- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061595460
作品紹介・あらすじ
倒幕、大政奉還、新体制というシナリオまで描出しながら、歴史的転換点に立ち会うことなく、わずか三十三歳で刺客の手に倒れた坂本龍馬。その像はさまざまに伝えられる。民権派やデモクラシーの象徴として、海軍の先駆者として…。しかしはたしてそれらは実像であろうか。御国と皇国、徳川家と天朝など、新旧の価値が交錯する時代の精神を丹念に読み解き、龍馬像の真実に迫る。
感想・レビュー・書評
-
近年の幕末維新史研究で坂本龍馬の株は急速に下落しているようだが(ちなみに対照的に株を上げているのが近藤勇)、本書の原著は1975年刊行で、当時司馬遼太郎『竜馬がゆく』の龍馬像が人口に膾炙し、「先駆者」「自由人」というイメージから歴史学でさえも逃れられなかったことがよくわかる。研究史では1965年刊行の池田敬正『坂本龍馬』(中央公論社)に対する事実上の批判の書として位置付けられるが、本書の著者は元来明治維新史の専門ではなく、幕末の政治過程の理解が大雑把で初歩的な誤りさえ散見され、史実考証という点では先行研究よりむしろ後退している。序章でこれまでの龍馬像が明治以降に政治性を帯びて「構築」されたことを喝破する慧眼がありながら、結局はそこから脱却できないところに時代の制約が刻印されていると言えよう。坂本龍馬の思想や行動に画期性・創造性を認めるタイプの研究では、本書の後にずっと緻密な松浦玲の一連の業績があり、しかも根底から龍馬像の見直しが進んでいる現在、本書の価値は著しく低くなった。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
たまたま大河ドラマの龍馬伝を見る機会があったので、フィクションと史実のバランスを取るために。
-
坂本龍馬論としてはともかく、事実関係の確認には使えない。35年以上前の本なので最新の研究と比較して正確でないのは仕方ないにしても「老中井伊直弼」は無いと思った。
-
2009.9.12
-
初出:1975年
伝記にしては背景描写にかなりページを割いている
まあ読み物としてはいいのではないかと。
目次
移りゆく龍馬像のなかで
幕末の土佐
容堂と勤王党
文久二年・勤王年
海軍への飛翔
薩長同盟
倒幕