QED 百人一首の呪 (講談社ノベルス)

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著者 : 高田崇史
  • 講談社 (1998年12月4日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061820449

QED 百人一首の呪 (講談社ノベルス)の感想・レビュー・書評

  •  日本史の謎解きと事件の謎解き、二つの相反する要素の新たな混合に挑戦した推理小説、QEDシリーズの第一弾。

     既に完結しているこのQEDシリーズはカクテルのような小説だ。日本史の謎解きの要素と事件の謎解きの要素、この二種をメインに更にいくつかの要素を加えてシェイクすることで作り上げている。
     日本史の謎解きの方の比重が大きいので、事件の展開から解決に至るまでの過程に些か不満を抱く人もいるだろう。また、まだ初期の作品ゆえにシェークが十分でないように思った人もいるだろう。(初めて読んだ当時の私もそうだった。)
     しかしシリーズが進むに連れてシェイクも良くなっていくので、東照宮、鎌倉、出雲など、寺社仏閣めぐりや観光旅行、日本史の謎解きが好きな人はぜひ続刊も読んでほしい。
     また、登場人物がよく呑みながら談義をするので酒やカクテルの銘柄の登場も多く、そういうのが好きな人にも薦めたいシリーズだ。

  • 第9回メフィスト賞受賞作。 やっぱりさ…メフィスト賞って懐広いと思うんですよ(笑) あ、ノベルズ解説は北村薫氏です。

    ホワイト薬局勤務の薬剤師・棚旗奈々は代理で出席した研修会で、大学の先輩で奇人と名高い桑原崇と再会した。懇親会を抜け出して入った店で、同じく大学の先輩でジャーナリストの小松崎良平が合流したが、旧交を温めあう間もなく小松崎から崇への相談話に、奈々は巻き込まれてしまった。
    相談事…それは小松崎の仕事のネタであり、叔父の岩築警部が扱っている殺人事件についてだった。
    会社社長・真榊大睦が年に一度、家族全員が集まる正月3日に撲殺されたのだ。百人一首を至るところに散りばめた豪邸の、その自室で『白露に風の吹きしく秋の野は』の札を1枚握り締めて―…
    長男静春・次男皓明・長女玉美・次女朱音、そして秘書の墨田厚志に矢野廣、手伝いの柿崎里子。
    札がダイイング・メッセージだとするならば、それは当日屋敷にいたこの中の誰を示すものなのか?
    不可解な証言で犯人の断定が難しいため、百人一首に詳しい崇からヒントを得ようとした小松崎だったのだが、崇の興味は思わぬ方向へ…
    そして「呪い殺した」と自ら語った玉美が首吊り死体となるのだが、自殺に見せかけた他殺体であったことから事件はますます混乱し、事件の解決の糸口は思わぬところから導かれていくのだ…
    QEDシリーズの第1作目です。

    いやぁ…難解だった…。いや面白かったんですけど!事件の推理部分についてよりも、百人一首(と百人秀歌)の謎の解明がすごすぎて…始めの段階はまだなんとか理解して「ああ!そうか!こことここで…だからココが…」と納得しつつ読めたんですが、途中から付いていけなくなりました…orz  スケールがでか過ぎです。 
    肝心のミステリ部分ですが、被害者の生前の思考・意図が面白い。『呪』は被害者にもかかっていたのかもしれないなぁ…。
    ただ…あのぅ…ミステリとして肝になるだろうアレは…正直いってどーだろうと思ってしまいますよ…。つい『京極かよ!』と呟いてしまったではないですか…(苦笑) まぁ確かに伏線はちゃんと貼ってあるんですけどね…

    登場キャラクターは文句なく気に入りましたv 奈々ちゃん嫌味がなくかわいくて好きですv 崇に素っ気なくされて拗ねてるところがイイね!
    崇も奇人さ加減がナチュラルですね(褒めてる)。人間としての生活(主に衣食住)に問題ない部分での、自分の興味に対してののめり込み方が微妙に共感が湧きます。薀蓄好きめv らぶ。

  • 百人一首なんて、とバカにしちゃ~いけない!!一つひとつ見ていくとだんだんと大きな繋がりが!!歴史をほとんど知らないけれど、最後に綺麗に繋がる不思議!すぐにはまりました!!

