志士と官僚 (講談社学術文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061594166

作品紹介・あらすじ

幕末の志士は明治政府「創業」にいかに係わったのか。官僚として新政府の基礎を築きあげた大久保利通。志士的資質から遂に脱しきれなかった西郷隆盛、木戸孝允。そして脱藩の郷士、草莽の志士たちのさまざまな生き方、反乱、暗殺事件…。維新期の混乱の中で形成された「官僚」の本質を斬新な手法で解明し、歴史に新たな視点を加える好著。

感想・レビュー・書評

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  • 2019/10/26読了。

  • 近世国家から近代国家への移行を、「志士」と「官僚」をキーワードに叙述。幕末の「志士」が近代の官僚制と合わずに凋落していくというのが基本的なモチーフ。本書では「志士」を定義したうえで「官僚」との差異を考えるのだが、「官僚」に対して「志士」というのは定義が難しく、141~2頁あたりで説明はされているが「志のある人」「国に尽くす人」という程度の説明で、厳密な定義ではない。というかそもそも定義できないだろう。にもかかわらず「官僚」という定義が厳密化しやすい言葉と対比しているので、本書の印象をやや茫漠なものとしているのかもしれない。そう考えれば、そもそも「官僚」と「志士」は対概念として成立するのか、という気すらしている。

  • 幕末の動乱を駆け抜けた志士。まっすぐな信念はエネルギーとなって、旧弊を倒すに至る。倒した先には輝かしい未来があった…はずだった。夢やぶれた志士は何を見るか。

    前半は「維新官僚」へと脱皮した広沢真臣の事例、後半は戊辰戦争の最中の官軍に準じる草莽の士、「組織」に順応できずに「反政府」側となった志士の姿が描かれています。
    組織を破壊する力と創業、運営する力は別のベクトルなんだなと改めて感じました。

    明治三傑の公私の考察もとても興味深いものでした。

  • 明治維新史の重鎮、佐々木先生による1冊。これだけの内容を文庫で読めるのは非常にありがたい。内容的にはおそらく、明治維新史を専門に勉強しようとしている人は、先行研究の一つとして一読しておくべきものかと思います。大久保大好きっ子の先生ですので大久保のところに愛がこもってるのはご愛嬌(笑)

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著者プロフィール

1940年、秋田県生まれる。1970年、立教大学大学院文学研究科博士課程修了。京都大学教授、奈良大学教授などを歴任。2016年、没。
【主要著書】『大久保利通と明治維新』(歴史文化ライブラリー、吉川弘文館、1998年)、『江戸が東京になった日』(講談社選書メチエ、2001年)、『幕末政治と薩摩藩』(吉川弘文館、2004年)

「2022年 『幕末政治と薩摩藩』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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