龍樹 (講談社学術文庫)

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著者 : 中村元
  • 講談社 (2002年6月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061595484

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龍樹 (講談社学術文庫)の感想・レビュー・書評

  • ナーガールジュナ(龍樹)は、大乗仏教の根幹にある「空」を徹底的に考え、理論化した。でも、こういう宗教の教義に関する議論って、門外漢には、前提となる知識がないと何を議論しているのか、全く分からない。というところを、中村元先生が、相当に分かりやすく、かゆい所に手が届く解説をしてくれる。

    で、「空」とは、なにかというと、冒頭部分で、「大乗仏教は、もろもろの事象が相互依存において成立しているという理論によって、空の観念を基礎づけた。・・・大乗仏教、とくにナーガールジュナを祖とする中観派の哲学者は次のように主張した。ー 何ものも真に実在するものではない。あらゆるものはみかけだけの現象にすぎない。・・・あらゆる事物は他のあらゆる事物により条件づけられておこるのである。したがって空とは、あらゆる事物の依存関係にほかならない」と書いてあって、もうこれだけで、目から鱗が落ちまくる。

    ということで、最初の数ページを読めば、もうそこでナーガールジュナの思想は分かってしまう。では、あとの数百ページ、何が書いてあるかというと、その思想をテクスト自体とさまざまな解釈本のテクスト、そして当時の仏教思想のコンテクストとの関係、さらにはキリスト教などでの論争やラッセルなどの論理哲学との関係において、多層的に読み解いていく訳で、相当に知的にスリリングな読書体験だった。

    仏教の教義の解釈論的なところは、面倒な部分もあるが、中村先生は、文献的な解釈をしっかりと行いつつ、常に本質的な議論に戻っていくので、素人でもなんとかついていける。

    中村先生の、仏教に関する知識の深さと世界的な視野の広さの両立、そしてそれを平易に伝える能力は、本当に希有なものだったと改めて認識。

  • 人類が到達したあらゆる思想の中でも最も奥深いといっても過言ではない偈頌の訳と解説。
    思想詩ともいってよいこの論を理解するための入門書。

  • 龍樹と中論、そして彼の解いた空についての正しき解説書といった
    趣の本。きちんと原典に当たり、わからないことはわからないまま
    提示するという、実に信頼の置ける至極真っ当でぶれない本。

    ただそれゆえに読んでて面白いかどうかはかなり人を選ぶような
    気がしたな。同じ龍樹と中論を扱った本だと前に読んだ仏教の思想
    シリーズの該当巻の方が読み物としては面白かった。

  • [ 内容 ]
    一切は空である。
    あらゆるものは真実には存在せず、見せかけだけの現象にすぎない。
    仏教思想の核心をなす「空」の思想は、千八百年前の知の巨人龍樹により理論化された。
    インド・中国思想に決定的影響を与え、奈良・平安仏教でも「八宗の祖師」と讃えられたその深く透徹した思考が、仏教学・インド哲学の世界的権威の手で、『中論』全文とともに今甦る。

    [ 目次 ]
    1 ナーガールジュナ(龍樹)の生涯(『龍樹菩薩伝』;プトンの伝えるナーガールジュナの生涯;ターラナータの伝えるナーガールジュナの伝記;結語)
    2 ナーガールジュナの思想―『中論』を中心として(大乗仏教の思想;空観はニヒリズムか;論争の相手;空の論理;論争の意義;縁起;空の考察;否定の論理の実践)
    3 ナーガールジュナの著作(『中論』;『大乗についての二十詩句篇』;『大智度論』;『十住毘婆沙論』;『親友への手紙』)
    4 ナーガールジュナ以後(ナーガールジュナの思想の流れ;比較思想からみたナーガールジュナ)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 空は縁起のことであり、ニルバーナとは縁起を悟ることだという主張は理解できた。しかしその主張を裏付ける理屈を正しく理解できたとはいえない。

    まだまだ他人にうまく説明する自信がないなあ。

  • まだ読み終わって居ませんが 最後までしっかり読んで見たい本です。

  • 龍樹(ナーガールジュナ)が唱えたいわゆる「空論」についての解説書。
    龍樹以降の註解書を参照しながら、「空」とは何か、また、何でないかを、ていねいに説明している。龍樹が著した「中論」や、その他の著作も収める。

    とりわけ、あらゆるものごとが実在すると説く「説一切有部(せついっさいうぶ)」への批判は見物。

    一切は「相互依存の関係」(縁起)にあり、「有」でも「無」でもなく、「中道」であり、しかもそう説きながら、そういった定義に執着してはならず、本来は言語化できない「空」の考え方を、否定辞を重ねながら示していく。

    スリリングで、興味深い一書。

  • 頭から「”空"=わけがわからない」と思い込んでいたけれど、
    この本の説明をゆっくり読んでいたら、
    「空」という考え方、ものごとの捉え方は、
    そんなに難しいことじゃないのではないかと思えてくるから不思議だった。

    過去とか未来とか関係なく、悲しみや喜びといった感情すらをも超えて、この世のあらゆるものが繋がっていて、そこに絶対的な本質・中心のようなものはない。
    そんな乱暴な理解でいいのかな。
    宇宙の泡構造のようなイメージ。

  • 仏教学の泰斗・中村元博士による、「中論」および「空」に関する明晰な解説書。
    とにかく明瞭明晰です。難解をもって知られる「中論」が驚くほどの切れ味をもって解体されていきます。「中論」の論理展開は説一切有部への反論を目的の一つとしていることが理解できれば、あとは流れるように読み進めることが出来るかと。
    俗に流れず、あくまで原典にあたりながら「中論」を解説していく業前は卓抜した仏教学者ならではでしょう。
    唯名論との類似性、および差異も興味深いですね。
    頭の中がすっきりと整理される感覚を味わいました。お勧めです。

  • 難解に見えて、実はシンプル?