  • QEDシリーズ第一作。
    読んだのは大分昔だけど、教科書の歴史は勝者の描いた歴史。なまなました歴史は、行間にあって、自分で考えて読み解いていくものだと教えてくれた本。
    読んだ時は、面白くって、百人一首でひとつ作ってみました。アレ。笑

    謎解きに力を込めすぎで?物語うすっぺらなのがまた、この作者のちょっとツボなところです。

  • 歴史の解釈が面白いシリーズ

  • 言霊や怨霊信仰のある日本という国。現代では廃れてしまったそういう胡散臭い文化をしっかり勉強できる小説。



     井沢元彦の「逆説の日本史」というシリーズを読んだことがあるので、こういうの好きだ。と思ったら、作中に井沢元彦でたよ!

     殺人事件がおまけ程度に出てくるこのシリーズの特徴も好感的です。

    ______
    p157 呪のしくみ
     呪は脳の毒である。言葉は脳で咀嚼され理解される。しかし、呪は毒のある言葉であるから、脳は防衛反応を示す。アドレナリンや副腎皮質ホルモンを多量に分泌して、脳を平静に保とうとする。
     脳内麻薬を分泌し続ければ、交感神経が昂奮し続け体調に影響する。
     これが、「呪」であり、リアルに顕現できる。

    p173 漢方薬は帰納法
     帰納法は特殊な事例から共通する一般例を導く方法。漢方薬は、薬草などの効能を失敗を繰り返しながら見極めていった薬学である。
     そう思うと、漢方は数々の犠牲の上に成り立ってきた医学である。

    p189 同時制作
     藤原定家は百人一首と百人秀歌の二つを同時並行で作ったという説。それぞれ、呪をこめた歌集という説

    p202 曼荼羅
     定家は天台僧:慈円のもとで出家している。百人一首に込められた呪は曼荼羅の作成ではないかという説。
     
    p222 怨霊
     祟の考えた曼荼羅の並び図は、後鳥羽院を菅原道真・順徳院・崇徳院で囲んであった。怨霊を怨霊で囲むことで、害を相殺している昔からの手法らしい。

    p274 幽霊とうつ病
     脳の神経伝達物質が異常をきたすと、視覚異常が良く起きる。
     うつ病は、神経伝達物質:アセチルコリンを分解する「コリンエステラーゼ」という酵素を減らす「コリンエストラーゼ阻害薬」を服用する。それにより神経伝達物質の量を増加する。これと同じ効果を持つのが「サリン」
     このようにうつ病の薬を過剰摂取すると副交感神経の興奮で視覚異常をきたす。それを幽霊と勘違いするというトリック。
     チーズ、レバー、鰊、ソラマメ、バナナ、ビール、ワインを抗うつ薬と同時接種すると、薬の副作用が倍増する。

    p309 カルタと正月
     なぜカルタが正月の行事なのか。怨霊を封じ込める曼荼羅を形作った百人一首は、魔除けの効果があるとされているのかもね。
     そう考えると、ますます百人一首の魔封じの意味が込められている気がする…。

    p313 怨霊を科学する
     怨霊や呪は胡散臭いことこの上ないが、実は脳科学の分野ではないだろうか。言葉による毒で脳に害を加える行為も、政略の一つとして実に合理的な科学兵器と考えることもできる。
     ということは、お札やお守りや護摩などの儀式も、合理的な対応策だったのかもしれない。

    ______

     内容自体はそんなに面白いと思わなかった。けれど、日本の怨霊信仰とか、そういうのは面白い。
     胡散臭いものを、「ありえねぇよ!」で済まさないで追及し、実に納得のいく解釈をしてくれている。とてもいいです。

     ただ、これは解釈の一つで、「正しい」わけじゃないということをいつも忘れてはいけない。



     胡散臭さのロマンス。

  • 大分前のメフィスト賞受賞作。いままで読まずにきていたが、なんとなく手にとってみた。百人一首の謎はいろいろな方が挑んでいるが、これは秀逸。とてもよく出来ている。ただ、殺人事件との絡みは余計では。なにもそういう展開にしなくても十分百人一首だけで面白いのに。

  • 図書館にて借りる。面白かった。次のも読んでみよう。

  • 歌の説明が面白い。ミステリーとしては殺人事件の方があまりにも常識的な種明かしに過ぎる印象が強かった。百人一首の読み方を知る上では、非常に興味深い。

  • 帯の北村薫(《この作品には虚を衝かれました。なるほど、こういうやり方もあるのかと感心しました》)にひかれて購入。

    文京区在住の会社社長・真榊大睦が自宅で殺害された事件のパートと、
    大睦が握りしめていた百人一首についての桑原崇の蘊蓄を聞く(読む)パートに別れていて、

    百人一首(百人秀歌も)は
    【曼陀羅】(胎蔵界─宇宙の物質「理」をあらわす、金剛界─宇宙の精神「智」をあらわす)だという蘊蓄のほうが長くてボリュームがあった。

