産業主義を越えて (講談社学術文庫 1079)

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  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061590793

作品紹介・あらすじ

私たちの20世紀近代文明は、産業主義・民主主義・国民国家の3大原理の上に立つ。しかし、産業主義の対価としての環境問題、民主的福祉社会の高コスト、国民国家主義に必然の破壊的ナショナリズム、といま世界中で「冷戦以後」の深刻な問題が噴出している。目前に迫った21世紀は、流血と飢餓に明け暮れる暗黒の時代ではないのか?人類焦眉の難題に立ち向かうための、新しい政治経済学の試み。

感想・レビュー・書評

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  • - **20世紀を動かしたものは産業主義、民主主義、国民国家であるとした。(p23-25) 20世紀型の産業、大衆的な民主主義、国民国家を基礎とする国際関係である。**
    - 20世紀はマスの時代であった。『マス・プロダクション、マス・トランスポーテーション、マス・コミュニケーションの技術がマス・デモクラシーの促進要因となり、そのマス・デモクラシーは、マス・ナショナリズムの成長をもたらした。20世紀は、多元的で複合的な過程としての「マス」の時代であった。』(p27)
    - 1971年に発表された産構審の中間答申も重化学産業にかわって知識集約産業を育成しなければならないと指摘している(p57)
    - 「情報化社会は、集中化社会なのか、それとも分散化社会なのか」: 集中と分散という2つの傾向は単純な対立関係ではない。相互促進作用をもつ。情報化について『今後の先進社会では、技術的に可能なことをどこまでも追求したいという誘惑をしりぞけて、開発や応用を禁止しなければならないような先端的な領域が拡大するものと予想される(p70)』
    - 「情報化社会は、管理化社会なのか、それとも自由化社会なのか」: 『情報技術の進歩が不可避的に管理社会化を強めると考えるのも、それが自動的に自由社会化を強めると考えるのも、ともに誤りである。(p71)』
    - 『近代の世界体系は国民国家間の関係すなわち国際関係(インターナショナル・リレーションズ)として形成された。(p203)』
    - 1920年代以後の日本のナショナリズムの失敗は①アジアの他の諸国のナショナリズムを軽視し②アメリカの世界政策を誤認した。英米は同じではなかった。アメリカは植民地帝国型の路線をとっていなかった。p228-229
    -日本の課題。歴史の清算など。p253
    -**『社会研究においては、事実となった過去の材料の中から都合のいいものだけを選んで寄せ集め、特定の「法則」の存在を「証明」してみせるというようなことも可能である。「法則」の存在を信ずる図式的な方法で歴史を分析すると、歴史のいろいろな節目に伏在していた別の方向への発展の可能性あるいは別の路線の選択の可能性が見失われ、主体としての人間の役割が消え、一見もっともらしい「必然性」の証明だけが残ってしまうp269』**

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