    空(=非有非無=中道=縁起) ⇔ 不空(=実有)

    ソシュール、ラカンをベースに読むと縁起説はわかりやすかった。

  • 理解できない箇所も多く、再読中。ここで語られる縁起と我々の通常考える縁起には大きな隔たりがあります。
    何故、中論が大乗の祖とされるのか少し理解できた気がします。

  • 佐々井秀嶺、アルベードカル、ダライラマ、ガンディ、ヴァレラ、ロッシュ、オットー、センゲ、ボーム・・・仏教界はもちろん、世界の人たちに影響を与え続ける竜樹(アーリア・ナーガルジュナ)。壮絶な最後をとげた革命家だったとも伝えられる竜樹。いったいどんな人なんだろう? 竜樹から学びたい。

  • 有に対立するのが空なのではなく、無である。
    中観は、主に説一切有部の法有を批判であり、有と無のどちらも否定し、それらは相依関係にあり(縁起に依り成立し)、そのため無自性であり、即ち空であるとする。そのため空は中道であるといわれる。
    中国の天台宗で説かれた仮諦・空諦・中諦という三諦の思想は中観には存在しない。
    ナーガルジュナはさらに空も否定した。

    空の中には何ものも存在しない。しかもあらゆるものがその中から出て来るのである。それは鏡のようなものである。
    実質についていえば、「空」の真の特質は、「何もないこと」であると同時に、存在の充実である。それはあらゆる現象を成立せしめる基底である。

  • 今まで読んだ中でもっとも難解な日本語書籍。

    エッセンスを苫米地氏の書籍や動画から学習していたが、
    それでもほんの一部しか理解できなかった。


    空(くう)とは鏡や水晶のようなもの。空虚があれば空虚を映し出す。

  • 釈迦の入滅700年後、仏教中興の祖・龍樹(ナーガールジュナ)は、
    空(くう)の思想を「中論」により体系的に理論づけた。

    本書は、仏教研究第一人者である中村元さんが「中論」を、
    明快、かつ分かりやすく解説している。


    龍樹は大乗仏教八宗の祖とも呼ばれるが、
    空とは縁起より派生した概念であるため大乗や部派の宗派を超え、
    仏教の根底で共有するべき教えだと、本書を通じ感じた。


    縁起=空=無常=非我

    釈迦の思想の深遠さを本書で味わうのも面白い。

  • 難しいところもありますが、空等も解りやすく、中観の立場もわかりやすく書かれてあります。
    必読書です。

  • 竜樹は大乗仏教の始祖で八宗の祖とも呼ばれているらしい。竜樹は小乗仏教に対して大乗仏教の正当性を主張すべく「中論」を書いた。そして「空(=縁起)」を主張した。つまり、彼の「中論」の大部分は有部(=小乗)に対しての批判(破邪)の書であることになる。そう考えると納得がいく箇所も多いが、そうなると「中論」自身、仏教の「真実」を述べていないのもわかってしまう。有部の論点を批判しているだけで、なんら仏教における「真実」を説明していないからだ。これは縁起論者が特定の意見を持たないことにも影響しているのかもしれない。

    ただ、空の箇所は心に残った。「空(=縁起)」というのは、一般に言われてるように「無」ではない。それではニヒリズムになってしまうし、「色即是空」は全てを否定することに、つまりは仏も否定することにつながってしまう。そうではなくて、空とは無自性性を意味するもので、相互依存によってのみ全て(もの、意識)は存在しているという意味に取らなければならない。その相互依存性、差異を竜樹は全てのものへ広げる。つまり、空でさえも空である(空というものですら絶対的なものではなく、不空との相互依存性にのみ成り立っている)と考える。そして、その結果、空というものを説明することはできない。そして、彼ら(縁起論者)は、特定の意見を持たないというのも、上の空の考え方からわかる。

  • 中村元大先生と仏教史上最大ともいわれる思想家・龍樹の対峙。かなり読み応えがあります。

    ナーガールジュナこと龍樹が説いた、中観思想の中心は「空観」であり、法有の立場をとる説一切有部を痛烈に批判するために、執拗なまでに理論で武装したのかもしれませんね。個人的には、理論で固めるよりも、実践的なものから気づいていけると素晴らしいと思っています。しかしながら中論の内容は言語を超越した凄みがあります。

    ちなみに「中論」項は東京大学の卒業論文だそうです。すごいね。

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一切は空である。あらゆるものは真実には存在せず、見せかけだけの現象にすぎない。仏教思想の核心をなす「空」の思想は、千八百年前の知の巨人龍樹により理論化された。インド・中国思想に決定的影響を与え、奈良・平安仏教でも「八宗の祖師」と讃えられたその深く透徹した思考が、仏教学・インド哲学の世界的権威の手で、『中論』全文とともに今甦る。

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