絡新婦の理 (講談社ノベルス)

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著者 : 京極夏彦
  • 講談社 (1996年11月5日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (830ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061819320

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絡新婦の理 (講談社ノベルス)の感想・レビュー・書評

  •  上手いタイトルだよなぁ、と思いました。
     蜘蛛の巣というのは、縦糸が中心から放射線状に広がっているのに対し、横糸は一本だけで、渦巻き状になっているそうです。
     で、この物語では、刑事の木場修がその蜘蛛の巣の横糸を辿るように、少しずつ真相に迫っていきます。

     と、ここからちょっと面倒くさい話になります。

     後で気づいたんですが、作者の作品の構造自体が基本的にコレなんですよね。
     そして、この作り方に似ているのが、『モンスター』や『20世紀少年』での浦沢直樹さんだったりします。

     これ、又聞きで申し訳ないんですが、以前、島本和彦さんが浦沢直樹さんのマンガを分析したことがあるそうで、そこで以下のようなことを話されていたそうです。

     普通のマンガというのは、一つの話がだんだん盛り上がり、クライマックスを迎えるとクールダウンします。一度リセットされて、また次盛り上げていかなければならない。グラフで言うと、横軸を物語の進行、縦軸を盛り上がりと取ると、ちょうど富士山のような形になるわけです。二次曲線で盛り上がって、クライマックスからまた二次曲線で下がるわけです。

     このオーソドックスなやり方の欠点は、一度クールダウンしてまた新たに盛り上げなければいけないので、どうしても「下がる」ときが発生してしまいます。

     しかし、浦沢さんの話の組み立て方は違います。浦沢さんは、例えばA・B・C3つの話があるとすると、まずAを描き始めます。そして、ある程度の所まで来たら(便宜上、1から3くらいまで盛り上がってきたとします)、そこでいきなりAの話をぶつんと切っちゃいます。で、今度はBという話を始める。これがまた3くらいまで盛り上がってきたら、突然ぶった切って、今度はCを1から始める。で、Cが3くらいまで来たら、今度はAの話を2か2.5くらいから再び始めるわけです。
     こうやって3つの話を交互に繰り返しながら少しずつ進めていく中で、一つの大きな物語を浮き彫りにしていくわけです。

     このやり方の上手いところは、A・B・Cを回すことで、全てが盛り上がり続けており、クールダウンする瞬間がないのです。つまり、ずっと盛り上がっているように見せることができる。

     …と、ここまでが伝聞です(ちょっと私の整理も入ってるかもしれません)。

     京極堂シリーズの話も3つか4つくらいの話がコロコロ入れ替わりますよね。構造としては浦沢作品と同じなんだと思います。それこそ、複数の話を先に書いておいてそれらをそれぞれ4つのブロックに切り分け、A1・B1・C1・A2・B2・C2…と配列し直しているかのようです。
     このやり方って、また比喩的になりますが、デッサンの線を引くようなモノのだと思います。鉛筆の線を何本も重ねて描いていく中で輪郭を見せていくように、複数の短い線のような物語の断片を重ねることで、一つの大きな物語を見せていくわけです。

     だけど、このやり方には欠点もあります。どうしても反復が多くなってダレやすくなるのと、途中で何となくオチが見えてくるのです。
     正直に言いまして、本作くらいから京極堂シリーズの話は繰り返しがくどく感じられるようになってきました。同じ事を延々と読まされ、読んでいて「もうちょっと編集がハサミ入れてまとめろよ」と思うことがありました。
    (ちなみに、浦沢さんの『モンスター』や『20世紀少年』も途中からそういう印象を受けました。何というか、もったいつけられているというか、引き延ばしをされているみたいに感じちゃうんです)

