眼球堂の殺人 ~The Book~ (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 115
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061828728

作品紹介・あらすじ

天才建築家驫木煬(とどろき・よう)が、山奥に建てた巨大な私邸<眼球堂(がんきゅうどう)>。
そこに招待された、各界の才能と謳われる著名人たちと、放浪の数学者十和田只人(とわだ・ただひと)。彼を追い、眼球堂へと赴いたルポライター陸奥藍子(むつ・あいこ)が見たものは、奇妙な建物、不穏な夕食会、狂気に取りつかれた驫木、そして実現不可能な変死体。誰が殺した? でも、どうやって? ――一連の事件の真実(ほんとう)の「真実」を、十和田と藍子は「証明」することができるのか?

密室! 館! 不可能犯罪! 本格ミステリのガジェット満載にして、清新かつ斬新なトリック! 刮目せよ。これがメフィスト賞だ!

感想・レビュー・書評

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  • わりと辛い評価を見掛けるけど結構面白かった。
    主人公とそのアシスタントに関してはキャラクターが出来上がってるし。だたその他がその分薄かったけど。
    後日談からのやる気が凄かった。

    絵日記みたいな文章になってるな。

    これと同じ様な人体を模したあれはつい最近何かで読んだ気がするんだよなぁ…勿論作品は違うんだけど何だっけ…

  • 新本格全盛の頃を思い出す、なんだか懐かしいクローズドサークルもの。ミステリに慣れ親しんでいるとトリックも犯人もわかってしまうかも。あまり新鮮さがなく カタルシスを感じることもない、後日談が雑すぎてもったいない。とか色々あるけど森博嗣が帯に書いているとおり確かに「潔い」し、こういうミステリ書いてくれ る人は最近少ないので貴重だ。眼球を模した建物という発想も面白い。せっかく天才集めたのだしもうちょっとケレン味があった方がよかったかな。

  •  いやだから、十五メートルや十メートル先の死体の状況が、なんでそんなはっきり見えんのよ、君ら!

     『真実――』粗削りな作品だと思いました。
     まあそれなりに楽しかったんですが、伏線の張り方、文章表現、どちらも少し違和感が残るかなぁと。がっつりネタバレしますんで、未読の方はご注意を。
     つか、気づけるよね、眼球堂の平面図を見た時点で、二重扉の位置の時点で、「あ、これ、動くわ」って。で、藍子さんが神だっつーのも、伏線があからさま過ぎて途中で気づくわな。あれ? って思ったところで前に戻って、善知鳥神の性別が明言されてないことが分かれば結びつきますね。名前がおかしいからたぶんそこも何かあるなと思ったら、案の定アナグラム、と。なんだろう、ミステリ的要素を詰め込んだのはいいんですが、もう少し読者に分からないように詰め込んでもらいたかったな、と。たぶん文章の書き方が合わないんだろうな、とは思います。ところどころ引っかかる。面白いんだけど文章が、っての、矢野龍王に通ずるものがあるな、って言って分かってくれるひとがいるだろうか。
     まあ、眼球堂がどう動くのか(途中まで部屋のある側のほうが動くと思ってたね。そっち動いたら死体がすりつぶされるわって気づいたね)、水を溜めての移動、盲点にある柱までは分からなかったので、すげぇなとは思いました。ただ、親父を犯人に仕立て上げて終わらせ、最終的に藍子さん=神というネタばらしをするという流れが想像してた通りだったのでそこが残念かなぁ。
     うわぁ、そうくるか! じゃなくて、やっぱりそうだった! という爽快感を楽しめたお話でございました。
     うんでも、変な建築物とか、数学的なお話とか、これでもかってほどミステリ色の強い話だったので、好きですとても。
     そういえば今ふと思ったけど、格子から外れてたもう二本の柱ってなんか意味、あったのかな。
     抜粋。最後の最後、藍子さんのセリフより。零崎、聞いてるか?

    「『まだ殺人鬼じゃない』だけかもしれませんよ」

  • 再読です。シリーズ途中で止まっていたのを読み進めるにあたって大分時間が経ってしまったのであらためて1冊目から読み返そうと思いました。初読は2013年。当時こういうものを書かれる作家さんがメフィスト賞を取られたことが嬉しいと思ったのをはっきりと覚えています。

    クローズドサークル、いかにも何か起こりそうな見取り図と、本格好きがワクワクする1冊。トリックはなんとなく覚えていましたが、ラストの展開はすっかり忘れていて再読でも楽しめました。1冊目は探偵が意外と普通だったのにちょっとびっくり。
    続きを読むにあたってチェックしていて気付いたのですが、このシリーズは文庫化に際してかなり加筆修正されているようですね。続きは文庫で再読しようと思います。変わった部分も楽しみです。

  • すみません、ここまで読んできて何ですが、いわゆる「クローズド・サークルもの」は大きく2つの種類に分かれるのだと気づきました。
    1つは、明日は我が身の37564もの。もう1つは、単に閉鎖空間で(連続)殺人が起こる、というだけのもの。ここらへんはシチュエーションというより味つけ準拠で、「えっなんでこの状況であんたたちそんなノンキなの?」みたいなものもあるのだが、とにもかくにも。
    そして本書は――「いわゆるクローズド・サークルもの」の中にはこういうのが少なくないのだが――状況は前者だが実際の雰囲気は後者、という作品である。

