1973年のピンボール (講談社文庫 む 6-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061831001

感想・レビュー・書評

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  • 主人公の「僕」と「鼠」の交点は作品上になく、パラレルにストーリーが進む。僕は双子との出合いと別れがあり、鼠にも女との別れがある。村上作品には珍しく女に性的な匂いがしない。ある時期の村上春樹の心の断片を切り取ったような印象を持った。

  • 初期3部作の中でも本作が一番好き。
    もう何度と読み返してます。

    各々理由は違うが共に問題を抱えている僕と鼠。しかし、双子との出会いやピンボールとの再会で救われる僕と、唯一の救いだった女をも捨てて町を出る救われない鼠の対比がとても切ない。

    ちなみに、本作を読むことで前作「風の歌を聴け」が直子が自殺した数ヶ月後の話であることなどがわかる。

  • 村上春樹さんにハマったときに買いました。
    短編をまとめた本です。
    面白かったです。
    羊男が出てきます。w

  • やっと読めた〜(*´◒`*)
    風の歌を聞けの鼠とピンボール、、
    もう一回合わせてよみたいな〜

  • ピンボールにはまりまくった時期があるなあと遠い目。
    実機がなくなってからパソコンでも遊んでた。

  • 「風の歌を聴け」の続編に当たる作品らしいし、実際前作を読んでいないと意味がわからない。そのはずなのだが、全くの別物として読んだほうが、むしろ読みやすいかもしれないとも思う。

    私は前作を「時がとまったみたい」と評したが、こちらは前作で吹いていたいたその風さえ、止まってしまったようだ。
    季節は秋から冬へ。
    軽やかな憂鬱は、凍える倦怠へ。

    前作より抽象の世界へ入った本作では、「僕」も「鼠」も濃い霧の中で眠ってしまいそうに頼りない。
    彼らは自分の探しているものがわからず、しかしそれが見つかるとも思っていないので、本気でそれを探そうとも思っていないのだと思う。
    ただ偶然に出会ったもの、自分を柔らかく受け入れてくれた思い出だけを頼りに、彼らはすっぽりと霧に包まれている。

    感傷的である。手探りである。「風」が吹いていない霧は、いつまでも晴れる気配がない。ぐっしょりと全てが濡れていく。


    冒頭の「見知らぬ土地の話を聞くのが病的に好きだった」というフレーズが、私も病的に好きだ。

    • yuu1960さん
      ノルウェーの森の出版後に読んだ小林信彦さんの書評に、直子の死は「ピンボール」で既に触れられているとあり、驚きました。読み返してみて、自分は何...
      ノルウェーの森の出版後に読んだ小林信彦さんの書評に、直子の死は「ピンボール」で既に触れられているとあり、驚きました。読み返してみて、自分は何を読んでたんだろうと呆れたものでした。
      ピンボールは直子の死に対し、言うべき言葉を見付けられず、物語が止まっているんじゃないかとも思います。

      2012/08/09
    • 抽斗さん
      私はこの作品の直子が『ノルウェイの森』の直子と同一人物とはあまり思えず、さらっと読み飛ばしてしまっていたのですが、なるほどこの作品全体を覆っ...
      私はこの作品の直子が『ノルウェイの森』の直子と同一人物とはあまり思えず、さらっと読み飛ばしてしまっていたのですが、なるほどこの作品全体を覆っている「凍える倦怠」は、彼女の死のせいと読むとなんだか納得しました。
      コメントどうもありがとうございます。yuuさんのコメント、毎回とてもうれしく思っています(^^)。
      2012/08/12
  • 1973年9月から始まる。
    僕は24歳になり鼠は25歳に。
    2人の物語がバラレルに書かれている。
    内容としては意味が分からなかった。

    僕は双子の女の子との生活、のめり込んだピンボールとの再会、双子との別れまで、鼠は女と出会い、別れ、街を出るまでの心象がこれ以上にない表現で描かれている。

    いつもながら、村上春樹の表現、比喩は最上級だと思う。

  • 驚いたのは、自分がいつのまにか鼠や僕と同年代になっていたこと。
    十代でこの本を初めて読んだ時、自分よりはずいぶん大人の物語だと思っていたのに。

    何度も読み返したけれど、今日初めて、
    あ、もう同い年になる、と感じた。
    生きてる世界が違いすぎて信じられないけど。

  • 学生時代、当時カノジョだった今のヨメから借りて、そのまま俺のものになった本。

    青春三部作の第2弾。

  • これを初めて読んだときのことをよく覚えている。
    あまりに難解で絶句したのだ(笑)

    けれど、今にじゅううんちゃら年色んなものを通り過ぎて生きてきた私は、久々にこれを読んで、どこか救われたような感覚を覚えた。
    ピンボールと僕の対比に気付いたときにはぞわっと戦慄が走って、後に切なさと諦観と救済が残った。

    「何処に行く?」と僕は訊ねた。
    「もとのところよ。」
    「帰るだけ。」
    〜中略〜
    「本当に帰るところはあるのかい?」
    「もちろんよ。」と一人が言った。
    「でなきゃ帰らないわ」ともう一人が言った。
    (『1973〜』より)

    同じことのリピート、繰り返し繰り返しの中で、私はどこへ向かい、どこへ行き着くのだろう。
    その答えはまだ出ていない。
    静かに風の音を聴くだけだ。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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