- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061827998
作品紹介・あらすじ
鬼払いの秘祭を取材するため、植物写真家の猫田夏海は、生物の知識に精通した"観察者"鳶山久志らとともに、瀬戸内に浮かぶ現代アートの島-悪餌島を訪れた。その夜、ご神体として"鬼の腕"が収められた神社で、神事の準備をしていた女性が宝物の刀で惨殺される!洞窟に潜む羅刹の正体を、生物探偵が解き明かす!"観察者"シリーズ最新作にして異才・鳥飼否宇の真骨頂(-「洞の鬼」他二編を収録)。
感想・レビュー・書評
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怪異な事件が起こり、博学で人嫌いで変人な鳶氏が解説してくれるという京極夏彦系ミステリー。
骨格は面白げなんだけど、探偵鳶氏の語り口が眩惑的というより人の話をこれっぽっちも聞いてないだけ、というくらい脈絡なく飛んで無理やり本筋へ繋ぐのであんまりスマートな印象を受けないというか。頑固な変人で付き合うの大変そう、というまあ話し手の解説どおりではあるのだけど普通は読者にとってはそれより魅力的に映るはず(…だよね?)。
あと短編という情報量の限界もあって、鳶氏の持つ知識と目で見た事実だけで隠された真相にまっすぐ辿り着かせるにはかなり頑張らないと作為を消すのが難しい。何を根拠に何を得て何を削ったのかの経緯が足りなくて、やや御都合感が見えるのが残念。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
(収録作品)眼の池/天の狗/洞の鬼
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猫田夏海は鬼払いの秘祭の取材で、鳶山久志らとともに瀬戸内の悪餌島を訪れた。その夜、神社で神事の準備をしていた女性が宝物の刀で惨殺され…。「洞の鬼」ほか全3編を収録。
主人公たちが動植物に詳しいという設定のためか、薀蓄が多すぎて辟易とした。作品のおどろおどろしい雰囲気は悪くないのだけれど…。
(D) -
河童に天狗に鬼。この世界観は周りに溢れてはいるので、
なんとなく聴き覚えてる事象はあるけど
観察者の世界観は面白く読んだ。
謎解きの後に、そのままだとあなたも殺されちゃいませんか?
なんて心配してしまうような余韻の中、
天の狗の犯人が自分だったら跡形も残さないように頑張るし、
洞の鬼の後味の悪さは心に残るくらいじゃすまないうえに、
それを言われちゃあ一生もんでしょうな。 -
河童、天狗、鬼など、犯人は妖怪かと思われる不可能状況で起こった犯罪を”観察者”鳶山久志が生物学の知識と卓越した洞察力で暴く短編集。
妖怪といってもおどろおどろしい雰囲気はあまりなく、土着的な怪異と自然科学的な解明がしっくり融合している。
ベストはなんといっても、トリックもぶっ飛んでいるが動機もイッちゃってる「天の狗」。 -
これは良い死神探偵。
探偵ではないですが。
死体は観察者あるいは助手どちらかにあるいは両方に目掛けて飛んでくるわけです。
犬も歩けば棒に当たる。
死神行けば死体に当たる。
蘊蓄は薄め。
物足りないような気がしなくもない。
というか、主人公植物写真家なんだから、もっとそっち掘り下げてもいいのに。
ところでこれ、シリーズものなんですかね?
最新刊とか書いてあるし。
この本は基本投げっぱなしで終わっています。
いや、事件としては解決しているはずですが、投げっぱなし感が半端ない。
面白くないこともないが面白くもないという感じでした。