比較文化論の試み (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (99ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061580480

感想・レビュー・書評

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  •  『日本人とユダヤ人』等、卓越した日本論の著書を多数執筆している山本七平氏による比較文化論。本書では、日本人と世界との違いについて述べている。
     日本人には、「何事も自然に」といった伝統があるため、「自分がなぜそう思うのか」を説明できない。そのため、「自分がこう思うから、相手も同じことを思うはず」という独りよがりの状態に陥りやすいという。一方アラブやユダヤ、ヨーロッパ社会では、多くの民族や宗教が入り混じった社会のため、言葉による論理的説明が発達した。
     そこで、『多くの言葉を必要としない日本社会』⇔『言葉がないと始まらない世界』という図式が出来上がる。

     キリスト教、イスラム教、仏教、ユダヤ教とあらゆる宗教に精通する作者だけに読みごたえがあった。日本人は海外を語るときにえてして経済の話をする傾向があるが、もっと深い根の部分、宗教や文化についてももっと深く考えてみるべきだと思った。

  • 日本の文化と他の文化を相対化し、日本文化の特性を明らかにする試みです。他の文化との臨在感の違いや、言葉にすることの重要性、対立概念と二元論を説き、文化を再把握してそこから新しい文化を築くべきとしています。名著ですね。

  • (1982.12.28読了)(1982.12.27購入)
    *本の表紙より*
    経済的破綻に更生はありえても、文化的破綻はその民族の自滅につながる。文化的生存の道は、自らの文化を、他文化と相対化することによって再把握し、そこから新しい文化を築くことしかない、とする著者が、日本人とヨーロッパ人、ユダヤ人、アラブ人との差異を、言葉や宗教、あるいは法意識などを通してわかりやすく解明した独特の比較文化論。日本文化の特性が如実に浮き彫りにされ、私たち自身を見直すうえで絶好の書である。

    【目次】
    はじめに
    1 ひとりよがりの日本人
    2 民族による臨在感の違い
    3 セム族の臨在感の特徴
    4 臨在感の歴史的裏づけ
    5 ショフティムと多数決原理
    6 言葉を重んじるセム族の伝統
    7 正統と異端・護教論とその裁定
    8 言葉の差―神概念の相違
    9 ものの見方の差

    あとがき

    ☆山本七平さんの本(既読)
    「日本人とユダヤ人」イザヤ・ベンダサン著、角川文庫、1971.09.30
    「日本資本主義の精神」山本七平著、光文社、1979.11.05

  • マストバイです

  • 内容は面白く、確かにそうだと思わされる部分が多い。ただ、本が非常に薄く(簡潔とも言えるが)、例えば、日本以外の文化の人はこういう時にこういうことをする、だから日本人もこういう知恵を持って異文化交流をしよう、というような具体的な主張が少ない。なので、これを読んだ上で、自分の中で考えやどういった行動をしようといったことを整理する必要がある。

  • 何年も前に買い、折に触れて再読する本。
    無意識に「自分の考えは普遍的な真理だと信じている」ことに気づかせてくれる良著。
    以下、自分用メモ

    ・日本人は相手と自分を混同してしまい、自分の感情を充足させることと相手への同情の区別がついていない。(例 ヒヨコが寒かろうとお湯を飲ませて死なせてしまう)
    ・日本人は「自分がなぜそう考えるか」を歴史的に把握しようとしない。臨在感を持ちながら理由を考えず、無視するのが科学的と思っている。
    ・日本人は文化ショックを受けて自分たちの規範を再確認する機会が少なかったため、自国の文化を把握・説明しきれていない。
    ・日本では、言葉にすることで自分たちの考え方を弁護する護教論が発生せず、相手の言葉・考え方で説明する必要がなかった。
    ・「言葉にする」とは、臨在感を歴史的に把握し直すための知識化。セム族は法則や規定、生き方はすべて「言葉にしなければならない」と考えていた。

  • ニコニコ動画の蝉丸Pが紹介していた。

  • -ニコニコ堂がで仏教講座を見てから、ずっと読みたかった本。自分の考えが、時代・地域において通用する相対的なものだと気づくための書籍という紹介。

    思想の違いが『現在どのような点で違っているのか』ということと、『どのような経緯で成立していったのか』、を説明できるようにすることが比較文化論の第一歩ということだ。

    参考:坊主めくり
    http://bouzumekuri.jugem.cc/

  • とても薄い本です。
    でも,そこらへんの無駄に厚い本よりも勉強になります。

    日本と他の文化を比べてます。
    「空気よめよ」が異なる文化では通じない事を改めて認識させられました。
    「ならぬことはならぬものです」ではなく,きちんと相手を納得させる事も時には必要です。

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著者プロフィール

1921年、東京都に生まれる。1942年、青山学院高等商業学部を卒業。野砲少尉としてマニラで戦い、捕虜となる。戦後、山本書店を創設し、聖書学関係の出版に携わる。1970年、イザヤ・ベンダサン名で出版した『日本人とユダヤ人』が300万部のベストセラーに。
著書には『「空気」の研究』(文藝春秋)、『帝王学』(日本経済新聞社)、『論語の読み方』(祥伝社)、『なぜ日本は変われないのか』『日本人には何が欠けているのか』『日本はなぜ外交で負けるのか』『戦争責任と靖国問題』(以上、さくら舎)などがある。

「2020年 『日本型組織 存続の条件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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