チベット旅行記(5) (講談社学術文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061582675

作品紹介・あらすじ

仏教の原典を求めたいという求道者の一心から、厳重な鎖国をしくチベットに、あらゆる困難にうちかって単身入国を果たした河口慧海師の旅行記。抜群の面白さをもっているだけでなく、チベットの風俗・習慣等についての的確な記述は、本書をチベット研究のための第一級の基本的文献としている。この最終巻では、ラサを出立した慧海師が、厳重な五重の関門を奇跡的に踏破して英領インドに達し、海路日本に帰国するまでが述べられる。

感想・レビュー・書評

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  • クレイジー豪胆坊主によるクレイジーチベット密入国記in明治時代。

    プロローグで僧侶・慧海さん記す。
    「古代インドに仏教が成立して以来、中国で色々な人に中国語に訳された仏典がさらに日本で色々な人に日本語訳されてきたけど、それって、インドの原書にどれだけ近いのかな?いや、結構…絶対、遠くなってるよね。
    わ、原書、マジで読みたい!
    でもインドってもう仏教廃れてるんだよね〜…。
    むしろ、インドの近国のチベット(※鎖国中)って、メッチャ独特だけど、メッチャ仏教国だし、仏典も原書の趣きがかなり残ってるっていうから、ちょっくらチベット(※※ガチ鎖国中)に密入国して勉強して仏典手に入れてくるわ!!!…てなった時の記録です。」

    …から始まる、足掛け6年にわたる壮大なノンフィクション旅行記っていうか密入国生活記。
    本当です。(※言葉遣いと要約は私の意訳だけど。)

    有言実行の男・慧海さん。 
    まずはインドでチベット語ペラペラになり。
    日本を離れて3年後には、ネパール経由…21世紀の登山家顔負けにヒマラヤ山脈を単身踏破し、関所を避けて獣道から、見事、チベットへの密入国を果たす。そして、現地の超有名大学に「チベット人」を騙って入学。(だって、大学には中国人僧たくさんいるけど、自分、中国語できないから、正体バレちゃうし!でもチベット語ならペラペラだし!…と。)
    でも、慧海さんの勉強生活は、慧海さんが変に色々凄すぎるがゆえに平穏ではなくて…。

    メチャクチャ面白かったけど、あまりに突き抜けすぎてて、ところどころの展開が、もはやマンガというか、フィクションじみてて。「いや、ホンマか?」と思うことしばし。

    この手記が発行された当時の明治人たちも思うことは一緒だったらしくて、手記が出た時は一悶着あったらしい。
    …でも、結局ホンマだったらしい。
    慧海さん、強すぎる。
    肩書きに僧侶だけでなく冒険家が加えられるの、似合いすぎである。

    ラストは「え?そこは記載なしなん?結局どうなってん?気になりすぎる…」と思うくらい、重要な点を回収してない部分が一個あるのだけど、それでも、とって刺激的でオススメな作品です。

  • 周到な人間観察に基づくハッタリでチベットを脱出。国境を越えて高熱を出すところで、ああこの超人も人間だったのだな、とほっとしてしまった。

    物言いに感傷的なところがなくて、ものすごく実行力があって、慧海さんの特徴をまとめたら大悪党にぴったりなキャラクターなのに、動機は仏道の追求。このミスマッチの面白さと危険だらけの道中に、最後まで気を緩められない全五巻だった。面白かった。

  • 明治30年代
    鎖国中のチベットに潜入した男がいた
    河口慧海 のチベット旅行記 全5巻
    5巻はチベットを脱出しインドから海路日本へ

  • 日本人であることが発覚した著者は、一人の従者を伴ってチベットからの脱出を試みます。途中、関所で足止めされる危機に見舞われながらも無事にインドにたどり着きます。

    ところが、著者が出国を果たした直後、チベットでは著者がイギリスのスパイだったのではないかという疑いが起こり、彼と親しく交流した前大蔵大臣らに対する過酷な取り調べが始まったという知らせがもたらされます。著者はそうした疑いを晴らすため、チベットと親交のあるネパールへと向かい、ネパール大王からチベット法王へ向けての親書を送ってほしいと依頼します。

    愚直なまでの信念をもって困難な道を切り開いていく著者の姿に感動を覚えました。

  • チベット旅行記、読みました。名著中の名著ですね。
    この本は、1900年頃に河口慧海さんというお坊さんが、日本人として初めてチベットを旅したその旅行記なのです。
    ただ旅行と言っても、当然今みたいに飛行機でピュッと行って車でいろいろ散策できるわけではないし、そもそもチベットはその頃鎖国していて、外国人が入国しようものなら即刻殺害される時代だった訳で、
    じゃあこの慧海さんはどうしたかというと、インドからネパールを経由して道なき道を進みチベットに密入国したうえ、更にヒマラヤ地帯の6000メートル級の雪山をただひたすらひとりで歩いてラサ府まで行ったわけです。
    はっきり行ってクレイジーです。一節にこうあります。
    「雪山で右も左もわからなくなって遭難していたら馬に乗って人が来たから助けを求めたらそれは盗賊で荷物全部盗られていよいよ途方に暮れて足も痛くて歩けなくなって雪も風もすごいし夜になるしいよいよ自分の人生はここで終わりかと思ったのでその場で座禅を組んだらだいぶ楽になって夜を越すことが出来たです。」
    っていやいやおかしいだろ、普通死ぬだろ、とツッコミたくなる場面が何回もあります。
    そんな信じられない様な苦難を乗り越えてチベットに入国し、慧海さんがその時に見たチベットの実情がありのままに記された、日本の宝とも言うべき本です。
    この本に出会えて良かったです、薦めてくれた友人に感謝です。

  • チベット脱出から帰国後まで。改めて河口 慧海のすごさを思い知ります。ところで、このチベット旅行記は青空文庫でも読めるんですね。私は「紙」派ではありますけど。

  •  
    ── 河口 慧海《チベット旅行記(五)19781010 講談社学術文庫》19781009-19951120
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4061582674
     
    http://d.hatena.ne.jp/adlib/20080310
     かくも長き不在 ~ 49 Years in Tibet ~
     
    (20100227)(20181111)
     

  • 面白かった。2回目の旅行記も読みたい。

  • ついに最終巻。チベット脱出〜帰国まで。無事帰国できました。すごいなぁ。

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