- Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061588349
作品紹介・あらすじ
本巻では、巻19の欽明天皇から巻30の持統天皇までの、大和朝廷が中央集権的な律令国家を完成してゆく波乱にみちた時代を描く。聖徳太子の17条憲法や大化改新、白村江の戦い、壬申の乱など歴史上よく知られている出来事が「古事記」と並んで古代史資料の原典ともいうべき本書「日本書紀」に記録性豊かにいきいきと叙述されている。国造りにかけた古代日本人の姿を、明解な現代語訳で鮮かに蘇らせた古代史研究の必携書である。
感想・レビュー・書評
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どうしてこれを読み始めたのか……読み終わってうっかりわからなくなる。
推古天皇あたりからますます政治色が強まって、法律や階位の制定やなんやほんと退屈。しかたない。
欽明天皇の時代にようやく仏教が渡来するわけですね。そのときのやりとりがいかにも日本人らしい。
天皇「西の国から伝わった仏の顔は、端麗の美を備え、まだ見たこともないものである。これを祀るべきかどうか」
(蘇我)稲目宿禰「西の国はみんな礼拝してるのに、日本だけ背いていいんでしょうか」
物部・中臣「天皇がおいでになるのは百八十神(やおよろずの神のことだとおもう)をお祀りするためであります。いまさら仏を拝むとなると、国つ神が怒るのではないでしょうか」
天皇「じゃあいっぺん試しに稲目宿禰に礼拝させてみよ」
まさに日本・伝家の宝刀「折衷」。
さてここから蘇我一族が仏教を政治利用することでどんどんのしあがっていくわけですね。
用明天皇が病気になって弱気になると、「自分は仏・法・僧の三宝に帰依したい」とおっしゃって、やはり物部・中臣は「こんなこと今まで聞いたことない」と大反対。そこで蘇我馬子が「詔ですよ、みなさん。詔です。ご協力しましょうよ!」とこうくるわけですね。
そして推古天皇の時代。聖徳太子が発案した?憲法によって「仏・法・僧」の三宝を敬うように、と明文化される。
「仏教はあらゆる生きものの最後のよりどころ、すべての国の究極のよりどころである。いずれの世、いずれの人でもこの法をあがめないことがあろうか。人ははなはだしく悪いものは少ない。よく教えれば必ず従わせられる。三宝によらなかったら何によってよこしまな心を正そうか。」
うーむ……けっきょく日本人にとって国つ神とはなんだったのか…。
八百万の神といったところで体系的な法をもっていなかったわけだから、拠り所とするにはあまりにも不安定というか、むしろ漠然とした恐怖の対象にすぎなかったんではないか。
しかしだからこそ根源的な信仰の在り方があるような気がしないでもない。
強力な法秩序と論理とをもった仏教は、それこそ混沌とした未開拓地を照らす光だったと思うし、それによって影(国つ神)は隅のほうへ追いやられる。だけど完全に消え去ったわけではないと思う。やっぱり同時に「仏教信じちゃってごめんなさい」みたいな気持ち、ないわけじゃない。
そういう意味で、天皇の仕事が国つ神を祀ることだというのは象徴的なことだなと。天皇が存在しているかぎり、国つ神も存在しつづけるわけで、やはり仏教と国つ神は極限においては妥協し得ないか、あるいはお互いに妥協しつづける他ない。
たぶん日本文化にいうハイブリッドていうのはこの「妥協しつづける」ことなのだろうと思うんだけど。だからどうしてもガッチガチの法秩序や論理に従うってのがいまいち苦手で、「形式だけ」になりがち。にもかかわらずおかあさんの「そんなことしたら、バチあたるよ!」という叱咤にえもいわれぬ恐怖を感じてしまったり……
案外でもやっぱり、この「バチあたるよ!」こそ日本の信仰の根源なのだろうかあ、と思う次第で。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
古代史の基本的な事実関係が知りたくて、まずはこれを買ってみました。一番興味があるのは額田王なのに、なんとこれが一行しかない!天武天皇の最初の子、十市皇女を生んだことだけで、額田も十市も生年不詳とは……出来るだけ、印象を弱くしたかったのがありあり。天武の皇后だった持統女帝で終わる日本書紀は、持統に至る天皇家の正当性を作り上げていく物だったんですね。政敵を葬り去る鮮やかさに脱帽!?
