- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061598744
作品紹介・あらすじ
中世ヨーロッパ全人口の九割以上は農村に生きた。村で働き、結婚し、エールを飲み、あるいは罪を犯し、教会へ行き、子をなし、病気になり、死んでいった。舞台は十三世紀後半イングランドの農村、エルトン。飢饉や黒死病、修道院解散や囲い込みに苦しみながら、村という共同体にあって、人々はいかに生き抜いたか。文字記録と考古学的発見から生き生きと描き出す。
感想・レビュー・書評
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非常に精密に中世の様子が解説されている。
日本の世界史では学ばない内容も前提知識のように扱われている感じがあるので、より深く理解したい場合は別途知識を補完する必要があるように感じた。また、当時の記録を元にしているため不明確な点も多々ある。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
主に裁判記録、会計記録などからイングランドの中世12 世紀の農村の暮らしを描き出している。推察を述べることもあるが、それが概して権力者寄りの視点が多いことが気にかかる。領主はそれなりに公正な判断をした。など。
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訳:青島淑子
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新書文庫
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教科書通りの歴史を追っていると見失いがちだが、中世中期、ヨーロッパ人口の9割以上は農村に住んでいた。本書は11世紀から13世紀ごろの開放耕地制農業時代におけるイギリス農村の生活を語る一冊。といっても小説で読めるようなドラマや意外な驚きに満ちたエピソードがあるわけではなく、作物、食事、農具、義務、権利、裁判などなど実際的な内容が淡々と続く。興味を持って読むなら楽しめるが、データを後から参照しにくいので役立てるには使いにくい。
用法は限られるが悪い本ではないので、タイトルに惹かれるところがある人にだけオススメ。 -
かなり細かく一つの村を取り上げて述べている。
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内容はタイトルどおり。エルトンというイギリスの農村が例に挙げられ当時の様子が語られる。もっと学術的なものを期待していたのだが『デカメロン』の物語性をやや薄くした程度という印象。名前と数量の羅列、同事項の繰り返しが続くのにはやや退屈させられる。
厚めの本ではあるが内容はそれほど濃いものではなかった。
中世を象徴するともいえる荘園制度。封建制度と呼ばれる当時の政治・軍事体制にぴったりかなったものだった。
荘園が生活にどの程度の意味を持っていたかは、その人が自由民か、農奴かによってことなる。
こうしてできていった村は13世紀になると教区と一致し、世俗の共同体であると同時に、信仰上の共同体ともなっていった。
中世に起源がある人名や地名を現代に見れるのはとても興味深い。苗字は13世紀の終わる頃登場したという。
例えばDarlingtonさんでは「ing」は臣下や親類であることをあらわし「ton」は囲い地をあらわした。こうして遥か昔にある自分のルーツにたどり着けるのだ。
絞首刑は被害者本人が執行しなくてはいけない。
など、昔らしい習慣も多々あるが、著者も強調しているように、当時の人々は現代の私たちと変わらない人間だったということがよく読める。 -
生活の様子が詳細に書かれていて想像力を掻き立てられる。当時の記録を羅列してる箇所が多い点だけちょっと気になる。
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中世ヨーロッパ史三部作(農村・都市・城)って感じで、
本屋さんで手に入り易くて良い本です。
12,3世紀ぐらいのイギリス農村の生活が良く分かります。
(何をするにも徴税なんだなぁ、みたいな)
ホントは中世フランスの農村の生活が読みたかったんですけど、
でも、中世ヨーロッパならどこもこんな感じなのかも(大雑把orz
小説で修道士カドフェルシリーズってありますが、
あの世界なんだなぁとしみじみ。
2010/3/26読了