水没ピアノ 鏡創士がひきもどす犯罪 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 629
感想 : 77
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061822412

作品紹介・あらすじ

お祭り騒ぎは、もうお終い。今回は愛をめぐる三つの物語だ。暗澹たる日々に埋もれた無様な青年。悪意から逃れられない少女を護り続ける少年。密室状況の屋敷の中で繰り広げられる、贖罪を含んだ惨殺劇。それらは歪んでいて、壊れていて、間違っている。でも確かに愛の物語なのだ。俺は行動を開始した。その目的は、水没した全てのものを引き戻すため。そして、その果てに浮かび上がる真相。そこにはもう、馬鹿げた世界は存在しない。

感想・レビュー・書評

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  • 佐藤友哉さんの作品の中で一番好きです。

  • 佐藤友哉の三作目。1000の小説とバックベアードで一躍純文学の若き担い手として脚光を浴びることになった(なってない?)シンデレラ作家の彼ですが、デビュー間もないころはこんなにも偏屈で鬱々とした私小説まがいのものを書いていたのです。
    これは心をデカビタの空き瓶でがすがす殴りつけられるような、虚しい攻撃力を伴った暗黒物語です。美しいものなど何もありません。
    僕は舞城王太郎がいうように小説は小説だけで完結しているべきだと思うのですが、佐藤友哉の当時の状況を知るとこの小説がすさんだ若者の妄想的戯言ではなく、社会や世界に関わろうと必死になって、でも駄目なマジョリティーの人間の小説であるということがわかります。
    読後、作者が死ぬんじゃないかと思ったのは僕だけでしょうか。

  • 本当にいとおしい作品。これで読むのは何度目かになるけれど大好き。鏡家だと一番好きだなあ。いつもぞくぞくする。

  • 褒め言葉的な意味でえげつない。更にそれを解して伏線にしてちりばめるからもっとえげつない。鏡家サーガの、既に退場した人物を無理矢理ステージに引き戻して台なしにさせるプレイが堪らない。

  • 鏡家と同レベルで狂っている家庭がある!と、まずあさってな感動。
    子供めっちゃ怖い。ひええ

    そしてめっこりと歪んでいる鏡創士。1では声の出演だけだったものなあ。
    そしてやっぱりだんだん好きになって行きました。

    広明って誰だか・・???となっていたのが、最後で少し解決。すっきり!・・・?
    登場人物全員歪みまくっていて、付いて行くのが大変でした。

  • 再読。鏡家サーガはやっぱり良き良き。こういうオチは個人的には好き。

  • 【195】

  • ミステリー/恋愛?/青春?
    三つの物語の繋がりが見所。終盤は手が止まらない。
    ただ、繋がりが見えない序盤はやや退屈。
    個人的には『エナメルを塗った魂の比重』のほうが好み。
    鏡創士の引用病はなかなか印象的。
    浦賀和宏さんの作品からの引用でテンション上がった。

  •  ちまちまと再読を続けておりました。副題「鏡創士がひきもどす犯罪」。
     今回の視点は三つ。フリーターでうつうつとした男、好きな女の子を懸命に守ろうとする小学生、狂った妹(だっけ、姉だっけ)に家族そろって閉じ込められた絵描き。感想書こうと思ったら全部がネタばれになりそうな気がするなぁ。
     副題に出てくるくせになかなか現れない創士兄ちゃん。でもって性格が最悪。高校生のくせに寝取るとか、どうよ。
     以下、空白ネタばれ反転処理。自分メモ。
     結局繋がるのは「フリーター」=「コウちゃん」=「星野広明」ってことですか。絵描きの部分だけ浮いてるなと思ったら、それだけ「主人公が違った」からか。どうせなら小学生パートを伽耶子視点にしたら面白かったのに。基本皆壊れてる系。
     第八章のラスト、いまいち意味が取れませんでした。結局その「母」ってのは「梢本人」なのか「梢の振りをした亜衣」なのか、どっちだ?
     創士兄さんが「ピアノをどこに落としたのか」を聞いた理由は「伽耶子の兄貴」を探したかったから、ってことですかね。
     これはこれで上手く繋がってて面白いと思うんだけど、どうせなら、三つのパートを繋ぐ線がもう一つ、黒幕的な存在がいればもっと良かったのに。んー、考えようによっては「梢」がそれになるのかもしれないけど、小学生パートには絡んでないよね。コウちゃんが必死に伽耶子を守る理由に絡めてあったら面白かったかな。

    10.03.14

  • 読むのは二回目。
    旋律の鏡家サーガ。
    読む人を選ぶド、マジョリティー。

    デビュー作で既に死んだ設定になっている創士を準主役級に据える点に佐藤友哉の捻くれ具合が垣間見える。

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著者プロフィール

1952年北海道釧路市生まれ。
1974年に北海道教育大学札幌分校特設美術課程卒業(美学・美術史専攻)。1976年に北海道教育庁北海道新美術館建設準備室の学芸員、翌年には北海道立近代美術館学芸員となる。1985年北海道立旭川美術館学芸課長。1990年からは北海道立近代美術館に戻り、2004年同館学芸副館長。2012年から2022年まで札幌芸術の森美術館館長を務める。この間、それぞれの美術館で数多くの北海道ゆかりの作家の個展や現代美術展を企画開催。
現在、AICA国際美術評論家連盟会員、北海道芸術学会会員、北海道美術館学芸員研究協議会会員。また旭川市中原悌二郎賞、札幌市本郷新記念札幌彫刻賞、ニセコ町有島武郎青少年公募絵画展、北海道陶芸展などの審査員を務める。

「2023年 『北の美術の箱舟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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