戦国期の室町幕府 (講談社学術文庫)

  • 44人登録
  • 3.67評価
    • (3)
    • (2)
    • (7)
    • (0)
    • (0)
  • 2レビュー
著者 : 今谷明
  • 講談社 (2006年6月9日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061597662

戦国期の室町幕府 (講談社学術文庫)の感想・レビュー・書評

  • 戦国三好一族と同じ著者の本です。もともと論文だったものを一般書用にすこし易化させた本のようです。とはいえ元は論文なので、あまり学術方面の検証に興味がない人には難しい本だと思います。(勉強不足ゆえでしょうが、)完全に理解しきれないところが多々ありました。ただ、質は素晴らしく、とても勉強になります。本の主題ですが教科書などで言われている通説の見直しと検証が中核をなしています。幕府の財政・荘園対策、五山・旧仏教寺院掌握権力の勃興と衰退、防衛設備たる「釘貫」についての支配権の推移、三好政権への流れとその機構などが主に述べられている内容です。とくに財政・荘園対策と三好政権関連の章は、通説がいかに検証を加えずに後世に伝えているかを指摘しており、見方が180度変わると同時に読んでいて痛快でもあります。読み口としても非常にリズムある書き方をしているので、文字の詰まり具合の割にはすっきりと読めました。ぜひ手元に置いておいて、調べ物に使いたいと思えるとても素晴らしい本でした。

  • まだ途中。禅宗寺院の外交・財務官僚組織としての役割を論じた前半部分が非常に面白い。
    室町幕府はそれなりにしかりした官僚機構と統治能力があったのではないかという気がする。特に京都周辺の行政権の接収こそが、幕府がグダグダになっても滅ぼされずに200年持った要因になっているのではないか。
    ただ、叙任権闘争や帝国教会政策と、禅宗・旧仏教の対立や朝廷の役割が対比されているのではないか?とも感じた。今谷氏の視点は非常に洞察力があり、アイデアとしても鋭いものを感じるが、時に海外の物差しで日本史を測ってしまっていないか、という危惧の念を抱かせる。そうした議論が煮詰まると、当時は王朝(=現在天皇制と中傷されているもの)は存在しても、国民国家というものはまだ存在しなかった、という現実を覆い隠しってしまうのではないか。天皇簒奪論そのものにこだわるより、そもそもそうした必要性があったのか、あるいは、室町幕府が国家機関ではなく、独立した各地域の利害調整機関なのではないのか。こうした視点からモノを述べていくべきなのかもしれない。

全2件中 1 - 2件を表示

戦国期の室町幕府 (講談社学術文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

戦国期の室町幕府 (講談社学術文庫)はこんな本です

ツイートする