書物迷宮 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061826168

感想・レビュー・書評

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  • 国家の情勢に影響を与えたり、今までの歴史認識を変えてしまう程の世に出せないとんでもない書物を颯爽たる手際で手に入れてしまう書物狩人の半井優一。ロルカの未発表の詩集、失われた北京原人の謎にせまる満鉄時刻表、東欧の一国の未来を左右するCIAも狙う書物、ナチスドイツが残した細菌兵器の製造方が記された資料、どれもこれも綿密な調査と準備、そして冷静な行動で手に入れてしまう。最後には、小気味のいい結末を残して。
    主人公の30歳前後なのに銀髪の書物狩人(ラ・シャスール)が、非常にかっこいい。書籍のことは勿論、世界情勢や歴史にも詳しい。作者の知識がそれだけ凄いのだろう。4篇は、どれも唸らせられる話ばかりだ。

  • どんな取引も、ル・シャスールが優雅かつ冷静沈着に(そして基本感じ悪く)、交渉相手を翻弄して意中の書物を手に入れていくのが気持ちいい。
    待ってました!という安定感。

    ペダンティックなシリーズなので、世界史に詳しい方にはより楽しめると思う。
    わたしは歴史には疎いものの、文書修復に関わる仕事をしているので、修復が物語の鍵になったラストの短編は興奮した。作者の方の博学さがすごい。

  •  ≪書物狩人≫シリーズの続編。
     前巻では“ル・シャスール”の人を喰ったようなビジネスライクぶりが際立っていたが、今回は、強かに冴えた遣り口は変わらぬまでも、美意識や倫理、情や優しさといった、『+α』がより加味された人物造形が印象的だった。
     オムニバスの内容はどれも、相変わらず外れの無い良質さで、歴史の表裏の証人たる書物への愛着と尊重が行間に滲み出る。
     9割の事実に1割の虚構の配分がもたらす魅惑的な効能に、読書好きならじっくりと浸って耽溺したい。

  • このシリーズ大好きです。頭の痛くなりそうな世界史知識には圧倒されます。

  • ゲルニカ、北京原人、グラゴール文字、ナチスの細菌戦研究、古文書修復…世界情勢や歴史に詳しい人、関心のある人にはたまらなく面白いのではないかと思う。
    が、そうではない私は、へー、ほーと、次々提示される情報にただ圧倒され、煙にまかれたような気分になるばかり。
    あとがきによると9割事実で1割虚構とのこと。虚構の部分ってどこなんだろう?

    「書庫に入りきらぬ本」「長い長い眠り」「愛された娘」「冷やしすぎた秘密」

  • どんな手段でも本を入手する書物狩人のシリーズ二作目。
    短編4篇。最初二編が持って回った感じの文章で、苦手。
    続編も出ているみたいやけど、読むか迷う。
    でも「九割まで事実を用いて組み立てた上に、一割の虚構を混ぜ込んである」とあとがきにあり、すごい知識量とリサーチ力、かつ構成力だと思う。

  •  シリーズ2作目は、背景に戦争がある話でした。
     相変わらず、個性的な容姿で無礼な態度のナカライ助教授ですが、今作では、その中に優しさや思いやりを感じさせる場面もいくつか登場してきました。でもル・シャスールとしての腕は、やはり超一流です。彼の本に対する想いが半端ではないことも、ますます伝わってきました。
     古書にも歴史にも詳しくはないけど、それらに本がからむウンチクは読んでいて楽しいです。
     今回、水浸しになった古書の修復という記述があって、興味しんしんで読んでいました。手先が器用だと言われる日本人にピッタリの職業だと思いました。

  • 書物狩人シリーズ 二作目。

    今回も歴史の裏が暴かれる感じの
    お話しが多数入っておりました。
    この本読むと本当に見えてるコトだけを
    信じちゃいけないんだな・・・と思ってしまう。

    何だかんだ言うて優しいル・シャスールが
    大好きですww

  • 後書の赤城氏の体験談が本当に素敵。そしてこの「書物迷宮」という題名からして好み。
    謎解きと本に対する愛情薀蓄の割合が心地よい。
    シリーズモノだったとは最後まで判らなかった…前を読まねば。いや、読んでなくとも支障は全くないのですが、彼の冒険譚(というのは本人の性格がちょっと違うけれども)もっと読みたいのです。

  • [ 内容 ]
    合法非合法を問わず、あらゆる手段を用いて世には出せない危うい本を手に入れる、書物狩人。
    スペイン内戦に斃れたロルカの詩集、各国情報部が狙うポズナンの書物、国家機密を匂わす満鉄の時刻表。
    書物狩人だけが、稀覯本に隠された物語を読み解ける!
    すべての愛書家に捧ぐ、必読の書。

    [ 目次 ]


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    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

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著者プロフィール

1961年、東京都生まれ。立教大学卒業後、ドイツに留学。帰国後、大学講師として教鞭をとるかたわら、1998年に『魔大陸の鷹』でデビュー。その面白さに、田中芳樹氏、荒俣宏氏らがお墨付きを与えた。近著に『氷海のウラヌス』『書物審問』『天皇の代理人(エージェント)』などがある。

「2013年 『書物奏鳴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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