悲痛伝 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061828551

作品紹介・あらすじ

すべてを失った十三歳の少年、空々空。感情を持たず、感性に欠けるがゆえにヒーローであることを強いられる、地球撲滅軍第九機動室室長。彼のもとに届いた悲痛なる事件の報せは、地球からの新たなる攻撃なのか?真相を探る英雄の前に立ちはだかるは…、魔法少女!?悲鳴から始まる英雄譚、第二弾。

感想・レビュー・書評

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  • 読む。
    西尾維新を手に取ると、辻村深月『スロウハイツの神様』を思い出す。「はまるけど、いつかは抜ける」。そう、いつかは抜けるはずだったのに、結局また読んでしまって、それで何が残ったかというとこれもまた難しくて。でもきっと、そういう読み方も必要なんだろうな。

    34頁目
    《知っているのは自分の命の重さだけだ。》
    自分が一番大事。それは揺るがない、絶対的な価値。離れれば離れるほど、命を軽んじる。だからなるべく近づかないし、近づけない。他人を思う気持ちは限られている。だから注ぐ相手を、費やす関係を慎重に選ぶ必要がある。

    35頁目
    《頷きさえすれば会話は進むと思ったのだ。》
    多種多様な相槌を身につけて円滑な会話を、なんて、そんなことは夢物語だったみたい。話は止まるし相手は呆れるし関係は崩れるし、なんにもいいことがない。ちゃんと聞いてるよって伝えたいだけなんだけどな。

    40頁目
    《「諺も語彙も、なんていうか、使わないとどんどん忘れていくね……、人と話すっていうのはやっぱり大切だ」》
    情けは人の為ならず。会話も人の為ならず。言葉を交わすのは、ほとんどの場合において自分のため。本番が練習で練習が本番。楽しむためには必要な努力です。

    67頁目
    《考えずに、意味不明な現象を意味不明なままに受け入れる──》
    考えることより考えないことの方が何倍も難しい。わからないことは恐ろしいから、だから、たとえ間違いだとしても、そこに何かしらの意味を与えてしまう。与えずには、いられない。

    499頁目
    《いや、この子はもとよりひねてなどいないのだろう──ただ周囲に合わせて擬態した結果、ひねて見えるだけなのだ。》
    ひねくれ者ほど実は素直で弱かったりする。自分の脆さを知っているからこそ、ひねくれる。自己防衛としての擬態。そう、文字通りというわけだ。

    読了。
    漫画的だとは思っていたよ。でもこれは「つづく」が過ぎる。前作『悲鳴伝』はまだ完結感があったものだけどなあ。今年あと三冊出るというのは楽しみのような億劫のような。作品として評価する気には到底ならないのに続きを読もうとしているのは…好き、なのか、やっぱり。

  • まさかの、「悲惨伝」へ続く・・・。
    わかっていれば、
    悲惨伝が出るまで読まずにとっておいたのに。

  • 悲鳴伝の感想に「りすか」の特撮ヒーロー版みたいだと書いたけど、その伝説シリーズに魔法少女が登場するとは思わなかった。「りすかシリーズ」は魔法少女もの、伝説シリーズは特撮ヒーローものを捻っているという感じだし、舞台が長崎と四国と限定的で特定されているのも共通項。
     悲鳴伝はあれで終わったものだと西尾維新も考えていたようだから悲痛伝は悲鳴伝の続編ではあるけれど、方向性は大きく変わっている。確かに悲鳴伝は使い切った感じがあっただけにあそこから続編を考えるのは凄い。
     四国で摩訶不思議な現象が起きてさらに魔法少女という突飛な存在も現れる。常識が通用しないだけに理屈を求めなかったけど最後魔法少女についての謎解きがあって、そこにちゃんと道理が通っていることに驚いた。考えることを放棄していたのが悔しい。(余談だけど魔法少女達のビジュアルイメージがまどマギだった。あれも二次魔法少女ものだけれども…)
     文体の特徴として「~だろう。いや~だ。」と一度述べたことを直後にと否定する形が非常に多かった。これを読みにくいと感じる人も多いかもしれない。あと句点で区切って長く文章を続けたり、ハイフン?-こんな風に文を挟む-で別の分を挿入したりするから一発で文が理解できないことがけっこうあるんだけど、自分はそこが面白いと思ってしまう。
     魔法少女を使い捨てるように簡単に殺しているのは「戯言シリーズ」の懐かしさがある。西尾維新の作品では物語シリーズが特殊な作品だけれど代表作なだけにあれがスタンダードな感じが最近あったのかも。本の最後に伝説シリーズの刊行予定があったけど例のごとくタイトル、キーワードだけ先に出しておいて話は書くときになって初めて考えるんだろうなぁ。ホントに信じられない作家(もちろん賞賛)。

