動物にとって社会とはなにか (講談社学術文庫 169)

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  • Amazon.co.jp ・本 (180ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061581692

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  • 動物行動学の立場から、さまざまな生き物の本能に規定された行動が、種という「社会」の維持にどのように役立っているのかを解説している本です。多くの印象的な例が引かれていて、一般の読者にも理解しやすいように工夫されています。

    また、人間の社会的行動の特異性について、著者自身の思想が語られています。著者によれば、人類には他の動物が持っているような「本能的社会」というものは存在しません。これまでは、飢えと病気が人口調節機能の役割を果たしてきましたが、文明が進むにつれ、人類はこのような調節がおこなわれることを退けるようになり、現実的に調節の役割を果たしているのは戦争だけだという、ペシミスティックな結論を導いています。

    著者の弟子筋に当たる竹内久美子のトンデモ本のせいで、いささか評価を下げた印象のある著者ですが、分かりやすい文章を書く才能は、特筆するべきものがあるように思います。

著者プロフィール

総合地球環境学研究所 所長

「2007年 『アフリカ昆虫学への招待』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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