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2017.02―読了
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天皇の系譜。
これも何回か寝落ち(-_-;)
もう一回読みます。
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講談社学術文庫
日本書紀 現代語訳 下巻
天皇の系譜に沿って、国内政治や朝鮮外交を中心に記述。人を中心とした編年体なので 年表みたいな本でなく、生きた人間の歴史や文学性を感じる
その時代ではどういう意味や意図があるの不明だが、何かの予兆として出てくる「三本足の雀」「蛇と犬の相交」「八本足の鹿」の言葉は グロテスクだし、聖徳太子の死について「塩や酢の味さえわからぬほど悲しい」と語る部分は ユーモアも感じる。
日本書紀の編纂を命じた 天武天皇本人のページが一番つまらない。太鼓持ち的な文章で 地味な歴史エピソードばかり。聖徳太子が活躍した推古天皇、大化改新の孝徳天皇の歴史エピソードは華やかで面白い。
朝鮮外交は重要だったようで文章がとても多い。任那日本府は多く記述され、滅亡後も再建する意図を示す記述が繰り返される。新羅とは対立と征伐を繰り返し、百済とは親交しながら 外交を進めている。帰化している人も多く、人の行き来も頻繁なことがわかる
梅原猛氏らの 藤原不比等 記紀制作者説や関裕二氏の藤原鎌足=百済王 豊璋(ホウショウ) 説について、ヒントらしきものは見つからない
推古天皇(初の女帝)と聖徳太子
*推古天皇=額田部皇女
*聖徳太子の摂政〜法興寺落成
*新羅征伐〜任那を守る
*冠位十二階と憲法17条
*遣唐使〜小野妹子
*蘇我馬子〜蘇我は葛城の同族
孝徳天皇
*中大兄皇子が蘇我入鹿を殺害
*古人皇子の謀反
*都を長柄豊埼へ
*大化の改新
*7種13階の冠位
*磐船柵(いわふねのき)を作り、蝦夷に備えた
*皇太子が飛鳥に移る
天智天皇=中大兄皇子
*白村江で官軍敗れる
*百済滅亡
*冠位26階
*近江へ遷都
*藤原鎌足死ぬ→藤原姓与える
*大友皇子が太政大臣に
天武天皇=天智天皇の弟=大海人皇子
*近江軍と開戦、大友皇子が自決
*飛鳥浄御原に都す
*薬師寺の建立
*八色の姓を制定
*大津皇子が謀反をはかる
*神の子孫から現御神へ→日本誕生
持統天皇=女帝、律令国家の完成
*壬申の乱にて大伴皇子 亡くなる
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読みやすくはなっているがなかなか読み進むのが大変。
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読了
面白かったなー
白村江とか、仏教伝来のとこ、排仏と崇仏やら、壬申の乱とか、まんま書いてあるとドキドキするぜ
仁徳天皇と孝徳天皇が素敵
雄略天皇はヤバいけど、武烈天皇は凄まじいマッドネス -
上巻のレビューを参照してください。
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女性天皇の高貴なこと。女性の場合、他に天皇となる人がいないから仕方なく、という奥ゆかしさがあって、そこがいい。
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現代語訳とはいえ読むのにけっこう骨がおれる。
持統天皇の御代までが「日本書紀」には記載されている。
「古事記」の完成からわずか十年弱(このあたりは諸説あるようだが……)しか時期の変わらない記紀。
「日本書紀」は正当な歴史書とはいえ、どこまでが史実なのだろうか。そのようなことも考えてしまうのだが、もっと一般的に内容は知れ渡っているべきかもしれない。
「続日本紀」も読んでみようかと思う。
しかし、なぜ「日本紀」ではなく「日本書紀」なのだろう。