- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061827608
感想・レビュー・書評
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なんていうのかなあ。死体消失ミステリとでも言いましょうか。でも犯人とかトリックとか、そういうのはいっさいなく。なぜ死体が消されたか、そのホワイダニットを問うミステリ。ちょっとトリッキーな印象。でもその「理由」には納得。そしてそれだけでなく、とある仕掛けもあります。
今風に世間を斜めに見た感じの、やや無気力な主人公のキャラも独特。こういう若者、いそうですものね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
偶然見つけた高校生の死体を使ってゾンビ映画を撮ろうとするニート4人組
結末には少し驚いた -
漫然と日々を過ごしているフリーター四人が廃墟で屍体を発見。通報もせずそれを素材にした映画を撮ることにしたが、再び訪れたときには屍体が消えていた…
前半は語り手の鬱々した心情描写に少々気が滅入ったが、ストーリーは淡々と進むので読みやすい。
この作者ならもっと捻ったオチかと思ったが意外に普通。でも予想外に爽やかなラストはよかった。 -
登場人物の無気力さみたいなのが伝わってこなかった
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ニート4人組が映画を作るため訪れた廃墟。そこで死体を発見するし、結果として撮影素材としてしまう。その死体が消え理由もなく探すことになるが。
こういった客観視したネガティブ思考は良く解るので、嫌いじゃない。ゾンビに憧れる所やソマリアの子供達と入れ替わりたいと思う所なども解るので感情移入が容易だった。
ストーリーは肝心の死体消失などは添え物的な扱い。動機がミステリのメインだった。私には面白いけど、合わない人も多くいると思う。 -
今風の虚無感に首まで浸かった若者たちの話かと思ったら、読後感が思いの外爽やかで嬉しい誤算。
著者の作品はデビュー作のリロ・グラ・シスタが好きだったので今回再び手に取った次第。
ゆえに頭からかなり疑ってかかったので、仕掛けには序盤で気づきました(苦笑 -
“ゾンビになりたい。
そう思うのはこんな時だ。ゾンビなら嚙んで仲間を増やせる。菜都美に嚙みつけば、僕と同じようにしてやれる。そうしたら僕の気持ちも判るに違いない。
でも、多分、きっと——
ゾンビになっても僕は菜都美を嚙まないだろう。それも判る。そういうことが判らなくなるくらいになれたらいい。でなければゾンビになる意味がない。”[P.39]
四人は一人でした。
題名に惹かれつ。
淡々と読み進んでいたら最後にくるっと思わぬ展開をした。
なかなか爽やかな終わり。好き。
“ならば、かける言葉も決まっている。
大丈夫さと僕は言った。
「……何が」
「将樹が。腐りかけの屍体を運べたくらいだ。もう何だって運べるよ。一人で歩いて、どこへだって行ける。傷付いたって治る。ゾンビじゃなく、生きてんだから」
将樹は顔を顰めた。不愉快に感じてるのか、泣きそうなのを堪えてるのか。
翻って僕は?一体どんな顔をしてたんだろう。
将樹はゾンビではない。ではゾンビになりたい僕は?その想い通り、なるべきじゃないだろうか。どこにもいない。いてはならないものに。
そう思うと頷けた。もっと焦るかと思っていたのに。”[P.186]