姑獲鳥の夏 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061817982

感想・レビュー・書評

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  • <京極夏彦>の本はとても魅力的で面白いということは、何となく知っていた。
    本好きの友人たちは、新刊がでるのを心待ちにしていたし、分厚い本を持ち歩いて時間を惜しんで読んでいたから。
    でも、その厚さ故、本を読みなれていない私としては、なかなかチャレンジできなかった。
    しかし、電車の中でほんの少し読み始めてみたら・・・グイグイとその世界に引き込まれ、わくわく感でいっぱいになった。

    本を貸してくれた友人に「理屈っぽいよ」とか「漢字が多いよ」とか言われたけど、その理屈は話の展開上必要なものであるし、漢字はふりがなが降ってあったりするのでそれほど気にならなかった。
    そして、その理屈っぽい話がとても魅力的なのだ。

    そして何より登場人物がそれぞれ個性的で魅力的だった。
    沢山の人物が登場してくると、わけがわからなくなり、少し前のページに戻ることもしばしばある私だけれど、この本に関しては一度もなかった。
    それは、最初の登場でその人の人物像がしっかりと想像できるし、一度でインプットできてしまうからだ。

    さて、話の内容につてだが、それは映画を見ていたので大方わかっていた。
    しかし、読み終えたとき、「なるほど、そういうことだったのか」と謎が解けた思いだった。
    映画でわかったつもりでいたことが、まやかしであったかのような気にさえなった。

    映画もとても面白かったので、やはりその役者さんたちを思い浮かべながらストーリーを追っていったところはある。
    そのせいか、あっという間に読破。
    最初はこんな分厚い本読めるのか?
    文字が小さくてページは二段になってる~
    などなど、最初の不安は取り越し苦労。

    今はただ、早く次の作品を読みたい。

  • あー小説を読んだ!それが感想第一だ。
    死生観や宗教の哲学までもが語られ、しかも例えが分かりやすい。去年読んだ「死とは何か」よりよほどわかりやすい。京極堂と言う強烈なヒーローに心底惚れた。
    ミステリーから後半のホラーは凄まじく、前半の長々しいくだりが嘘のように、気がつけば残りわずかと言うところでまた語りが入り急停止。と油断したところに急転直下の結末に全てが繋がった!
    姑獲鳥とはすごい題材を使ったものだと初の京極氏の小説の虜となった。

  • 何度読んでも魅了される。
    シリーズ通じて好きになれない関口が、特にこの本では許せないのだけど、それでも時間が空くと読みたくなってしまう。
    ただ、いつもラストに少し物足りなさを感じる。
    物語は終わっても、関口が消化し切れていないからだろう、次作と併せて本当の一作品、という気がする。

  • レンガのように厚いことで有名な作家さんの分厚くないデビュー作。
    とても饒舌に喋る京極堂の蘊蓄はどうぞ頑張って読んでね。としか言えないですが、ここをきちんと抑えると物語の見え方が変わる。前提知識が特殊事象と思うからこその構成だなあと思います。読んだところで、ラスト付近まで関口くんのように植え付けられた知識で謎が深まるばかりですが。
    最後に出てくる京極堂の憑き物落としをじっくりと味わえるこの作品が気に入れば、この作家さんとの相性はいいんだろうなあ。

  • とても面白かった。半分読んでもまだ結末全然分からない、こんな本ひさしぶりだった。怪奇的な事柄を理路整然と説明する京極堂、終始翻弄されてる関口君、トリッキーな色男の榎木津など、キャラみんな良かった。
    文章力高い。構成も素晴らしい。京極先生頭いい。

  • 初読は95年。戦後昭和のレトロな時代設定とか、廃病院とか、引きこもり気味の作家(語り手)と神主で古本屋で憑き物落としとか、美形の探偵と無骨な刑事とか、夥しい古書や目眩を誘う坂とかダチュラとか、そういったディテールにすっかり心を奪われてしまって、トリックなんかは正直どうでも良くなってしまった。

  • 初めて読んだ京極夏彦。
    発売から二年ほど経った夏。
    友人とやってきた書店で「面白い本ない?」と聞いたら「これ、面白いよ!」と勧められて購入したのがこの本だった。姑獲鳥から鉄鼠まで四冊購入。「読み始めたら眠れなくなるよ」と言われて、そんなに面白いのか…と思っていましたが、本当に眠れなくなる夜を過ごしました。
    とっても読み辛いし、とっても難しいし、一回だけじゃ理解できない。これってどういうこと?って思うことしばしば。だけど、読み進めるスピードを抑えることができない。
    魅力的な登場人物。
    マニアック。内容も登場人物もそんな人たちが多い中、唯一登場する『普通の人、どこにでもいるような普通の男、関口巽』が非常に良い味を出している。
    螺旋状に渦巻き、張り巡らされる糸のように四方八方に広がった『難解な事件の謎』と『膨大な証拠』が一つになった時、鳥肌が立ちました。

    サスペンスドラマでやるようなミステリーでは決してなく、非常にマニアックで陰湿。個人的には『魍魎の匣』が、京極さんの小説の中でダントツ大好きですが、「好きな作家は?」と聞かれて一番に「京極夏彦」と答えるきっかけになった本です。

  • この世に不思議なことなどなにひとつなく――京極夏彦の文章に、無駄な記述などなにひとつないのだよ……。

    冒頭の薀蓄を「長いなぁ…」と思いながらも一応、読んでいたのだけれど、そこを読んでいなかったら解決を読んだ後、また冒頭に戻って読み直さなくてはならないところだった。

    ただ、長いなぁ…と思ったのは、この話だけで、次の巻以降どんどんそのあたりが自然な流れで語られるようになってくるので、ぐんぐん京極ワールドに引きずり込まれてゆきます。

  • すごく長いけれど、読みだしたら止まらないほど面白かったです。
    京極堂の話が専門的で長いのが少し苦痛だったけれど、登場人物も個性豊かで大好きです。
    これがデビュー作だなんて信じられないほど素晴らしい作品ですね。
    はまってしまいました。シリーズ全部読みたいです。

  • 怪奇という幻想を見事に顕現させた作品。人が過去に見てきた怪奇の根元を暴いていく展開には息を呑んでページをめくりつづける他なかった。

著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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