- Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061590526
作品紹介・あらすじ
「近代」は閉塞した。フランス革命の輝やかしい理想にも拘らず、人間の支配=被支配、差別と排除の構造は温存された。理性は頽落し、人間の管理化は進み、地球環境の汚染が昴進する。どう克服できるのか。その哲学は?方法は?近代主義を踏み超える革命的理論装置としての構造主義=ポスト構造主義に着目し、批判的に検討し、真に豊饒な「トランスモダン」の思想への展望を切り拓く知的生産の書。
感想・レビュー・書評
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アルチュセールの理論を軸に、現代思想を読み解くもの。
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構造主義、記号論、ポスト構造主義と展開していった現代思想を、人文科学におけるエピステモロジーの変革とみなす視座を提示して、アルチュセールの思想を中心に、その意義を考察する試み。
主観と客観を実体として区別して立てる近代哲学の二元論を解体して、それらを単なる関係の結節点として捉えなおそうとする試みは、20世紀に入って以降、カッシーラーやホワイトヘッドらによってなされてきた。構造主義もまた、「実体的二元論から関係論へ」という大きな流れを形作る主要な思潮の一つとなっている。ただし著者は、構造主義が「実体的二元論から関係論へ」の展開に与えた最大の貢献は、その認識論的意義を明らかにしたことだと考える。
実体は、それ自体で存立するという規定を受けている。実体論的な世界の見方は、このように規定された「実体」の概念を、世界を見るための準拠点としている。構造主義の革新は、「実体」「主体」「客体」「神」「人間」「起源」「目的」といった諸概念を、複合的な関係のうちに置くことによって、固定された準拠点を持たない脱中心化した思考型を提出したことにある。そこでは、ただ一つの準拠点に還元する操作ではなく、諸概念の移転と転送の操作こそが肝要となるのである。レヴィ=ストロースによれば、「構造とは、要素と要素間の関係から成る全体であって、この関係は、一連の変形過程を通じて不変の特性を保持する」ものとされている。
さて、レヴィ=ストロースがこうした「構造」を見いだした未開社会は、進歩を理念とする近代社会とは異なるとはいえ、固有の運動と循環を持っている。この循環を、社会が生み出した余剰の蕩尽によって説明したのがバタイユである。マルクスの余剰理論は、特定の循環型からのシステムの移行・転化として、資本主義の形成を説明した。アルチュセールの構造主義的マルクス主義は、こうした資本主義システムの「移行」ないし「転化」についての科学的認識のありようにこそ、マルクス経済学批判の意義を見いだしたのである。 -
勝間、藤原、内田、・・・・
今村仁司先生が、アカデミズムを代表するほんの一人であった時代、他にも良きアカデミシャンがいた時代が、とてもお懐かしい。 -
「私たちは、似たもの同士が寄り集まることに安堵の念をおぼえがちですが、そうした同質物のかたまりは必ず精神を堕落させます」p16 プロローグ