  • 誰もが名前は知っているが内容や意味についてはほとんど知らない”百人一首”に隠された謎と、殺人事件をからめたお話。どちらかというと殺人事件の方がついで。謎解き(百人一首の方)は細かく考えるのが面倒でつい読み流してしまいました。すいません。ちゃんと表まで添付されているという凝りように脱帽。

  • 富豪の死の謎解きは、さほど…だけど
    百人一首の謎解きの方が面白かった。

  • 請求記号:タカダ
    資料番号:010540383

  • 事件の謎が、百人一首の謎のオマケみたいな感じになっていて残念だったけど、百人一首の謎の解き方みたいなのが凄くて図もあったので、バカな自分でもしっかり理解できたのが良かった。

    文章もとても上手で、会話のテンポとか、話の持っていきかたが、良くスラスラと読むことができた。

    続きも読みたいと思えた。

  • 本作は、推理小説である。

    真榊大陸の死から始まり、
    彼の手には、ダイイングメッセージともとれる
    1枚の百人一首札が握られていたことからも疑いようもない。

    のだが、、、
    残念ながら推理小説としては、あまり面白くない。


    前兆も何もない突然の事実の発覚、
    動機と手口の陳腐さ、あっけない幕引き、、、

    うーん…と唸らざるを得ない内容である。


    では、なぜ★1つではなく、★★2つなのか。


    それは、本作の面白さは、
    推理小説という側面とは別にある、もう一方の側面
    百人一首の謎に挑むというミステリー部分にあると思うからである。


    本作において語られる
    百人一首撰者である藤原定家の人となりや人生、和歌の技法、
    和歌単体ではなく百人一首自体についての謎などは、
    教科書なんぞで習うよりも、数倍面白く、
    十分興味を惹かれる内容となっている。

    特に、「新古今和歌集」における選者のこだわりには、
    驚きと共に、一種の感動さえ沸き起こったほどだ。

    なぜこれを授業で教えないのか!!
    残念でならない。



    似た言葉が使われていて、歌が覚え辛い…

    百人一首カルタ大会前に、
    こんな風に思ったことはないだろうか。

    まさにそこが重要だったのである。



    と、百人一首について語られた箇所の面白さを述べたが、、、

    つまりは、本作は、
    高田氏が百人一首に対する独自の見解を述べるために、
    無理やりに推理小説の形を取らせた作品ではないかと思う。

    そうであれば、強引な展開も納得できる。



    さて、
    では、推理小説という形を作ってま語りたかった高田氏の
    百人一首の独自見解についてはどうだったのか。


    本作では、登場人物である桑原崇によって、

    織田正吉氏著の「絢爛たる暗号」
    林直道氏著の「百人一首の秘密」・「百人一首の世界」

    という3冊の百人一首の謎に挑んだ本で語られている
    両氏の説について、
    「1点納得がいかない」と語らせている。

    高田氏の説は、
    どうやら両氏の説を発展させた形で作り上げているようだが、
    登場人物である桑原に語らせているその思考過程は、
    曖昧であったり、若干無理やり感が否めない。

    図柄の取捨にしても、理由さえ語られておらず、
    なぜ?という疑問が残ってしまう。


    織田・林両氏の本を読んでいないので、
    それらの説と比べどう…とは言うことはできないが、
    本作単体においては、小説という読み物として、
    または一つの説としては、面白い…という所だろうか。


    だが、今回、高田氏のおかげで、
    百人一首の謎を知り、興味が湧いたのは事実である。

    その点は評価しつつ、
    機会があれば、織田・林両氏の著作を読んでみようと思う。

  • 2000年10月読了。

  • 百人一首の1枚を握りしめ社長が殺されていた事件の謎、
    そして藤原定家が残した百人一首に込められた謎。
    2つの謎が明らかにされていく。

    事件の方の謎よりも百人一首の謎の方が明らかにされていくところがステキだった。

    百人一首の中の話がおもしろかったし、
    自分のやってることとちょっぴり関係があって参考にもなった。

  • 百人一首とはなにか、興味をもつきっかけになった一冊です。
    この方のシリーズ大好きです!

  • なんでそれで殺人の謎が解けるんだよ!と思わないでもないものの、百人一首が一枚の図になっていくのに読んでいるこちらも興奮してしまいました。
    薀蓄読むの好きな方なのですごい楽しかったです。

  • 古典とミステリの融合……大好物です(笑)

  • 読書家の母に勧められたが説得力があった
    ミステリー要素はちょっと読み進めにくかったかも

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