君主論 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061596894

作品紹介・あらすじ

近代政治学の古典として名高い『君主論』。その著者マキアヴェッリは、都市国家が並び立つルネサンスのイタリアにあって、共和政のフィレンツェ市書記官として活躍。国際政治の荒波のなか、軍事、外交にわたり東奔西走の日々を送った。その豊かな体験を生かして権力の生態を踏まえた統治術として執筆した名著を、政治学の第一人者が全訳し解説する。

感想・レビュー・書評

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  • 西洋版の孫子の兵法でした。
    統治するには人を動かすには軍事とは、とても現代にも役に立つ内容と思いました。

  • 第17章 残酷さと慈悲深さとについて、敬愛されるのと恐れられるのとではどちらがよいか

    p.137 「恐れられることと憎まれないことは、恐れられることと愛されることよりもより容易に両立しうる。このことは君主が市民や臣民の財産と彼らの婦女子に手を出さないならば、必ずや実現されるであろう。」

    第19章 軽蔑と憎悪とを避けるべきである

    p.147 「憎悪を招くのはすでに述べたようになによりも強欲で臣民の財産や婦女子を奪う行為であり、君主はこのような行為を自制しなければならない。」

  • 基礎知識として読む

  • 16世紀の話

  • 君主かくあるべきを、著者の経験から緻密にまとめた書
    翻訳の割に、読みやすい日本語だった

    成功する君主、失敗する君主、それぞれの立ち居振る舞いが事細かに書かれている
    イタリアを中心とした古典であるが、その中身は、現代のビジネスにおけるマネジメントに通じる部分も多い

    その観察眼と表現力と、しかもそれが何百年も前に書かれた書物であることに驚かされると共に、人間の本質はそうそう変わらないのだと考えさせられた

  • 君主のより良い統治方法に関して、兵士、貴族、市民らを性悪説的にみてまとめているのがすごい。疑わしい市民(傭兵、援軍なども含む)を信頼しないことや、敵になり得る外敵を早めに叩くことなどからは、仕事において、協力してくれる人を信頼しすぎないことや、疑わしいことを早めに潰すことの大切さと共通すると思った。

    しかし、知らない歴史的人物が多数出てきて難しく、読みにくかった。

  • 2020/01/31読了

    著者の統治方法の哲学をまとめた本である。

    君主としてどのような統治方法をしていくか、なびきやすい民衆の気持ちをどのようにつかんでいくか、など様々記載があって面白い。
    一人一人の民衆の視点は当然なく、国をどのように守るか、成長させていくかが語られている。
    もう少しマネジメント経験積んだら読み方が変わるかもしれない。

    目次はほかの方から拝借。
    ------------------------------
    献辞 ロレンツォ・デ・メディチ殿下に捧げる
    第1章 支配権の種類とその獲得方法
    第2章 世襲の君主権について
    第3章 複合的君主権について
    第4章 アレクサンドロスによって征服されたダレイオス王国では、アレクサンドロスの死後、その後継者に対して反乱が生じなかったのは何故か
    第5章 征服される以前、固有の法に従って統治されていた都市や君主国をどう支配すべきか
    第6章 事故の武力と能力とで獲得した新しい君主権について
    第7章 他人の武力または幸運によって得た君主権について
    第8章 極悪非道な手段によって君主となった場合について
    第9章 市民の支持によって得た君主権について
    第10章 どのようにすべての支配者の力を測定すべきか
    第11章 教会の支配権について
    第12章 軍隊の種類と傭兵について
    第13章 援軍と自己の軍隊とについて
    第14章 軍事に関する君主の義務について
    第15章 人間、特に君主が称賛され、非難される原因となる事柄について
    第16章 気前良さとけちについて
    第17章 残酷さと慈悲深さとについて、敬愛されるのと恐れられるのとではどちらがよいか
    第18章 君主は信義をどのように守るべきか
    第19章 軽蔑と憎悪とを避けるべきである
    第20章 砦やその他君主が日常的に行う事柄は有益か
    第21章 尊敬を得るためにはどのように行動したらよいか
    第22章 君主の秘書官について
    第23章 追従を避けるにはどうしたらよいか
    第24章 イタリアの君主達はどうして支配権を失ったのか
    第25章 人間世界に対して、運命の持つ力とそれに対決する方法について
    第26章 イタリアを蛮族から開放すべし

