亡羊の嘆 鬼籍通覧 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061825963

感想・レビュー・書評

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  • 何作目かわからぬ法医教室物。
    イライラしてた主人公にしなくなり、なんだか自分の中に落ち着いてきたのか、それとも丸くなったのか。
    今回は惨殺死体た感電死の繋がりを紐解いていくもので、教師?都筑教授とか?の後進を育てる上での事がなんだか見え隠れする回。
    伝えたからわかる物でもない、伝えなきゃわからないまま。なのよね。伝え方次第でこんなことになるのだから。
    司法を担ううえでの傲慢さは、人を責める傲慢さとは違うのだろうけど、犯人と自分とを隔てることとは同じなんだろうな。

  • あー今回も辛かった。けど、レギュラー陣の人柄の良さも手伝って、さらりと読めて楽しめる。心には残るけど、重くならない。龍村さんもいいね

  • 死体で解剖で。読むに堪えない箇所も数々(飛ばし読みだけどw)。なのにさらりとした読み心地に人情も。読み続けたいシリーズ☆

  • かなり結末がきついものがあります。
    世の中は不条理にあふれている…ということを
    思い知らされる作品でした。

    ただ、現実の世界ではこれらの事件は
    解析技術の進歩により
    罪に問うことは可能になっているので
    救いはあるのです。

    事件は凄惨の一言。
    ある有名料理研究家が
    それはそれは、むごたらしい状態で殺されるのです。

    これは関連は容易につながるはずです。
    でも、今回の場合はたどる展開ゆえに
    読むのが重く感じるかもしれません。

    伊月たちはいつも通りです。
    だけれども有名人が死んだために
    結構手を焼いてはいますが…

  • 有名人が異様な姿で殺された。

    何の関わり合いもなさそうな事件が繋がっていくのは
    1巻からのお約束状態でしたが、これは…すごい。
    誰について凄い、と評したらいいのか分かりませんが
    これほどの事の引き金を引いたのがすごいのか
    やってしまった事がすごいのか、させた事が、なのか。
    人間、勝手な思い込みで生きて行っているわけですが
    これはもう取り返しがつかないというか…。

    しかしパニックに陥っていた、とはいえ
    どうやったら9等分にできたのか、は
    ちょっと知りたいです。

  • 年末の有名人の猟奇的殺人遺体で始まる本作。今回は管轄違いで筧君はほとんど登場せずでトリオの暴走がみれず寂しい。そう言えば、メインサブキャラの都筑先生やねこちゃん、清田さん、陽ちゃんも、いつもより登場回数少なかったような。そのぶん瀧村先生が最後の川柳まで詠んでましたね(笑)すっかりたまり場と化した筧家(笑)このシリーズはキャラ同士のやりとりがおもしろいです。

  • なんと今回は都築教授のコメントからのタイトルじゃなくて、龍村先生のコメントからのタイトルやったね!!
    (って、そこまで盛り上がることじゃないんかもしれへんけど)

    このシリーズ、好きやわ~。ちゅうか最早著者が好き・・・。
    まだまだ著者の本は(このシリーズじゃなくても)未読なものが蔵書にあるからうっひゃあとなるけど、むしょうに著者のBLが読みたいねん・・・。買う・・・?

    ・・・と、まあそれはおいといて、今回の話はシリーズ一好きかも・・・。
    キャラがイキイキ動いてる気がするのは、これだけシリーズが続いてきてるからかな? なんかし、著者のキャラが好きやからね~。

    龍村先生が書き込まれたこととか(龍村×伊月説も浮上か・・・)、新たなキャラの高倉さんとか、面白い人が増えた!
    せやから、もっとようけ既刊本があればいいのになあー。
    内容が内容だけに、サクサク書けるシリーズじゃないんやろうね。しょうがないよな。

    そんなこんなでキャラが増えたせいか、冒頭に「登場人物紹介」なるものが載ってたし!
    またそれも面白かったし!!

    ああー、好き・・・。

    また、作中でもちゃんと時間が過ぎていってるので、伊月くんが成長していってるのも微笑ましいー。
    彼はイケメン設定やったのか(笑)。
    周囲からのイジられぶりはとてもイケメンには思えないけど、ミチルさんもエキセントリック美女みたいやし、このシリーズはビジュアル的にも楽しめる仕立てやったのね(今更?)。


    著者は同年代なのではないかと思う・・・。
    なので、心理描写に馴染みやすいというか、それこそ居酒屋で飲みながら「ウンウン」と、聞いているような気安さがあるねん。
    そこが、面白い。

    今回は「若者のプロトタイプ」ちゅうミチルさんの説。
    自分の関心事には熱心やけど、それ以外には無頓着、と、いうのは、
    「うっ」
    と、思うところがあるよね。