    視点人物に同行者(しかもみずから好きこのんで追いかけ回している相手)がいる時点で、この2人の間で「明日は我が身…?」「誰も信用できない!」といった疑心暗鬼が稀薄なのはしかたがないが、それ以外の招待客たちも不自然なほどにノンキ…と言って悪ければ、礼儀正しい。
    もっとモメようよ、もっとギスギスしようよ!!! …と、性悪読者としてはもどかしいが、得体の知れない脱出不可能な建物に死体および殺人鬼かもしれない人間と閉じ込められているわりには、みんな拍子抜けするほどに人としての形を保ち続ける。
    パニクるでも、大糾弾大会を開くでも、推理合戦をするでもなく、書かれるものはと言えばあまりに陳腐な「天才」たちのやりとり。真相が明かされるや180度キャラ変わりする、怪人20面相が変装剥ぐシーンですかみたいな大時代なノリ。いろいろとツラい。
    ミステリとして破綻はしていないので(ありきたりだけど)最低限のラインはクリアしているが、「クローズド・サークルが好きだから」と、わざわざ手に取る必要はないと思う。

    2015/7/19~7/22読了

  • 森博嗣の帯が付いていたが、この著者が森氏に影響をうけていることが内容からも伺える。森博詞と西尾維新と、あと自分の知らない誰かを足して3で割った感じ。中々に楽しめたが、前述の2作者を超えたとは思えない。

  • メフィスト賞受賞作だそうな。
    最近のミステリーはキャラに趣向を凝らせたりストーリーが突飛だったり素直じゃないのが多い中(私が読んでるのがそうなだけかもですが)、珍しく比較的正統派な話運びのお話でした。

  • ルール上アウトと言わざるを得ない事をしでかしており、真面目なミステリファンは受け付けないだろう。
    そこは気にしないとしても「かまいたち」などのアクロバチックなミステリを経験していれば、ほぼ予想の範囲内でことが進む。
    意欲作だが、作者の思惑ほどには皆驚いていない。しかし、意欲の方向性は嫌いじゃないので次回作があれば読むと思う。6.5

  • ミステリの様々な名作を彷彿とさせるが、裏を返せば見た事があるということにもなる。
    センスを感じるので、何か一つ独自の武器が前面に出て来れば更によくなると思う。

  • 久しぶりに全力押しのメフィスト賞且つ理数系館もの。常に平積みだし「まあいつか読みたい」とは思っていたら、サイン本という一押しがあったので購入。イラストredjuiceというところがまたポイント。

    タイトルと表紙でもうおおよその内容は想像付くであろうド王道新本格。以下完全にトリックネタバレますのでお気をつけ下さいませ。

    館の平面図に読者への挑戦と、とにかく王道で懐かしくも心ときめく。平面図と序盤の段階である程度トリックの想像はつくので、それ以上のどんでん返しがあったら大興奮だったのだけど、そううまくはいかなかったのが少し残念。
    「答えは最もシンプルが故に美しい」というのは比較的何事にもある一面で言える事だと思うのだけど、個人的には特にトリックと数学はそれが全てであっても良いと思っている。なので、推理展開としてはそんなに無理は感じないのだけど、その結果が「泳ぐ」っていうのがいまいち美しくない気がしてしまうのは自分だけだろうか…。せめて舟とかさ…若い人ならまだしも…うーむ。
    動機がまたちょっと弱い。各分野より上位であることの証明としてトリックを仕掛けるのは良いのだけど、どうしてこの人達を殺さねばならなかったのかがいまいち。そこまで常軌を逸した犯人のようなキャラクター性は見えないし、殺人である必要性が感じられず。

    サブタイトルの「The Book」がシリーズを通してのキーワードになるのかなと思ったのだけど、次作は別のサブタイトルだから今回だけの考え方なのかな。主人公の十和田の思考はこれを中心にいくものかと思っていたのだけど。このあたりは次作がまだ未読なので適当で申し訳ありませんが。
    善知鳥神も、森博嗣における四季みたいなポジションの人物とするのか、どう扱うのかもまた今後を見てからかなと。

    そんな十和田もまた王道天才変人系ではあれど、そこまで奇抜ではない。そこまで傲慢ということもないし、どちらかというと自己評価は低め。そこが他の王道探偵達と比べて多少特異な部分かと。

    気になった部分だけ書いてしまいましたが、現時点で王道に正面から挑むには、どうやっても今まで書かれてきたあらゆる作品と比べられるのは仕方ないし、後になればなるほどハードルが高くなっていくのは必然なので、それでもあえて王道に挑んだ精神と、やはり王道が故の面白さは感じられる。
    これから長いシリーズ等を追いかけるのははっきり言って無理だと思うけれど、期待も込めてあと数冊は読んでみようと思う。

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著者プロフィール

某国立大学建築学科卒業。『眼球堂の殺人』で第47回メフィスト賞を受賞しデビュー。本格ミステリの系譜を継ぐ書き手として絶賛を浴びる。他の著書にデビュー作を含む「堂」シリーズ、『猫又お双と消えた令嬢』にはじまる「猫又お双」シリーズ、『災厄』『暴走』『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』『アールダーの方舟』『不死症』『幻屍症』『LOST 失覚探偵』『死者の雨‐モヘンジョダロの墓標‐』『土葬症 ザ・グレイヴ』『小説 Fukushima 50』『あしたの官僚』『ネメシス3』『楽園のアダム』がある。

「2023年 『WALL』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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