社)で講談社出版文化賞絵本賞、産経児童出版文化賞、JR賞受賞。同舞台脚本で斎田喬戯曲賞受賞。同作品は映画化もされ、脚本を担当。2005年より公開された東宝アニメーション映画「あらしのよるに」は、2007年「日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞」を受賞。2009年『オオカミのおうさま』(偕成社、田島征三 絵)で第15回日本絵本賞受賞。著書は600点を超え、数々のロングセラーは国内外の子どもたちに読み継がれている。作品に『あかちゃんのあそびえほんシリーズ1~13』(偕成社)、『風切る翼』『よーするに医学えほん』シリーズ(以上、講談社)、『オオカミグーのはずかしいひみつ』(童心社)、『たいせつなことはみんな子どもたちが教えてくれた』(主婦の友社)、『ゆらゆらばしのうえで』『どうするどうするあなのなか』『おっとあぶないかわのなか』(以上、福音館書店)などがある。純心女子大学客員教授。東京在住。

「2018年 『もうちょっと もうちょっと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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