少年たちの密室 (講談社ノベルス コI- 2)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061821477

作品紹介・あらすじ

東海地震で倒壊したマンションの地下駐車場に閉じ込められた六人の高校生と担任教師。暗闇の中、少年の一人が瓦礫で頭を打たれて死亡する。事故か、それとも殺人か?殺人なら、全く光のない状況で一撃で殺すことがなぜ可能だったのか?周到にくみ上げられた本格推理ならではの熱き感動が読者を打つ傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 何度も途中まで読んではストップし、読了まで一か月以上かかってしまいました。まず、静岡で育ち東北の情景も記憶に新しい現在の私には地下に閉じ込められるというシチュエーションが辛すぎました。すごく怖かった。ところがミステリ読みの哀しい性で死体が出てきてから俄然読むスピードが速くなりました…密室内でひとつひとつ検証しながら謎を解いていくところは好みで楽しみましたが、最終的に待っているものは想像がついていたし震えが来るほど嫌で読後の気分も相当悪かったです。ミステリとしての評価以上に人を選ぶ作品というのに納得です。

  • メフィスト賞作家による、青春ミステリ。新本格、といえるか。
    アイディアも布石の打ち方も、解決編のテンポも、つまり現代ミステリとしてとても秀逸だった。メフィスト作家にしては癖のない文章も悪くない。
    二重構造になった内側の事件は、密室と限定条件を組み合わせたパズラー。そこまでは、凝った趣向ではあるもののそこまでとはいえない出来映えだったが、ラスト30ページで語られる外側には興奮した。周到に仕掛けられたどんでん返しで、想定していない展開に翻弄されるどきどき感は久々であった。
    テーマとしても社会問題を取り上げ、作品を通じてある種の主張を示しているが、全部エンタメ側に飲まれるくらいそっちの要素がツボだった。
    予備知識なしに選び当てることができたのは幸い。
    4+

  • 2000年に出版された本、という前提で読むべし、と思いました(^^;;
    東海地震で倒壊したマンションの地下駐車場に閉じ込められた六人の高校生と担任教師
    そこで死んだ少年は事故か殺人か
    読んでいて腹が立って仕方がなかった。
    殺されて当然の奴が死んだだけ。せいせいした。
    警察も手出しができないほどズル賢い 悪知恵しか持たない奴
    最後まで読みましたが…うーん。
    現在の日本の法律でなんとか裁けるようにして欲しいわ〜( ̄◇ ̄;)
    もう少し救いのある話のほうがいいな〜(^^;;

  • ストーリーとミステリが綺麗に融合しており、読み物としてはとても面白かったです。
    問題提起もはっきりしていて、ミステリ部分がそれを邪魔することなく、むしろより浮き彫りにしてくるあたりストーリーテラーとしての才能が垣間見えます。
    しかし僕はあくまでミステリとしてこの本を読み始めたため、そこまで高評価とはいきませんでした。
    「暗闇で任意の人物を殺すことができるか」という謎への推論は正統な手順を踏んでいてよくできていますし、真相へと導くロジックも綺麗です。
    しかし、どうもこじんまりしすぎている印象を受けます。手堅く纏めようとするあまり、事件のインパクトが皆無になってしまっているのです。
    ミステリとしてみた場合これは結構致命的なことでしょう。
    作品テーマに沿うなら、最後のひっくり返しは不可欠なのでしょうが、効果的に決まっているとは言えません。
    ですが、小説としてよくできていることは確かなので、ミステリをエッセンスとした良い話が読みたい人にオススメしたい一冊です。

  • 端正なミステリ。

  • 話は結構普通なんだけど、設定が自衛隊という特殊な環境なので、面白く読めた。
    前に読んだ「少年たちの密室」は力技でねじ伏せて、結末まで持って行ったって感じたけど、これは自然な展開。
    朝香二尉が魅力的。

  • ネタ自体はかなり小粒ですが、密閉状況を生かした極限状態での疑心暗鬼な様子は緊張感がありますし、心理の盲点をついたトリックは緻密に構成されています。一つの事実によって事件の様相がガラリと変わる展開が面白いです。
    ただ、最後のどんでん返しは、それまでの描写からしてひっくり返せない気がしました。

  • イジメ問題を中心にした殺人事件、登場人物たちに対して感慨を抱くことも出来ず、かと言って10年以上前の作品だから仕方が無いとは思うけれども話がなんとなく古臭く感じられ興味を持てない。そもそも読んでいる人間が社会派なんてクソ喰らえ。そんな風に考えている人間のためかちっとも愉しむことが出来なかった。
    先生がラストの犯人であることは大体推測できているし、襲われているときに女子高生がレイプ犯を殺すってのもありそうで現実的ではない。
    ただ、ああそうなんだ。と思いながらページをめくっていくだけ。
    文章は非常に読みやすく解りやすいから詰まる部分もすくない。唯一、真っ暗闇という状況のイメージが難しく、視覚表現ばかりに頼らずにもっと五感を駆使した描写をいれた方が理解しやすいのでは?と思うくらい。
    構成的には、記者を入れた理由が全く理解できず――というのも主人公の男子高校生がラストも解決すれば良いだけなのだ――構造を複雑化しただけで葉などと考えてしまう。
    いやね、単に尺の問題であるか、マーケティングの問題であるとか、もしくはマスコミに対する印象・思い入れが作者にあるとか、そんな余分なことを考えてしまうんだよね。どうでもいいことだけど。
    総じて、個人的な好みによる部分が大きいわけだけど好きになれなかった作品である。

  • 夏休みのある日から、物語は始まっていきます。
    これは誰の目線だろうかと考えながら、読んでいきました。
    学校のクラス内での確執に担任教師の態度。それがこの事件の背景になっていて、彼らの人間関係やそれぞれの人物像がわかりやすいです。
    密室の謎では、それらが絡まり合っていて少し複雑になりましたが、張り巡らされた謎は、最後にはすべて回収され、ミステリーとしてはとてもスッキリしました。
    しかし、災害対策にいじめや犯罪、学校や教師、親や少年たちとそれらを報道するマスコミなどを考えたとき、数々の問題が提起されていると感じました。

  • 2001年版本格ミステリベスト6位。面白かった。逆転につぐ逆転って感じ。女を集団でレイプするなんて、ほんと城戸や小谷なんて死んでしまえばいいと思う。でも城戸を守り続けた父親への処分はなくていいのか。親だからといって許されるのか。結構救いのない話ではある。これでは学校に行く意味を見出せない。例外があることは頭ではわかっても。しかしこうやって小説になるくらい、東海地震はくるくると言われているのに、東北に大地震と津波が来るんだもんな。しかし原発事故は想定してなかっただろう。ほんとやっかいなものを作ったのものだ。

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著者プロフィール

1970年福岡県生まれ。2000年4月『UNKNOWN』でメフィスト賞でデビュー。2010年、第3回「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」受賞。17年『いくさの底』で第71回「毎日出版文化賞」、翌年同作で第71回「日本推理作家協会賞(長編部門)」を受賞。著書に『ルール』『七月七日』『中尉』『生き残り』などがある。

「2020年 『いくさの底』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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