イザベラ・バードの日本紀行 (上) (講談社学術文庫 1871)

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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061598713

作品紹介・あらすじ

一八七八年、横浜に上陸した英国人女性イザベラ・バードは、日本での旅行の皮切りに、欧米人に未踏の内陸ルートによる東京‐函館間の旅を敢行する。苦難に満ちた旅の折々に、彼女は自らの見聞や日本の印象を故国の妹に書き送った。世界を廻った大旅行家の冷徹な眼を通じ、維新後間もない東北・北海道の文化・習俗・自然等を活写した日本北方紀行。

感想・レビュー・書評

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  • 海外からの本帰国に伴う、2週間のホテル隔離中の読書4冊目。
    上巻は東京を出て北上、青森までの道程。作者が可哀想だったのは、梅雨の時期でとにかく雨が多かったこと。その雨の中、馬で峠をこえ、川をわたり、時にはぬかるんだ道や増水した川に手を焼きながら進む。
    一部翻訳のせいもあると思うが、作者のストレートな感想、批判が面白い。結構きつめのdisり笑。最先進国イギリスからやってきて、世界各地を旅してきた作者ならではか。今の日本人が発展途上のアジアの国を訪れたときに、同じような表現をしてしまうだろう、と思うと、腹も立たないし、こういうこと全てが旅の楽しさ。

    作者が旅したのは1878年。今から150年くらい前か。わずか150年で未開の地だった日本は文明化し、いくつかの戦争を経て、高度経済成長、バブル崩壊、失われた○年と、目まぐるしい変化。当時の衛生状態は今から考えられないし、庶民の生活レベルも目も当てられないほど酷かった。
    それでも日本人の気質はやはりいまと通じるものがあり、イギリス人作家の目を通じて驚きや発見がある。

    ああ、10年ぶりに日本に帰国したんだから、早く国内旅行したい。コロナに打ち勝とう!

    下巻は北海道函館からスタート。アイヌとの交流もあるみたい。楽しみ。

  • イザベラバードは、まるで現代人の自分が見ている様な目で、昔の日本を見ているのが感じられ、偏った外国人の日本紀行とは違って素直な気持ちで読めた。いよいよ下巻は北海道へ。ワクワク

  • 明治になって10年ほど経った日本をイギリスの女性が旅をする。この感では東京~新潟~青森、自動車も鉄道もほぼ無くほとんどは「村」泊まるのはほとんど旅籠。ノミやダニが多く空調はなく個室とは名ばかり。通訳兼従僕として一人を雇い移動する。2021年の日本人にはとても無理な気がする。
    訪れた場所で感じたことが妹や友人への私信という形で描かれる。マイナス的な表現がたくさんあるけれど、嫌いとかいやという感情は感じられない。何よりも自然が好きなんだろうなと思う。

  • 明治維新からまもない1878年、英国人女性のイザベラ・バードによる東北地方と北海道の旅。行く先々で、外国人を一度も見たことがない人たちに囲まれ好奇心の目で監視されながら、当時の人びとの暮らしや習慣をかなり細かく克明に記している。「鋤ではなく絵筆で耕された」古き良き日本の美しい風景の描写が印象的。
    日本人の特徴とも言える勤勉さ、慎み深さ、礼儀正しさ、もてなしの心、などは明治初期には既に一般的だったのに対して、清潔さがまったくなかった当時の日本の生活風景には驚き。どこへ行ってもノミやシラミのオンパレードで、夏はハエや蚊の大発生に悩まされていた様子。また、山村に入ると農民はほぼ裸に近い格好で暮らしていたようで、自分が持っていたイメージとはだいぶ違って新しい発見だった。

  • 二週間かかって100ページしか読み進まなかった。挫折。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「これいいね!」を押すのは躊躇われたのですが、、、
      「二週間かかって100ページ」んーーー駄目でしたか。何か代わりを探さなきゃ・・・
      「これいいね!」を押すのは躊躇われたのですが、、、
      「二週間かかって100ページ」んーーー駄目でしたか。何か代わりを探さなきゃ・・・
      2012/04/10
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      新刊
      山本志乃:著「女の旅―幕末維新から明治期の11人」 中公新書
      は、如何でしょうか?
      新刊
      山本志乃:著「女の旅―幕末維新から明治期の11人」 中公新書
      は、如何でしょうか?
      2012/04/18
  • ずっと昔の日本の姿が、外国人旅行家の女性の目線で書き記されている。
    当時の日本という国、そこに生きる人たちに会いにいけたように感じた。
    イザベラ・バードが描写する美しい景色がどんなものであったのか、それを同じように見てみたくて、彼女が訪れた場所に行ってみたくなった。
    もちろん当時と今では全然違った景色ではあろうけれど、当時から残る建造物や森や川、そういった場所に立ち彼女と同じものを見た時に、「歴史」というものを感じられるだろうと思う。
    過去も今も未来も、不変ではないけれどずっと繋がっているんだと。

    これを読んでいる間はなんだかタイムスリップしたような、不思議でワクワクした気分になれた。

  • 江戸から明治の近代に移り行く日本の様子が非常に細かく描写されていることも面白いが、作者なりの日本人観が面白い。

    良いか悪いかは別にして、今の日本人にも当てはまる部分は多い。

    ・信条としての物質主義、宗教に対して無関心、それにも関わらず迷信は信じている。
    ・親切で勤勉だが誠実でも純粋でもない。
    ・日本全体の均質性。気候や植生や方言は違えど、建物や植物の栽培方法は変わらずまた社会を取りまとめている礼儀作法は都会も田舎も同じ。
    ・重大な事を話しているようでどうでも良いことを話しており、むしろ政治や宗教の話しはタブーで、芸術や文化は興味の対象ですらない。

  • 150年前の自分のご先祖さまの厳しい生活ぶりを目の当たりにしたような作品だった。

    暑さ寒さ、自然や病気との戦い、食べ物や着るものにも不自由する暮らし。
    また、この時代に生きる女性がどれだけ虐げられていたか。
    その中でも、日本人の慎み深い生き方や、旅人に対する心遣いが知れて、うれしくなった。
    また、運送会社の前身の描写にも、現代に近いものを感じ、資料としても素晴らしいと思う。
    今を生きられることに感謝。

    金谷ホテルにもぜひ行ってみたい。

  • 明治の初めに東京から北海道を旅したイギリス人女性イザベラバードの旅行記。上巻は日光、新潟、山形、秋田、青森まで。通訳に伊藤という若者を雇い人力車を使って北へ向かう。三谷幸喜ナビゲートのFMを聴いてから無性に読みたかった。我々は150年前の日本を知らない。我々の思考は寧ろイザベラに近い。これを読むと日本人ではなくイザベラの視点から当時の日本を知ることができる。西洋人の彼女から見た日本人の短所と長所、今の我々も知らない日本文化の特徴。いちいち面白いので意外と一気に上巻終了。

  • 明治の初期、まだ江戸の名残が残る日本を旅した英国人女性の旅行記。大変な観察眼だ。そして詳細な記録。現代に生きる私は、まさしくこの英国人の眼で百年以上前の日本を旅するのだ。

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