山の神 易・五行と日本の原始蛇信仰 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061598874

作品紹介・あらすじ

蛇と猪。なぜ山の神はふたつの異なる神格を持つのか?日本古来の社の祭神の起源は、祖霊としての蛇神であった。六〜七世紀、中国から将来された易・五行による新な神々が、原始蛇信仰の神々と混淆し、山の神は複雑な相貌をもつようになる。神島の「ゲーターサイ」、熊野・八木山の「笑い祭り」、御田神社の「烏喰神事」などの祭りや習俗を渉猟し、山の神にこめられた意味を読み解く。

感想・レビュー・書評

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  • 案山子についての考察が面白い。

  • 吟味なしにいきなり所与の前提から出発したり、筋だった説明や論拠・出典なしに断定的結論に至る部分があまりにも多い。

    第一章はもはや日本民族は蛇一神教を信仰していると述べているのに近い。蛇は神の一種というわけではなくて、あらゆる神秘的・呪術的な物事は蛇である、蛇であるからして山の神でありその他諸々の神であるといったふうである。

    第二章・第三章での陰陽五行説を切り口とした議論は興味深い。しかし、和製用語である「陰陽五行説」をなんの説明もなく用いて古代中国の文献と結びつけて議論を展開したり、先行研究・フィールドワーク資料から伺える山の神と兎・狼・烏の関係を十分に吟味することなく脇役的存在と断定したりしてしまっている。兎は繁殖力の象徴とされる動物であり、狼は害獣となる鹿や猪を捕食する動物であり、烏は害鳥となる雀などを捕食する動物であることなどが全く議論にはのぼっていない。

    結論では、山の神を陰陽五行説導入前後に分け、以前のものを蛇・祖霊神、以降のものを亥・陰陽五行説を利用した呪術的性格として、本書冒頭のステートメントに戻る。

    陰陽五行説という切り口は面白いが、仮にも学術的な文章のまとまりとしてはあまり評価できないように思う。面白半分で色んな習俗があるのだな、くらいの気持ちで読むのがちょうどいいと思う。

  • 一回目
    まあ普通

  • 日本の神の本質を、その祭や祀り方から考察していった本。面白かったー! 箒がハハキ=蛇神の見立てである、とか矢も蛇神の見立てであるとか、古来の神は蛇で、山も蛇の形に似ているから神と思われた、という説や、五世紀以降陰陽五行の影響で、五行の木剋金の原理を元にした田のマツリなどを二月と十一月に行う考察など、「私見ながら」とその主張は控えめだけど、私は大いにその通りだと思いました。

  • 序章
    蛇と山の神
    亥と山の神
    山の神祭りとその周辺

    著者:吉野裕子(1916-2008、東京都、民俗学)

  • 五行説が来る以前、秋津島の山をうしはくのは蛇神であり、後、干支の輸入と受容により、ディジタルな概念で、十二番目の生き物である猪が当てられた旨を推理する。
    五行説のテキストになるのは著者の他の本と同じ。

  • 民俗学は詳しくないけども何かトンデモ本っぽい印象。実際のところは知らない。
    でも前半(蛇信仰)についての部分は読み物として結構面白かった。
    後半は五行説と易学のごり押しだったので飽きた。

  • 日本における山に対する信仰を、祖霊(蛇)の面と易の面から解いていく。
    易のウェイトが大きいので理論的ではあるが、神事や村の祭りなども
    すべて易学で説明するのには多少偏りがある感じが否めないかなと思いました。

  • ひさしぶりに、何で手に取ったのかわからない本として積読み中(放置)
    まだ読んでもないから、内容がどうこうじゃないけれど。

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著者プロフィール

吉野 裕子(よしの・ひろこ) 1916年東京に生まれる。1934年女子学習院、1954年津田塾大学、各卒。 1975~87年学習院女子短期大学非常勤講師。 1977年『陰陽五行思想からみた日本の祭』によって東京教育大学から文学博士の学位を授与される。 2008年没。 著書:『扇』(初刊1970年、再刊1984年、人文書院)、『隠された神々』(初刊1975年、再刊1992年、人文書院)、『陰陽五行思想からみた日本の祭』( 初刊1978年 再刊2000年、人文書院)、『五行循環』(人文書院、1992年)『十二支』(人文書院、1994年)、『ダルマの民俗学』(岩波新書、1995年)、『陰陽五行と日本の天皇』(人文書院、1998年) 、『易・五行と源氏の世界』(人文書院、1999年)、『古代日本の女性天皇』(人文書院 2005年)『吉野裕子全集』(全12巻、人文書院、2007~2008)など。

「2021年 『十二支 新版 易・五行と日本の民俗』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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