書物狩人 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061824874

感想・レビュー・書評

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  • 国家や政治を動かすような力を持つ本を、合法非合法、手段は問わずに奪ってきて、顧客に売りつける商売人。
    その名も書物狩人、二つ名がル・シャスール。
    慇懃無礼で、己の美学だけに沿って活動する書物狩人であるナカライ助教授が狙うのは、ケネディを撃つ手順を伝えるために使われた本、バチカンが百万ドル出しても手に入れたい本、ナポレオンが晩年に読んでいた本…。

    暗躍、異能、裏社会といったワードに憧れを持ったことのある者で、この設定に惹かれない者はおりますまい。
    メフィスト系の作品の、小説と漫画の間のようで、ラノベよりちょっとスノッブな、独特の美学に彩られた作品はやはり良きですな。
    ナカライ助教授がなぜ「衝撃や心痛で、一夜にして髪の色を失ってしまった」ような鮮やかな銀髪になったのか気になる。

  • 書物(書き物)活字の歴史を担う物ル・シャスール、銀髪の獅子。
    シリーズを追って見るのもいいかも。

  •  シリーズ第1作目。
     表に出れば、国を、政治を、歴史を揺るがしかねない秘密をはらんだ本を、合法非合法を問わず、あらゆる手段を用いて入手する書物狩人・ナカライ助教授。
     その容貌と慇懃無礼な態度、彼の存在自体がミステリアスです。そして依頼人との書物をめぐる駆け引きにはスリルがあり、かなり引き込まれました。
     史実にフィクションを散りばめたストーリーは、どこまでが事実なのかわからなくなるけど、面白かったです。

  •  国家や歴史を揺るがしうる秘密を宿した書物に纏わる、種々の奇談、虚々実々の駆け引き。
     本好きならモチーフだけでも堪らない、極上の歴史ミステリ。
     世に二つとない稀覯本を入手する<書物狩人>の、掟の遵守と、悪党然とした書誌愛好家ぶりが光る。
     フィクションにしても、“ひょっとしたら”という夢想を抱かせる、『歴史の隙間』に展開する仕掛けの見事さに唸らされた。
     作者の膨大な知識や見聞を、独自の物語へと昇華させる手腕は、かの京極作品に初めて接した時の衝撃と似ている。
     連作それぞれのレベルが一定に高く読み応えがあり、個別のタイトルセンスも好ましい。
     続くシリーズを手にするのが何とも楽しみな作品。

  • 政府や大企業の依頼を受けて、どんな手を使ってでも秘密をはらんだ本を入手してくるという書物狩人。ル・シャスールのスマートな手腕に敬服。
    庶民の与り知らぬ、歴史の裏舞台を覗いているようなワクワクがあった。歴史や書物は政治や権力にとって重要な意味を持つからこそ、時に文書は改竄されるし焚書だって起きる。そういう悲しい事実を元にして書かれたこの物語は現実味を帯びて迫ってくる。おびただしい書物がこの世にはあり、その中の一冊が国家の命運を握って眠っているかもしれないなんて、本好きの好奇心をとことんくすぐる。
    史実に対して著者が加えた1つのアイディア。それが様々な国や人を巻き込んで有無を言わさず当事者にしてしまう。こういった裏事情が本当にあるかもしれないと想像するのは楽しかったし、現実にこの書物狩人のような人物はいるのではないかと思えてくるのが面白い。稀覯本は存在するのだし。

  • あらすじに惹かれて手に取りました。頼まれればどんな手段を使っても稀覯本を手に入れる書物狩人。それらの本には大変危険な秘密が隠れています。史実に上手く絡めて大変よくできた設定でありストーリーだと思います。ただ、世界史が苦手な私には史実に絡めてもらってもあまり興味を持てずに本自体も読みにくく時間がかかり、また最後まで目を通してもほとんど残りませんでした。世界史が得意な読書家さんならきっと楽しめるのだと思います。シリーズではありますが残念ながら私はそういうわけで一冊で打ち止めです。

  • 先日タイトルだけで借りた本が第2弾となっていたので、1弾を借りる

  • あまり思い入れなく読んだのが幸いしてか、おもしろかった。知識の膨大さに圧倒された。もっと世界史ちゃんと勉強しておくべきだったかもしれないが・・・・。
    く続きがまだあるようなので読んでみたいと思う。

  • ややこしい知識部分は読み飛ばしてしまいがちですが、ストーリーは面白いです。
    後ろの話になるほど個人的には楽しめたかな。
    かなりシリーズが出てるらしいので少しずつ読み進めていきたいです。

  • 全8巻*歴史的な価値を持ち、政治を動かしかねない希少な本を扱うウラの職業「書物狩人」が暗躍する物語。小難しい用語びっしりでつい読み飛ばしてしまうところもあるけど、設定が新鮮で面白い。もしかしたら、本当にいるのかも・・・

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著者プロフィール

1961年、東京都生まれ。立教大学卒業後、ドイツに留学。帰国後、大学講師として教鞭をとるかたわら、1998年に『魔大陸の鷹』でデビュー。その面白さに、田中芳樹氏、荒俣宏氏らがお墨付きを与えた。近著に『氷海のウラヌス』『書物審問』『天皇の代理人(エージェント)』などがある。

「2013年 『書物奏鳴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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