日本都市論 (講談社学術文庫 740)

著者 :
  • 講談社
4.00
  • (1)
  • (1)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 13
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061587403

作品紹介・あらすじ

戦後の都市開発は生産と利便に傾き、都市に対する文化的構想力を喪失していた。本書は、近代が生み出したそのような「計画された都市空間」ではなく、「生きられた都市空間」、たとえば神社や寺の境内、鎮守の森、道、広場等の再発見によって、人々が住みこなし、多様な意味をつけ加えていく「スミカとしての都市」の復権を目ざしたものである。著者のファンタジーに満ちた自由な発想と提言が随所に息づく上田都市論の原点をなす好著。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 1968年6月発行された本で、著者が、都市や国土に関し、主として一般の方々を対象にした評論をまとめたものである。
    目次であるが、以下のとおりである。
    1日本都市論
     1日本の都市を考える
     2「都市と農村」にみる日本的現実
     3まちの再発見
     4日本の都市は遅れているか
     5日本都市論
    Ⅱ空間の論理
     1「資本の論理」をどうこえるか
     2空間の論理
     3新しい生活圏域
     4生活空間の将来像
     5あさっての「未来都市」
    Ⅲ文化財の保存
     1なぜ文化財をほぞんしなければならないのか
     2都市景観の保存と開発
     3京都二千年計画
     4生活空間の設計
    Ⅳ万国博の会場計画
     1計画理念への提言
     2新しい現代への祭りを
     3会場計画のプロセス
     4日銭おわず、名をとれ
    ⅴ日本の土地問題
     1地価抑制論から社会還元論へ
     2政治は土地問題から始まる
     3土地の値上がり文を社会へ
     4土地問題解決への提案
     5「国土基本法」に望む

    となっている。
    ⅠからⅢについては、時代が経ても何ら違和感のない普遍的な視点で述べられていて、原理原則を貫くことの大切さをいつも感じるところである。
    ⅣとⅤについては、その時代の雰囲気が感じられ面白く読むことが出来ました。
    建設省住宅局から京都大学へ転じ、建築学科の学生に「地域計画」を講義されてきたという経歴である。
    資本主義経済、西洋と日本の都市の差異など、人間の生活を大きく俯瞰する態度で論理を展開されていて、時代を経ても、何ら違和感のない著作でした。

全1件中 1 - 1件を表示

著者プロフィール

上田 篤(うえだ・あつし)
建築学者、縄文社会研究会会長、『日本人とすまい』(岩波書店)、『縄文人に学ぶ』(新潮社)、「七〇年大阪万博お祭り広場」(日本建築学会特別賞)など。

「2020年 『建築から見た日本 その歴史と未来』 で使われていた紹介文から引用しています。」

上田篤の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×