     話としては面白いんですが、それ以上に冗長を感じるようになってきて、その冗長が構造と密接に関わってるのかな? と思った作品です。

     何だかオススメしにくくなっちゃいましたが、話は... 続きを読む

  • 今回の百鬼夜行シリーズ、絡新婦の理は四人の美女を中心に据え、二つのストーリーが交錯する。
    前作までとの違いは、冒頭がエピローグとなっており読み終わった後に最初の冒頭を読み返さないと気が済まなくなる。
    いくつか考察しないと理解が難しい箇所もあり、その点もあいまって面白い作品となっている。
    ただし、読了後は悲しさも出る作品でもあり哀愁感を漂わせることは必至。
    尚、この作品を読んでシリーズ性を垣間見たが、今回は1作目もある程度リンクしてくる。内容を忘れないようにするのが難しい(笑)

  • 百鬼夜行シリーズ5作目。
    分厚かった~~~!2つの事件が少しずつリンクしていて、とにかくややこしい。そしてその上にさらに黒幕が…!となると完全に脳のキャパを超えました。ひとつひとつの事件は一応理解したつもりだけど、全体図を見るとこんがらがってきて、黒幕の犯行動機や仕組んだ筋書きと各事件とがどうリンクしてそうなったのか、という整理が自分の中でつけられず、ぐちゃぐちゃと複雑に絡み合った事件の表面をすいーっと撫でた程度しか理解が及ばなかった。これは要再読。京極読んだ後は毎回言ってるけど要再読。
    今回はいつにもまして前作までの事件の登場人物が複数絡んできて、碧を見てなんとなく魍魎のあの子のことを思い出してたら名前が出てきてちょっと嬉しかった。一通りノベルス版で読んだら今度は分冊で読んでみようかな。
    エピローグからプロローグに戻る部分の情景が美しくて印象的でした。

  • 今回は、最初の中禅寺と犯人のやり取りを、主要人物が出揃ったところで消去法で振り返ると、その時点で真犯人が分かってしまう。ただ犯人が分かっていても事件の真相は分からない。どんどん死んでいくし、憑き物落としの時には意外な事実が明らかになる。黒魔術、少女売春、慰安婦問題など女性に纏わる話題が多く取り上げられている。女の敵は女、という言葉を思い出すが、実行犯は意外な・・・。文句無しに面白いけど、長いです。

  • エピローグまで読んだ後、プロローグに戻ったとき・・・鳥肌が立ちました。忘れられない1冊です。

  • レギュラ-メンバ-総出演。超絶の第五弾!巷に横行する殺人鬼「目潰し魔」を捜索する刑事、木場修太郎は、かつての知人が事件に関係しているらしい事を知る。併発する事件の中心に存在している人物とは。

    「私の情夫だから」、これは男にとって女に言われる最上の言葉だが、大概の男は、一生に一度もこの台詞を聞くことは無い。何故なら、この台詞を吐き出す女こそ、性悪な女だからだ。そして性悪女の美しさを、大概の人は知らない。彼女達が、どれほど恠しい女なのか。この作品は、それを教えてくれる。―『絡新婦の理』には、主題はあるがメロディーはない。登場人物は、全てパートであり、それらが実に巧みにアンサンブルしている。

  • 最初のプロローグだと思っていた部分がまさかラストと繋がるとは!!!
    毎回ほどこされている仕掛けに見事気持ちよく踊らされます
    作者の手のひらで転がされている感がこんなに心地よいのは
    京極先生の手腕ですね・・・!見事としか言いようがない!

    そして二つの事件の交わり方の絶妙具合。
    クモの糸の縦と横が交わる感じ!いやあスゴイです
    個人的に碧さんの
    「よくってよ!」という時代掛かったお嬢様喋りが心の琴線に触れましたw
    亡くなってしまうのが惜しい人ナンバー1です(この作品で)
    超絶中2病炸裂してくれている所も愛しかったです
    キャラといえば京極作品を読むにつれ榎木津さんへの愛が
    深まるのはどうしたことか・・・

