- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061595347
感想・レビュー・書評
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植生とは、ある対象地域に生育する植物の集団の状態のこと。所変われば植生も変わる。どこかの当たり前が、ここでは当たり前ではない。視点を広くもって植物について考えてみるための入門書です!(ちいさな帆)
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森林、湿原、水辺、草原のほか、竹林、雑草、人里植物、帰化植物、干拓地など、あらゆる植生について解説されている。教科書的だが、わかりやすく書かれているので勉強になる。
・落葉広葉樹林帯の先駆種は、アカマツ、カラマツ、シラカンバなど。
・アカマツは乾燥しやすい貧栄養の土地で育つ。アカマツ林が広がったのは、人為作用が繰り返された結果(p168)。
・常緑針葉樹林帯の先駆種は、カラマツ、ダケカンバ。
・暖かさ指数は85度以上だが、寒さ指数は-10度以下となる地帯には、イヌブナ、クリ、アカシデ、コナラ、イヌシデ、ムクノキなどの暖温帯落葉樹林がはさまる(p162)。
・高山帯を代表する植生はハイマツ低木林。積雪による庇護が少ない風衝地では、小型低木の高山風衝ヒース(ハイデ)が広がる。
・浅い沼にヨシなどが侵入して植物遺体が堆積すると低層湿原になる。酸性化した貧栄養の土壌に耐えられるミズゴケが成長して丘状に盛り上がったものがブルトで、それが全体が盛り上がったものが高層湿原(尾瀬ケ原、八島ヶ原が代表的)。
・泥炭の堆積速度は1年に1mm。
・地下水位が高い湿地にはハンノキ林やヤチダモ林が形成される。水位の低い湿地の植生はエノキ、クヌギに代わる。
・水辺の水際にはヒメガマやマコモ、河川敷にはヨシ、より高いところにはオギが生育する。ヨシやオギが刈り込まれると、セイタカアワダチソウが侵入する。
・本州の海岸部にはクロマツ林が、北海道の海岸部ではカシワ林が見られる。
・高山帯を除いて、日本の気候はほとんどの場所が森林の成立しうる条件を持っているため、草原の大部分は人為作用によって保たれている。
・関東地方の草原ではススキの中にアズマネザサが混じることが多く、西日本ではネザサが主要でススキやシバが加わる。東北地方を中心とした冷温帯地域ではシバが優占種となる。
・竹林は遷移の途中相であり、人手が加えられなければ落葉広葉樹や照葉樹林の樹種が侵入して移り変わっていく。スギの造林地は竹の生育条件と似ているため、竹が広がることもある。
<追加調査>
ヨシ:イネ科ヨシ属。ヨシズに使われる。
オギ:イネ科ススキ属。草丈は1〜2.5m。ヨシよりは乾燥した場所を好むが、ススキが生えるほど乾燥した場所には生育しない。
茅葺(かやぶき)の茅はススキやチガヤ、ヨシ。藁葺の藁は稲藁、麦藁。
http://www.hirahaku.jp/web_yomimono/tantei/ogkensak.html
http://tamatsubame.txt-nifty.com/news/2004/07/post.html
http://oba-shima.mito-city.com/2011/12/01/shimagaya2/