- Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061593817
作品紹介・あらすじ
大僧正天台座主、歌人、摂関家の生まれという多元的な眼をもつ慈円が、保元の乱以後の「歴史の道理」を見きわめようとした書、『愚管抄』。彼は、世の中の何に関心を持ち、何を歴史と思っていたのか。どのように記述しようとしたのか。鎌倉時代初頭の思想家を通して、歴史を書くことの意味を自らの問題として捉えた著者渾身の書。
感想・レビュー・書評
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蔵書整理で手放すので、再び出会い読む日もあるか
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展示期間終了後の配架場所は、1階 学士力支援図書コーナー 請求記号:210.3//O69
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非常に難解な、歴史思想書である愚管抄を丁寧に読み解いてくれる。
方丈記などの比較もわかりやすい。
実は、後ろのページの解説から読んだほうがわかりやすいかもしれない。 -
世の中や歴史の流れをつぶさに観察していくことで、世界の道理を明らかにしようとした。
眼前の出来事を仮の世界として廃さず、真理の表れだと捉える姿勢は天台宗の流れをくんでいるとも思える。
多様な道理が交錯する中で、次第に大きな強い長い道理を求めていくと、すべてのものが絶対的ではなく流動的で相対性を免れないことに気がつく。そんな中、天皇の系譜だけは神代の時代から変わらず皇室という同じ血(皇胤)から出ているという不変の道理を見つける。
さらに神代の時代に天照大神から天児屋根命に子孫(天皇家)の補佐を頼まれたことが、自身の出自である藤原北家の摂関体制を不変のものとする根拠にもなる。
客観的な叙述に見えるがその背後には慈円の主観がはっきりと浮かび上がる。同時代の歴史書と比較すると面白い。 -
『読書の軌跡』阿部謹也より