    これを読んだ時はちょっと数ページ読もうと思っていたはずなのに
    気が付いたら最後まで読んでいて翌日フラフラになりました

  • やばいっ!!面白かった~
    「姑獲鳥の夏」から「魍魎の匣」「狂骨の夢」「鉄鼠の檻」と京極夏彦、「百鬼夜行シリーズ」を、順を追って読み進めてきた。
    毎回、驚きと感動と達成感の様なものを得てきたが、「絡新婦の理」でなぜか何かを落とされたような気持になった。そう、憑き物が落ちたという感じ。すっきりしたのだ。

    「あなたが・・・蜘蛛だったのですね」
    冒頭の、漆黒の男、京極堂こと中禅寺秋彦と桜色の女、絡新婦とのやりとりのシーンで既に胸が高鳴った。ドキドキというのかワクワクというのか、ゾクゾクというのか・・・
    そしてそれは、ラストまで裏切られることはなかった。
    全てを読み終えた直後、再度その冒頭のシーンを読み返した。
    満開の桜の木々のもとで繰り広げられる漆黒の男と桜色の女の言葉達は、艶やかな意味を持ち深く深く胸に響き渡る。

    昨夜読み終えたばかりなのに、すぐにもう一度読み返したい気持ちにもなる。。。

  • すごい!これは本当にすごい!!!
    最高傑作です。

    すごくおすすめですが、シリーズ最初から読んでこその面白さもあるので、シリーズの最初から是非読んでほしい!

    今回の京極のウンチクは非常に興味深かった。事実なのだろうか??

  •  今回は、まぁ見事です。
     ☆5のレビューは久しぶりですわ。

     眼潰し魔無差別殺人事件
     女子学園黒魔術事件
     貴族の館事件


     その全てが、別の糸から始まりながら、
     少しずつ繋がりを見せつつ、
     さらに女性解放運動やら色々な事件がさらなる絡まりを見せ、
     最後には蜘蛛の巣の中心「蜘蛛」へと向かって行きます。 
     
     「あなたが蜘蛛だったのですね」
     
     へ向かう物語の結末は見事としか例えようが無い。
     

     今までの登場人物がわんさか出てくるわ、新キャラが多いわが、一番の難点で、
     正直名前をあまり覚えられない私からすると、登場人物表が欲しいです。
     そこは、自分で登場人物をメモして栞がわりにでも使って下さい。 
     
     ラストへ向かうくだりは秀逸ですが、
     それ故に、最後の解説がいらなくなります。
     全部答えは途中に書いてあるから。 
     この意味は読んで確かめて欲しいのですが。

     本気で二周目を読みたくなりますが、
     長いのでやっぱり読まない。

     京極堂シリーズの中でも人気があるのが分かる作品です。

  • 京極ワールドでの一番のお気に入りの本です。この本で、木場刑事に惚れました。

  • 京極夏彦すげーの書いたなー
    こりゃ『姑獲鳥の夏』から読み返さなくっちゃだな
    5冊の中では一番好き
    寝不足注意
    毎晩寝落ちするまで読んじゃうから
    変な夢みる

  • 170109読了。
    数年ぶりの再読。
    京極堂では、これが一番綺麗にハマっている。

  • もう一度、熟読しないと、なんて書いていいかわからない~。

    哀しい女性たちがたくさん出てきた。

  • 京極堂シリーズは、読み始めた以上はとにかくここまでは頑張って読んでくださいとおすすめしています。

  • ここまで人を思い通りに動かせるものなのか。
    動かされた側に動かされたという意識はなく、真犯人の望んだ結果だけが残り、ゾッとした。
    http://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/14077889.html

  • 次の展開が気になりすぎて、気づけば朝……
    寝不足になりました。
    あと、本が重たくて腕が筋肉痛になりました。

  • 一つ言えるのは、房総半島でそんなお嬢様学校があるわけ…なのですが、舞台なのは嬉しい。「貝の穴に~」の舞台付近、って感じでよいのでしょうか。
    あと、割と草迷宮的作りだったんだ、?という気付き。
    あぁもう最後一気読みのために寝不足ですよ。

