乾いた屍体は蛆も湧かない (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 92
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061827608

感想・レビュー・書評

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  • なんていうのかなあ。死体消失ミステリとでも言いましょうか。でも犯人とかトリックとか、そういうのはいっさいなく。なぜ死体が消されたか、そのホワイダニットを問うミステリ。ちょっとトリッキーな印象。でもその「理由」には納得。そしてそれだけでなく、とある仕掛けもあります。
    今風に世間を斜めに見た感じの、やや無気力な主人公のキャラも独特。こういう若者、いそうですものね。

  • 偶然見つけた高校生の死体を使ってゾンビ映画を撮ろうとするニート4人組
    結末には少し驚いた

  • 罰ゲームみたいな人生。
    大逆転の一手は……屍体探し!?
    人を殺すような人も、殺されるような人も、どうせリア充なんだろ。

    夢をあきらめ、死んだように生きる僕と、似たような仲間たち。
    4人組は映画を撮ろうと立ち寄った廃墟で屍体を見つけてしまう。
    ところが数日でその屍体は消えてしまっていた。
    自分を変えるために、屍体を探し出せ!

    簡単に述べるとそういうお話。展開が展開だけに全編にわたって閉塞感と痛さを感じてしまう。
    カバー裏には「四人ともモデルは俺です」なんてコメントも。
    終盤の真相が明かされたときはこのパターンだったのかと驚いたけれど、そこに漫画家になる夢が一役噛んでいたりして、「なるほどこういう処理もできるのだな」と感心した。
    結末はこの著者にしてはさわやかなもの笑でわるくない。

    ミステリ  :☆☆☆
    ストーリー :☆☆☆☆
    人物    :☆☆☆☆
    文章    :☆☆☆

  • 漫然と日々を過ごしているフリーター四人が廃墟で屍体を発見。通報もせずそれを素材にした映画を撮ることにしたが、再び訪れたときには屍体が消えていた…
    前半は語り手の鬱々した心情描写に少々気が滅入ったが、ストーリーは淡々と進むので読みやすい。
    この作者ならもっと捻ったオチかと思ったが意外に普通。でも予想外に爽やかなラストはよかった。

  • 登場人物の無気力さみたいなのが伝わってこなかった

  • ニート4人組が映画を作るため訪れた廃墟。そこで死体を発見するし、結果として撮影素材としてしまう。その死体が消え理由もなく探すことになるが。
    こういった客観視したネガティブ思考は良く解るので、嫌いじゃない。ゾンビに憧れる所やソマリアの子供達と入れ替わりたいと思う所なども解るので感情移入が容易だった。
    ストーリーは肝心の死体消失などは添え物的な扱い。動機がミステリのメインだった。私には面白いけど、合わない人も多くいると思う。

  • 心理描写が多く読みづらい・・・ってのも納得と言えば納得と言う結末であるが
    おおよそ想像がついてしまう展開はちょっと残念かな。
    最大の伏線が「四人ともモデルは俺です」って言う装丁の文に
    一番驚いた・・・・・・・・・・・・

  • 今風の虚無感に首まで浸かった若者たちの話かと思ったら、読後感が思いの外爽やかで嬉しい誤算。

    著者の作品はデビュー作のリロ・グラ・シスタが好きだったので今回再び手に取った次第。
    ゆえに頭からかなり疑ってかかったので、仕掛けには序盤で気づきました(苦笑

  • “ゾンビになりたい。
    そう思うのはこんな時だ。ゾンビなら嚙んで仲間を増やせる。菜都美に嚙みつけば、僕と同じようにしてやれる。そうしたら僕の気持ちも判るに違いない。
    でも、多分、きっと——
    ゾンビになっても僕は菜都美を嚙まないだろう。それも判る。そういうことが判らなくなるくらいになれたらいい。でなければゾンビになる意味がない。”[P.39]

    四人は一人でした。
    題名に惹かれつ。
    淡々と読み進んでいたら最後にくるっと思わぬ展開をした。
    なかなか爽やかな終わり。好き。

    “ならば、かける言葉も決まっている。
    大丈夫さと僕は言った。
    「……何が」
    「将樹が。腐りかけの屍体を運べたくらいだ。もう何だって運べるよ。一人で歩いて、どこへだって行ける。傷付いたって治る。ゾンビじゃなく、生きてんだから」
    将樹は顔を顰めた。不愉快に感じてるのか、泣きそうなのを堪えてるのか。
    翻って僕は?一体どんな顔をしてたんだろう。
    将樹はゾンビではない。ではゾンビになりたい僕は?その想い通り、なるべきじゃないだろうか。どこにもいない。いてはならないものに。
    そう思うと頷けた。もっと焦るかと思っていたのに。”[P.186]

  • この作者の本は初めてで、序盤の流れから、斜に構えた主人公達がうんたらかんたら偉そうに進んでいく物語かね、と思ったら、想像を超えるハートフルストーリーに終わって驚いた。

    あっと驚く系統です。

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著者プロフィール

1979年生まれ。2007年、カッパ・ノベルスの新人発掘プロジェクト「Kappa‐One」に選ばれ、『リロ・グラ・シスタthe little glass sister』でデビュー。クールな文体で構成される独特の世界観と、本格マインド溢れる謎解きがミステリ通の熱い支持を受けている。

「2022年 『君待秋ラは透きとおる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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