  • 狐のような狡猾さと獅子のような獰猛さを以て統治せよ、といったフレーズで議論を巻き起こしたと言われる本。まぁ一つのフレーズが一人歩きして印象を代表してしまうことはこの本に限らずいくつもあるだろうけど、ご多聞に漏れずこれも言うほど過激ではないと思う。表面上穏やかなだけな人を「優しい人」と呼ぶ種類の人間にとっては、過激と捉えられるだろうが。
    全部で20数章にわたって著者が仕える君主に対して上梓する君主足るものこうすべき、といったことが書かれている。様々な事象を持ち出すのはよいことだが、それぞれのケースについて知らないとあまりピンと来ないどころか、どっちが味方だかわからないというようなことにもなって非常に読みづらい。それに、例外のケースも挙げるのはよいが「幸運だったから」と片付けられるのもなんだかなぁ。
    ただ、それぞれの理論についてはなかなか面白かった。個人的にお気に入りなのは23章の良き君主でないと良き助言は得られない、というくだり。なんでも他人のせいにしちゃうような上司に言ってあげたい御言葉でございます。

  • 訳が上手くてとても読みやすかった。

    なんとなく孫子と似ているな、と思う。
    ただ、孫子は主に軍事面から論じており、君主論は統治面から論じている点が違いだと思う。

    当時のイタリアの世相や社会情勢が本からよく伝わってくる。
    孫子はあまり感情的な記述が少なく作者の想いはあまり見えてこない教科書的な内容(これは善し悪しではなく)だけど、君主論は作者の感情面が伝わってきて面白い。
    自分のキャリアから得た経験を客観的かつ冷静に分析している著者マキャベリの頭の良さ、みたいなものがにじみ出てます。

    内容としては、思い当たる節が色々ある。


    【メモ】
    ところが人間は思慮が足りないために、あることを始めるに際して好ましい面があるとそこに潜んでいる毒には気がつかないものである。

    →全くですね。はい…笑

  • 立場によって読み取り方が異なる本。
    世間でいうマキャベリズムとこの本で本当に言おうとしていることは違うと思います。
    君主がどうあるべきかを述べた本であり、君主になるための方法論ではありません。
    エッセンスをビジネス書として読むことができます。

    1.この本を一言で表すと?
    ・超現実的な政治手法

    2.よかった点を3〜5つ
    ・人間は寵愛されるか、抹殺されるか、そのどちらかでなければならない(p38)
      →人間の本質を見抜いている。
    ・すべての国にとって重要な土台となるのは、よい法律とよい武力とである(p105)
      →権力の根源をわすれてはいけないという戒め。
    ・賢明な君主は信義を守るのが自らにとって不都合で約束をした際の根拠が失われたような場合、信義を守ることができないし、守るべきではない。(p142)
      →言い訳はいくらでもある。言い方次第。
    ・君主は愛されるより恐れられる方が安全である。(p136)
      →君主はあくまで権力者ということ。
    ・君主が軽蔑されるのは無節操、軽薄、軟弱、臆病、優柔不断と見られる場合である。君主はあたかも暗礁を警戒するように、このように見られないように用心しなければならない。(p147)
      →軽蔑される⇒権威がなくなる⇒権力なくなる⇒破滅

    2.参考にならなかった所(つっこみ所)
    ・国の維持、権力の維持は何のためにするのか、説明が無いのでは?
    ・国民の幸せという視点が一切ない。

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著者プロフィール

一四六九年生まれ。フィレンツェの政治思想家。少年時代より独学で古典教養を身につける。外交・内政・軍事の官僚政治家となり国内外で活躍、様々な型の君主と身近に接する機会を持つ。政変にともなって追放処分を受け、失意の日々に『君主論』を執筆、没後出版された。危機的状況を踏まえた激しい内容から権謀術数に長けた非道な思想家と呼ばれたが、一九世紀になって、同時代のレオナルド・ダ・ヴィンチ同様人間を冷徹な目で観察し科学的に認識した人物として高く評価される。一五二七年没。 一九二八年(昭和三)、東京都生まれ。京都大学文学部卒。京都大学大学院修了。大阪外国語大学教授を経て同大学名誉教授。主な著書に『伊和中辞典』(共編)、訳書にデッラ・カーサ『ガラテオ』、ペトラルカ『カンツォニエーレ(俗事詩片)』、レオナルド・ダ・ヴィンチ『解剖手稿』(共訳)などがある。

「2018年 『君主論 新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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