今はもうない (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
3.52
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本棚登録 : 1489
感想 : 128
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  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061820166

作品紹介・あらすじ

電話の通じなくなった嵐の別荘地で起きた密室殺人。二つの隣り合わせの密室で、別々に死んでいた双子のごとき美人姉妹。そこでは死者に捧げるがごとく映画が上映され続けていた。そして、二人の手帳の同じ日付には謎の「PP」という記号が。名画のごとき情景の中で展開される森ミステリィのアクロバット。

感想・レビュー・書評

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  • 今作も良かった!見事にひっかかったし!だからずっと西野園嬢って表現だったんやな。。。
    最初は笹木さんに、何いきなり唇奪っとんじゃー!?って怒り心頭だったけど、なんか最後の方嬢といい感じになってきてるし、え何これ?ってなってたら、最終幕の一言で「そーゆーことかー!!」ってなって気持ちよかった。語り口がいつもと違うから、賢そうな感じが薄いなぁ(でも読みやすいかも)なんて思いながら読んでたけど、笹木さんの小説なんだからそりゃそうか。 なんか切なかったな、この事件は。

    女性の存在感が大きいミステリーを比較的好む傾向が私はある気がするんだけど、なんか萌絵が他の人と似たようなところがあって時々重なってしまう。アメリア・サックス(ジェフリー・ディーヴァーのリンカーン・ライムシリーズ)も西野園萌絵と一緒で車好きでスピード狂だし、西野園萌絵の上品な感じは城塚翡翠(相沢沙呼のmedium、invertシリーズ)の人前で見せる作った感じと似てる。 だから何?って言われたらそれだけなんだけど。。。いや、萌絵だけじゃなくて睦子氏も?まぁここは身内だから似てて当然か。

  • S&Mシリーズの第8作目。
    今までとはテイストが全然違うなぁ、語り口も・・・。
    なんて思っていたら、あっさりすっかり、気持ちよく騙された。
    ここまでひっくり返されるともう、逆に清々しくてたまらなく面白かった。
    読んでいる途中に思うあれこれが、悉く外れている。
    なのに悔しくない。快感。クセになりそう。
    シリーズも終盤なのに、このクオリティ!!
    ますますのめり込みそう。

  • 犀川先生ファンの自分としては、合間合間の進行パートの方が楽しみ過ぎて肝心の本編はかっ飛ばして読んでしまったけれど、まあミステリー小説としては間違った事は何もしていないと思う。
    この回だけ恐ろしく人気がないのは、やっぱりシリーズファンは萌絵と犀川先生のあれこれが好きなんだって事だねえ。

  • 西之園萌絵が犀川先生に語る密室殺人事件。
    物語の最後に明かされる語り手の正体と事件の真相。S&Mシリーズ第8弾。

    -------------------------------

    語り手が犯人のパターンか?と疑いながら読んだ。中盤以降それしかないような流れになり正解してしまうのかと思いきや、やはり裏切られた。しかし、やられた感が大きいのは死体の謎よりも語り手の正体であり、どれくらい前の事件か、ということだ。騙されて気持ちのいいミステリー小説だった。
    いつの時代も執事というのは大変な仕事なのだと思った。西之園萌絵さんも佐々木夫人も諏訪野さんにつらく当たり過ぎ。犀川先生は今作、何も仕事をしていない。

  • この作品は、ここまで読んで来た人への御褒美的サプライズ(?)だと思いました。好きのベクトルというか、種類というか、判定の土俵が違うので一概に優劣はつけられないでいますが、個人的にはシリーズ全十作品中、最も裏切られ?意表を突かれ?ともあれ、一番心地よい裏切りを受けたなぁ~と言う印象が残っています。

  • ◆評価
    ミステリとしての要素はひとつだけ(密室トリック)で、それに関する様々な仮説推理が次々に披露される多重推理もの。だが、全体的には、ヒロイン西之園嬢と笹木とのロマンスの展開が多くを占めているため、ミステリ小説としての味付けはすくないと感じる。どちらかと言えば読みもの風。
    密室自体も、そのトリックを解き明かすことで全てが終わってしまう(物語の結末に直結している)ため、ロジカルなミステリの醍醐味や、パタパタと複数の謎が繋がって展開していくような快感は得にくいだろう。

    しかし、密室トリックとは別に、もっと大きな仕掛け(ネタバレ:http://ow.ly/g8zhP )がこの物語の屋台骨を支えているため、最後まで楽しめる内容になっている。
    最後の一文がぴりりと効いて、より抒情的な雰囲気を増している。
    できれば、講談社ノベルズ版で読むのをお勧めします。
    この最後の一分の打撃力が変わってくるはずです。

    読み終わってからタイトルをあらためて見ると、
    「今はもうない」という言葉の重さが読む前と変わってみえるかもしれない。
    このタイトルの導く感傷的な悲しみが、事件を望んで風化させるに至った人々のメランコリックに呼応するように感じ、切ない。

    ◆感想
    初読だと思っていたら再読だったようです。(途中で大ネタを思い出してしまった)
    ながらく森ミステリィは、理知的でつめたい感じのする風合いだと認識してきましたが、再読を重ねていくうちに、どうも正反対なのじゃないかなあと思うに至りました。
    ミステリとしてはロジカルで緊密に作ってあるのですが、語り口はそれに反してとてもセンシティブで、メランコリック…。
    本人の他の作品(SF:百年シリーズとかスカクロとか)にもそれは通じています。
    犀川ももっと無機質で合理的な人間に感じていましたが、意味なしジョークを飛ばしたりして、どちらかというと風や水のようにかるーく生きたがる、柔軟な、自身の精神によく向き合う繊細なタイプなのかな、と認識を新たに。
    (そういう目で見ると、浅田寅ヲ先生の描いた犀川のキャラデザがすごくぴったりに見えてきて不思議。)

  • 最後まで騙された。読み応えあり。

  • 既読
    文庫版

  • 誤認されるためか、読んでいて違和感がある。
    笹木が、婚約者と一緒なのに、ほかの女性に目移りしてるし、妄想がひどいし、もう気持ち悪くてならない。
    ずっと酒を飲むか、たばこを吸うか、妄想してるか…に、思えた。

  • 真実は闇の中に。

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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