  • 並行する連続殺人事件、迷走する警察、妖しい噂の蔓延る閉鎖的な学院、オカルト、女系の旧家...
    てんこ盛りな要素で登場人物と読者をさんざん混乱させた後、情報を整理し鮮やかに解体して見せることで事件を提示して見せる手並みはさすが。
    派手なミスリードで蜘蛛の正体を誤解させたまま、終章で静かに対決し幕を降ろすのも緩急があって素敵だなあ。

    メモ程度に。

    葵の述懐にもあったように、織作の四姉妹全員が自分の居場所を作ろうともがいていた。だからどこか痛々しさを感じてしまうのかな。
    美由紀の芯の強さと聡明さはとても好感が持てる。美由紀の人気を改めて確認。幸せになってほしい。
    京極堂がひどく感情的になっている場面が印象的。蜘蛛の仕掛けには逆らえないし、関わる以上は京極堂も駒となってしまう。
    禅の話に比べたら女権拡張とかキリスト教における悪魔の話のほうがわかりやすい。禅と比べたら(理解できる訳ではない)。
    目、視線というのは人が人を傷つけるときに最も忌避するものであるというから、そこをピンポイントでズブズブいく目潰し魔はやっぱり怖い。
    増岡や降旗の再登場、懐かしい名前への言及などは嬉しいよね。

  • 我楽多 がらくた

    829

    香川で台風やりすごすためにぶっこで手に入れて、デパートでひたすら読んでた。
    おんな、というのは難しい立場になぜかいて、それは歴史的にそうなってきてしまってるんだろうけど、でもシンプルなことなはずなのにどうして難しくなっちゃってるんだろう?

    京極夏彦こんなに面白いとは!知的!

  • 前作の鉄鼠で後半4〜500ページ一気読みしてしまい、かなり体力削られたので今回はゆっくり読む!と心に決めていたのにやっぱり後半一気読みしてしまいました…(笑)
    まる一日過ぎてもまだ背中のゾクゾクがおさまりません。
    冒頭から引き込まれ、前半途中挫けそうになりながらも読み進め、真ん中に差し掛かるともう止まりませんでした。
    後半は翌日廃人になる覚悟で休日前に読むほうがいいかと思います。
    余韻にひたりながらプロローグを読み直し、また読み進めてしまい……。無限ループになりそうで怖いです。まさに蜘蛛の巣に絡めとられたような感覚に陥ります。
    時系列に5作読みましたが、この話が一番好きかもしれません。

  • 犯人は百鬼夜行シリーズにおいて、最大の難敵だったと思う。
    それだけで最高峰。

  • 再読だけど、読了日の登録がなかったので、
    新規で登録し直し。

    15年振りくらいの再読だが、とにかく面白い。
    辞書並みの分厚さだけど一気に読んでしまった。
    今回もキリスト教やユダヤ教、悪魔崇拝、
    心理学、性風俗に関する事柄など盛り沢山。
    読んでるはずなのに、再度勉強させてもらいました。

    これだけの錯綜した事件を破綻させることなく
    描ききっている作者の力量に改めて感嘆。
    蜘蛛こと織作茜に関しては、
    続く「塗仏の宴」でも描かれていたはずだけど、
    そこでもう少し掘り下げられてたかな?
    あまり間隔をあけないで、そちらも再読しましょう。

  • 再読。
    その後の続巻も読んだ上でやはりこれが一番好きです。
    初めて読んだとき鳥肌が立って、しばらく呆然といていたことを思い出します。

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絡新婦の理 (講談社ノベルス)の作品紹介

「私の情夫だから」、これは男にとって女に言われる最上の言葉だが、大概の男は、一生に一度もこの台詞を聞くことは無い。何故なら、この台詞を吐き出す女こそ、性悪な女だからだ。そして性悪女の美しさを、大概の人は知らない。彼女達が、どれほど恠しい女なのか。この作品は、それを教えてくれる。-『絡新婦の理』には、主題はあるがメロディーはない。登場人物は、全てパートであり、それらが実に巧みにアンサンブルしている。

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