  • 「見てわからない?」「麺を打ってるのよ」
    感情を持たず、感性に欠けるがゆえにヒーローであることを強いられる、地球撲滅軍第九機動室室長。彼のもとに届いた悲痛なる事件の報せは、地球くらの新たなる攻撃なのか?真相を探る英雄の前に立ちはだかるは……、魔法少女!?ーーーーー


    西尾維新の魔法少女は癖があって好き。登場人物が緩急緩急している。読み終わったのはだいぶ前で、感想書こうと見返したらもう訳が分からなくなっていた。誰が誰なのか把握するのにしばらく時間がかかる。広がった風呂敷がどう畳まるのか結末が気になる。

  • 連絡が途絶えた時。
    ゲームは突然始まったのか、何かアクションがあったのだろうか。
    生き残りは彼女達しかいないのか、それとも攻略しようとしている人たちもいるのか。

  • (2022-03-02)

  • 悲鳴伝の続編。地の文が主人公ではないため深みが一気になくなった。物語自体を楽しむしかない。

  • 空々空が出向く四国で繰り広げられる冒険譚。

    前作では科学がフューチャーされ、最先端の科学技術+駆け引き読み合いでの戦いが繰り広げられていたが、今回は魔法や魔法少女が出現する。
    突拍子もなく魔法が使われ始めるので少し驚いてしまうが、その辺の違和感や齟齬をうまい具合に丸め込んで落とし込んで飲み込めてしまう読みやすさとっかかりやすさがある。不思議な読後感を得られる。もちろん文章量は多いのでそれなりに時間はかかるが。

    前作もそうだったが、読んでいるとヒーローとは何か考えさせられる。もちろん今時ヒーロー=戦隊ものの主人公たちなんて考えではなく、いろんな漫画や小説やアニメで多種多様なヒーローがいるが、ここまで合理的で感情がなく、それでいて情けをぽんぽんかける主人公はいるだろうか。この組み合わせは他のヒーローにあまりないものだと思われる。
    基本的に私は他人を助けようとするヒーローが好きだ。ヒーローによってそれはヒロインだったり仲間だったり世界中の人たちだったりするが、空々空は敵味方関係なく平等に助けようとするし、躊躇なく殺しもする。空々空のその二つの要素が今作を好きな理由かもしれない。

    続きがあるとは知らず読み進めたので、どんな終わり方なのかと期待していたら終わらなかった。すでに購入済みなので、時間を作れたら読もうと思う。

  • 伝説シリーズ第2巻。続きが気になる終わり方だった。

  • 衝撃的な展開で終わった前作のまさかの続刊。次の瞬間には誰が死ぬかわからない、先の読めない緊張感は変わらずあったが、期待しすぎたせいかどうにも衝撃不足。いやもちろん展開的な驚きは多々あるのだが、『悲』しくて『痛』い話というならば前作こそがそれにあたる。となると次作以降のタイトルについても思うところがないでもないが、好きなシリーズであることは間違いないので、懲りずに期待することにしよう。

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著者プロフィール

1981年生まれ。2002年、『クビキリサイクル』にて第23回メフィスト賞を受賞してデビュー。デビュー作を含む「戯言シリーズ」は若い読者に大人気となる。2006年刊行の『化物語』は〈物語〉シリーズとしてシリーズ化され、アニメ化・ゲーム化され様々なメディアミックスが行われている。矢継ぎ早に刊行するすべての本が常にベストセラーとなり、当代随一の「物語師」として活躍中!

「2014年 『「偽物語」PremiumアイテムBOX』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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