    おおらかな方面でのそれならいいけど、無責任となるとちょっとマズイ。
    何にでもに粘着質になるのも一歩間違えば自分可愛さというか、自意識過剰なのか自信過剰なのかっていう話になるけど、無責任なほど無頓着なのも、自分可愛さやんね・・・。

    他人との距離感!! 正直、これが難しいと思う。
    そんなもの、古来から難しいものやったんやろうけど、伝達ツールばっかり発展してしまった昨今は、連絡を取るというツールだけがやたら簡素化されたんだよね。

    早さばっかり重視で、内容はちょっと後回しになるので、余計に誤解を招く・・・。と、いうか、想像する暇がない。
    とはいえ、昔はよかったとか、昔がよかったとかいうててもしょうがないので、現代のスピード社会でもちゃんと伝わるような距離感で人と接していけるようにならないとあかんねやろうね。


    ほんで、龍村先生の「視野と行動力の間の質量保存の法則」な。(この言い回しがすでに理系なんですけど。笑)

    行動力があるうちは視野が狭くて、視野が広くなると行動力が落ちるのだそうだ。
    それだけやと
    「ふーん」
    なんやけど、その先、正しいことをやっているかとか自分の行動は真面目に考えての結果だとか、そういうことは自分で判断することではない、と。

    評価は第三者がすることであって、自分でしてはいけないらしい。
    自分のやっていることが正しい、と、かたくなになるということは、自分以外の他人は間違っている、と、傲慢になることにもつながる。
    他人を見下す気持ちがあると、それが本当に正しいことであっても他人の心には響かない・・・。

    のだそうで、
    「うわー」
    と、思ったよ。だって、あるもん。私も、ある。自分のやってることは正しい、と、思うことってある。
    そういうときって確かに傲慢になってるわー。

    ほしたら、自分なんて、と、一歩も二歩も引いていればいいのかっちゅうたら、それも違う。
    自分の正義はこれ、でも、目の前の人にも、目の前にはいないけれどどこかにはいる他人にも、「自分の正義はこれ」と、いう物差しがあるのだと。
    ほんでその物差しは人それぞれ違うから、どちらが正しいかを決めるんじゃなくて、違う物差し同士でどう円滑にやっていくかをすり合わせることのほうが大事、ってこと。

    うん。そうなんだよね~。
    でも私はなかなかそれがうまくできないのよね~。
    まったくすりあわせができない・・・。相手に恵まれてないのかと思うときもあったし、いやいや自分が頑固すぎるのかと思うこともあった。
    一周回って今はもうよくわかんない。できれば、すり合わせる必要があるような人と接するのは最小限にしたいと思ってるし、めっちゃすり合わせな成り立たないのであればしばらくはひとりでいいかな・・・、と、いう気持ちもある。
    (でも10年後も同じことを言っている自信はない・・・)

    このあたりの想像力も欠落している世代のような気もする・・・。
    だから、著者って同年代なのかな、と、思った。


    さてそんな感じに枝葉の話ももちろん面白かったけれど、ミステリとして二つの事件がつながっていく過程も
    「伊月たちはどこで気づくのかな?」
    と、いう先の展開のお楽しみもあったし、またその真相がこちらの予想からぐっと踏み込んだものやったのもよかった。

    先日、「悪役にも悪役の事情があって、やむなく犯罪を犯す」と、いう理由づけが流行っている云々ということを聞いたけれど、こんなふうに
    「どうしようもないな」
    と、いう犯罪も、それはそれで(小説として読むなら)深かった。

    (「面白かった」とは、言いにくい・・・)

    軽めのミステリと、一味も二味もある登場人物。ほんで、いろいろ妄想したくなる行間な!
    こういうテイストは講談社ノベルスならではやと思う。講談社ノベルスはいいなあー! 何やろうね、この独特の雰囲気。


    ■■■■


    ■機序 きじょ

    しくみ。機構。メカニズム。


    ■塩辛声

    かすれた声。しわがれ声。


    ■ソリッド

    1 固体。また、固体状であるさま。「ソリッドにした整髪料」
    2 堅固なさま。硬質であるさま。また、うつろでなく中まで密であるさま。

    (2017.04.22)

  • 真相がわかった後も、なんともやりきれない結末。

  • 人気料理研究家が惨殺
    うーたん、ケーキ9等分
    不用品売買サイトで自分の命を売る青年
    それを300万円で買う青年

  • シリーズ6作目。
    なんとも後味のよろしくない結末だった・・・読み終わった後も、もやもやといつまでもやり場のない思いで胸が詰まった。
    筧の登場が少なく、代わりに龍村が多めの登場。伊月と龍村の距離が縮まったのが良かった。。

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著者プロフィール

作家。監察医。講談社ホワイトハート「人買奇談」にてデビュー。代表作は「鬼籍通覧」シリーズ、「奇談」シリーズ(講談社)、「最後の晩ごはん」(KADOKAWA)、「時をかける眼鏡」(集英社)など多数。

「2023年 『妖魔と下僕の契約条件 5』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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